70 / 227
第3章 エンバッハ帝国編
19 白虎族の故郷
しおりを挟む
俺はシーメルに飛び代表者のいる屋敷を訪ねた。
「あら? ジェイドはん、いきなり来るなんてどないしたんでっか?」
「いや、ちょっと調べ物があってな。今時間良いか?」
俺がそう言うと商人の人差し指と親指が繋がり輪になった。
「ジェイドは~ん、商人の時間はえろう高くつきまっせ~?」
「構わん。後で新しい船一隻くれてやる」
「船? 木造船でっか?」
「いや、鋼鉄船だ。しかも風も潮も関係ないやつな」
「……は? こ、鋼鉄??」
「後で教えてやるからよ。今日は聞きたい事があって来たんだ」
「聞きたい事ねぇ? ま、知っとる事ならなんなりと」
俺は商人に案内され執務室へと向かった。そして彼に白虎族の故郷がどの大陸にあるかを尋ねた。
「白虎族……かぁ。う~ん……わからんなぁ~」
「そうか。他の大陸と取引してるあんたらならわかると思ってたんだがなぁ……」
「ウチらの商売相手は基本人やからなぁ。獣人は金持っとらんのよ」
「……そうか」
商人が俺に尋ねてきた。
「しかし何でまた急に白虎族なん?」
「ああ、実はとある商人から白虎族の少女を買ってな。そいつが俺の子を産んだんだよ」
「ほぉ~。なるほどなぁ~。ん? もしかして故郷を探しとる理由はそれかい?」
「まぁな。本人は幼い頃に拐われたせいか故郷がどこにあるのかわからないらしいんだわ」
商人は腕組みをしながら唸っている。
「う~……ん。……ん? 待てよ? ジェイドはん、そんならその商人から話聞いた方が早いんやないか?」
「……あ」
「拐ってきたんなら場所もわかるやろ」
「そうか! それは思い付かなかった! 恩に切る!」
そう言いナビリア商会に飛ぼうとした俺を商人が止める。
「なんだ?」
「ジェイドは~ん? 気付いたのはワイの閃きのおかげちゃうん~?」
「ああ、そうだな」
「ほんなら……何かあってもええんちゃう~?」
全く、商人とはがめつくて困る。
「わかったわかった。港に来い。船をやるよ」
「よっしゃ! ほんなら今すぐいこか!」
俺は商人に連れられ港へと向かった。
「で、船ってどんなん?」
「ああ。今出してやるよ。【創造】」
「へ?」
俺は海の上にとあるゲームから空飛ぶ船、つまり飛空艇を創り出してやった。
「な、なななななんやこれっ!?」
「あん? 言ってだろ、鋼鉄船だって。これは海の上も走れるし、なんなら空も飛べる。動力は魔導エンジンだから魔力を注げば動かせるぞ」
「そ、空飛ぶ船!? こ、こんなん世界のどこにもあらへんで!? 下手したらこれを巡って世界対戦や!?」
「なら適当に海に降りて走って行けば良いだろ。とりあえずそれはくれてやる。大事に使えよ? じゃあな」
「あ……」
そう言い、俺はナビリア商会へと転移した。
「こ、こんなん危なくて使えるかいっ! 鋼鉄の船ってだけでも使えんのに……。空まで飛ぶとかどないなっとんねん……」
商人は目の前にある船をどう扱うかと頭を抱えるのであった。
そして俺はナビリア商会へと転移し、オーナーを訪ねる。
「おお、これはジェイド殿! お久しぶりでございますな」
「ああ。オーナー、ちょっと聞きたいんだがな」
「はい?」
俺はオーナーにミーニャをどこから拐ってきたのかと尋ねた。
「ああ、あの白虎族ですか。あれはまずシーメルから隣の大陸【グラディオン大陸】へと渡り、そこから北に向かって行きます。すると港町【ベイロン】がありますので、そこから次の大陸【シーガロン大陸】に向かいます。そしてそのシーガロン大陸の港町【バルディ】から北東に向かった先に山脈があります。白虎族の里はその山脈の内側にある盆地にあるのです」
「……お前、そんな遠くからよく仕入れてきたな」
「はっはっは。私は元々シーガロンの生まれですからな。仕入れは里帰りのついでですよ」
「ほう。なら……シーガロン大陸はどんな所なんだ?」
オーナーは言った。
「……まぁ、めちゃくちゃ寒いですな」
「ふむ」
「特に白虎族の里がある場所は一年中雪が消えません」
「そ、それは寒そうだな」
「平地では雪こそ積もりませんが、夏でも長袖が基本。まぁ、暮らしにくい土地ですな」
あまり行きたくはないなぁ。
「しかしまぁ、それだけにシーガロンの女は色白で透き通るような肌が売りです」
「……ん?」
「シルクのような抱き心地は一度知ったら癖になること間違いなし! シーガロンは寒いので人肌同士で温めあうサービスなんかも……」
