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第2章 改革
19 白虎族の力
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森に引き続き、ダンジョンでミーニャを鍛える。ミーニャは現れる死霊など気にもとめずサクサクと切り裂いていく。
「あるじ、ここ、にくない!」
「いやぁ、あるぞ? ほら」
俺が宝箱を開けるとそこには肉塊が。
「ふぉっ!? なんで!?」
「これがダンジョンなんだよ。敵は倒したら消えるけどこうやって宝箱になるんだよ。中身は開けるまでわからないけどな」
「ふぉぉぉぉ……!」
肉が手に入ると知ったミーニャは精力的に魔物狩りを続けた。一階を攻略しては食事をとり、休息をとる。
「あるじあるじ! あれする!」
「ちゃんと休まなきゃだめだろ全く。仕方ないな」
「あるじすきー!」
こうして、鍛練時間極少、休息時間極大な日々を繰り返し、俺達はダンジョンを降りていく。
「にゅふふ……。ダンジョン、あるじとミーニャふたりきり。あるじミーニャだけ。いつもここいっぱい!」
「嬉しいか?」
「うんっ!」
そんな感じで仲を深めつつ、俺は未到達階層まで降りた。そこは竜の階層、十一階から先はわからないが全て竜が現れるようだ。
「よし、ここからは俺も参戦する。しばらく戦ってなかったからな。運動不足の解消といこう」
「あるじ、うんどう、いっぱいしてる!」
「あれは夜の運動だからな。いくぞミーニャ!」
「がうっ!」
俺達は各自竜を相手に戦っていく。俺の手には一億で買った妖刀【烏丸】が握られている。
「いくぜ、烏丸。初陣だ。お前の力、見せてもらうぞっ! 【高速移動】っ!」
「えっ?」
《ガッ……!?》
俺は高速移動からの抜刀で竜の脇を駆け抜ける。
「ふぉぉぉっ! あるじ! ミーニャよりはやいっ! トカゲまっぷたつ!」
俺は納刀し振り返った。まるで斬った感触はなかった。竜は硬い鱗に守られているにも関わらず、それを烏丸はまるでバターでもなめるような滑らかさで竜を上下に切り分けていた。
「おいおい、こりゃ一億でも安い買い物だったんじゃね?」
オーナーいわく、見た目は良いから多分売れると買ったが、他の刀に比べて刀身が黒だったため、客は逆に不気味に思っていたそうなのだ。また、ここらの人間が使っているのは西洋刀、烏丸のような日本刀は使い方すらわからないと客は言っていたとか。
俺もそんなに使えるわけではない。極道時代に兄貴から少し習ったくらいだ。あ、兄貴と言っても血が繋がっているわけでもなく、ましてや薔薇のような関係ではない。兄貴分と言う意味だ。ちなみに兄貴は千人斬りと呼ばれていたそうだ。
「あるじ! うしろっ!」
「わかってんよ、ほいっ」
《ギャアァァァァァァァァス!!》
俺は振り向きながら抜刀し、竜を斜め下から斬り上げる。やはり大した抵抗もなくスパッと竜は真っ二つに。
「あるじ! あるじのぶきつよい!」
「ばっか、俺がつぇぇの。ミーニャ、ガンガン狩って行こうぜー」
「がうっ!」
こんな調子で俺達はどんどん階層を下っていく。下に行くたびに敵のレベルが上がっているようだが、誤差の範囲内といった程度で、俺達には何の障害にもならなかった。
そして地下二十階、俺はボス部屋でボスと対峙している。
「なんか……見てるだけでイラつくオーラだな」
地下二十階のボスはホーリードラゴンだ。レベルも200とあり得ないくらい高い。あのミーニャですら毛を逆立てている。
「あるじ……、あれ……つよい……!」
「そうか? ま、見てろよ」
俺は烏丸を鞘から抜き無形の位で構える。
「さて、あのクソみたいな雰囲気を漂わせている竜をサクッとぶっ殺してやりますか」
《コォォォォォォォォォッ……!》
ホーリードラゴンは俺を脅威と感じたのか、両翼を左右にバッと広げいきなり攻撃を仕掛けてきた。
「羽っ!? 【高速移動】っ!!」
ホーリードラゴンの翼から聖なるオーラをまとわせた羽を無数に飛ばしてくる。俺はその羽を躱わしたり烏丸で撃ち落とししつつ、距離を詰める。
距離を詰めた理由はこれだ。
「やはり技の後に硬直してるようだな! 隙だらけだぜっ! その首もらった!!」
大技を放った後は必ず硬直が起こる。ここまでミーニャと竜との戦いを見て気付いた事だ。ちなみに俺は一瞬で殺ってきたからこれに気付いてなかった。
「死ね、あらぁぁぁぁぁっ!!」
《アァァァァァァァァァァッ……!》
烏丸がホーリードラゴンの首に食い込む。少し力を込めると大した抵抗も感じずに骨ごと長い首を胴体から切り離した。首を失った胴体はその場に崩れ落ち、光となり消えた。
《レベルアップ。ジェイドのレベルが70に上がりました。【邪眼】の効果により、スキル【ホーリーフェザー】、【ホーリークロー】、【聖魔法】、【瞬間再生】を奪いました》
「瞬間再生? 機能してねーじゃん」
おそらくだが超スピードで受けた致命傷は再生が追い付かなかったか、間に合わなかったのだろう。
「俺死なない上に瞬間再生とか完璧にバケモンの仲間入りだな」
「あるじまたつよくなった!」
「わかるのか?」
「ん! なんかかんじでわかる!」
獣の本能的な察知能力だろうか。そう言えばホーリードラゴンを見ても強いって言ってたな。
「さ、次はミーニャが倒す番だ。一回外に出て入り直そうか」
「? あれまたくる?」
「ああ、ボスは何度でも蘇るんだ。一対一で勝てるようにならなきゃ次の階層はキツイからな。頑張れよ?」
「がうっ!」
この後、ミーニャがホーリードラゴンにタイマンで勝てるようになるまで鍛練は続けられるのであった。
「あるじ、ここ、にくない!」
「いやぁ、あるぞ? ほら」
俺が宝箱を開けるとそこには肉塊が。
「ふぉっ!? なんで!?」
「これがダンジョンなんだよ。敵は倒したら消えるけどこうやって宝箱になるんだよ。中身は開けるまでわからないけどな」
「ふぉぉぉぉ……!」
肉が手に入ると知ったミーニャは精力的に魔物狩りを続けた。一階を攻略しては食事をとり、休息をとる。
「あるじあるじ! あれする!」
「ちゃんと休まなきゃだめだろ全く。仕方ないな」
「あるじすきー!」
こうして、鍛練時間極少、休息時間極大な日々を繰り返し、俺達はダンジョンを降りていく。
「にゅふふ……。ダンジョン、あるじとミーニャふたりきり。あるじミーニャだけ。いつもここいっぱい!」
「嬉しいか?」
「うんっ!」
そんな感じで仲を深めつつ、俺は未到達階層まで降りた。そこは竜の階層、十一階から先はわからないが全て竜が現れるようだ。
「よし、ここからは俺も参戦する。しばらく戦ってなかったからな。運動不足の解消といこう」
「あるじ、うんどう、いっぱいしてる!」
「あれは夜の運動だからな。いくぞミーニャ!」
「がうっ!」
俺達は各自竜を相手に戦っていく。俺の手には一億で買った妖刀【烏丸】が握られている。
「いくぜ、烏丸。初陣だ。お前の力、見せてもらうぞっ! 【高速移動】っ!」
「えっ?」
《ガッ……!?》
俺は高速移動からの抜刀で竜の脇を駆け抜ける。
「ふぉぉぉっ! あるじ! ミーニャよりはやいっ! トカゲまっぷたつ!」
俺は納刀し振り返った。まるで斬った感触はなかった。竜は硬い鱗に守られているにも関わらず、それを烏丸はまるでバターでもなめるような滑らかさで竜を上下に切り分けていた。
「おいおい、こりゃ一億でも安い買い物だったんじゃね?」
オーナーいわく、見た目は良いから多分売れると買ったが、他の刀に比べて刀身が黒だったため、客は逆に不気味に思っていたそうなのだ。また、ここらの人間が使っているのは西洋刀、烏丸のような日本刀は使い方すらわからないと客は言っていたとか。
俺もそんなに使えるわけではない。極道時代に兄貴から少し習ったくらいだ。あ、兄貴と言っても血が繋がっているわけでもなく、ましてや薔薇のような関係ではない。兄貴分と言う意味だ。ちなみに兄貴は千人斬りと呼ばれていたそうだ。
「あるじ! うしろっ!」
「わかってんよ、ほいっ」
《ギャアァァァァァァァァス!!》
俺は振り向きながら抜刀し、竜を斜め下から斬り上げる。やはり大した抵抗もなくスパッと竜は真っ二つに。
「あるじ! あるじのぶきつよい!」
「ばっか、俺がつぇぇの。ミーニャ、ガンガン狩って行こうぜー」
「がうっ!」
こんな調子で俺達はどんどん階層を下っていく。下に行くたびに敵のレベルが上がっているようだが、誤差の範囲内といった程度で、俺達には何の障害にもならなかった。
そして地下二十階、俺はボス部屋でボスと対峙している。
「なんか……見てるだけでイラつくオーラだな」
地下二十階のボスはホーリードラゴンだ。レベルも200とあり得ないくらい高い。あのミーニャですら毛を逆立てている。
「あるじ……、あれ……つよい……!」
「そうか? ま、見てろよ」
俺は烏丸を鞘から抜き無形の位で構える。
「さて、あのクソみたいな雰囲気を漂わせている竜をサクッとぶっ殺してやりますか」
《コォォォォォォォォォッ……!》
ホーリードラゴンは俺を脅威と感じたのか、両翼を左右にバッと広げいきなり攻撃を仕掛けてきた。
「羽っ!? 【高速移動】っ!!」
ホーリードラゴンの翼から聖なるオーラをまとわせた羽を無数に飛ばしてくる。俺はその羽を躱わしたり烏丸で撃ち落とししつつ、距離を詰める。
距離を詰めた理由はこれだ。
「やはり技の後に硬直してるようだな! 隙だらけだぜっ! その首もらった!!」
大技を放った後は必ず硬直が起こる。ここまでミーニャと竜との戦いを見て気付いた事だ。ちなみに俺は一瞬で殺ってきたからこれに気付いてなかった。
「死ね、あらぁぁぁぁぁっ!!」
《アァァァァァァァァァァッ……!》
烏丸がホーリードラゴンの首に食い込む。少し力を込めると大した抵抗も感じずに骨ごと長い首を胴体から切り離した。首を失った胴体はその場に崩れ落ち、光となり消えた。
《レベルアップ。ジェイドのレベルが70に上がりました。【邪眼】の効果により、スキル【ホーリーフェザー】、【ホーリークロー】、【聖魔法】、【瞬間再生】を奪いました》
「瞬間再生? 機能してねーじゃん」
おそらくだが超スピードで受けた致命傷は再生が追い付かなかったか、間に合わなかったのだろう。
「俺死なない上に瞬間再生とか完璧にバケモンの仲間入りだな」
「あるじまたつよくなった!」
「わかるのか?」
「ん! なんかかんじでわかる!」
獣の本能的な察知能力だろうか。そう言えばホーリードラゴンを見ても強いって言ってたな。
「さ、次はミーニャが倒す番だ。一回外に出て入り直そうか」
「? あれまたくる?」
「ああ、ボスは何度でも蘇るんだ。一対一で勝てるようにならなきゃ次の階層はキツイからな。頑張れよ?」
「がうっ!」
この後、ミーニャがホーリードラゴンにタイマンで勝てるようになるまで鍛練は続けられるのであった。
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