「情報ありがとうっ! 今度土産持ってくるわ! んじゃっ!」
「へ? 消え……?」
俺は適当に挨拶を済ませビルに転移した。
「ミーニャ! いるか!?」
「がう?」
「白虎族の里がある場所がわかったぞ」
「おぉ~! さすが主!」
「すぐに向かおう。子供達を連れて町の入り口に来てくれ」
「え? あ、消えた」
俺は町の入り口へと転移し、また飛空艇を創造した。
しばらくしてミーニャが子供二人を抱えてやってきた。
「主~! なにこれ!?」
「空飛ぶ船だ。なにせ遠いからな。ちんたらしてたら半年はかかりそうな距離でよ。今回はこれで飛んでいく。海も山も全部これでひとっ飛びだ」
「ふあぁぁぁっ!? これで空が飛べるの!? 凄い!」
「ふっ、こんなの朝飯前よ。さあ、行こうか。ミーニャの両親に孫を見せてやらないとな」
「がうっ!」
こうして、俺はミーニャと子供二人を連れ新たな大陸へと飛び立つのだった。
「あら? ジェイドはん、いきなり来るなんてどないしたんでっか?」
「いや、ちょっと調べ物があってな。今時間良いか?」
俺がそう言うと商人の人差し指と親指が繋がり輪になった。
「ジェイドは~ん、商人の時間はえろう高くつきまっせ~?」
「構わん。後で新しい船一隻くれてやる」
「船? 木造船でっか?」
「いや、鋼鉄船だ。しかも風も潮も関係ないやつな」
「……は? こ、鋼鉄??」
「後で教えてやるからよ。今日は聞きたい事があって来たんだ」
「聞きたい事ねぇ? ま、知っとる事ならなんなりと」
俺は商人に案内され執務室へと向かった。そして彼に白虎族の故郷がどの大陸にあるかを尋ねた。
「白虎族……かぁ。う~ん……わからんなぁ~」
「そうか。他の大陸と取引してるあんたらならわかると思ってたんだがなぁ……」
「ウチらの商売相手は基本人やからなぁ。獣人は金持っとらんのよ」
「……そうか」
商人が俺に尋ねてきた。
「しかし何でまた急に白虎族なん?」
「ああ、実はとある商人から白虎族の少女を買ってな。そいつが俺の子を産んだんだよ」
「ほぉ~。なるほどなぁ~。ん? もしかして故郷を探しとる理由はそれかい?」
「まぁな。本人は幼い頃に拐われたせいか故郷がどこにあるのかわからないらしいんだわ」
商人は腕組みをしながら唸っている。
「う~……ん。……ん? 待てよ? ジェイドはん、そんならその商人から話聞いた方が早いんやないか?」
「……あ」
「拐ってきたんなら場所もわかるやろ」
「そうか! それは思い付かなかった! 恩に切る!」
そう言いナビリア商会に飛ぼうとした俺を商人が止める。
「なんだ?」
「ジェイドは~ん? 気付いたのはワイの閃きのおかげちゃうん~?」
「ああ、そうだな」
「ほんなら……何かあってもええんちゃう~?」
全く、商人とはがめつくて困る。
「わかったわかった。港に来い。船をやるよ」
「よっしゃ! ほんなら今すぐいこか!」
俺は商人に連れられ港へと向かった。
「で、船ってどんなん?」
「ああ。今出してやるよ。【創造】」
「へ?」
俺は海の上にとあるゲームから空飛ぶ船、つまり飛空艇を創り出してやった。
「な、なななななんやこれっ!?」
「あん? 言ってだろ、鋼鉄船だって。これは海の上も走れるし、なんなら空も飛べる。動力は魔導エンジンだから魔力を注げば動かせるぞ」
「そ、空飛ぶ船!? こ、こんなん世界のどこにもあらへんで!? 下手したらこれを巡って世界対戦や!?」
「なら適当に海に降りて走って行けば良いだろ。とりあえずそれはくれてやる。大事に使えよ? じゃあな」
「あ……」
そう言い、俺はナビリア商会へと転移した。
「こ、こんなん危なくて使えるかいっ! 鋼鉄の船ってだけでも使えんのに……。空まで飛ぶとかどないなっとんねん……」
商人は目の前にある船をどう扱うかと頭を抱えるのであった。
そして俺はナビリア商会へと転移し、オーナーを訪ねる。
「おお、これはジェイド殿! お久しぶりでございますな」
「ああ。オーナー、ちょっと聞きたいんだがな」
「はい?」
俺はオーナーにミーニャをどこから拐ってきたのかと尋ねた。
「ああ、あの白虎族ですか。あれはまずシーメルから隣の大陸【グラディオン大陸】へと渡り、そこから北に向かって行きます。すると港町【ベイロン】がありますので、そこから次の大陸【シーガロン大陸】に向かいます。そしてそのシーガロン大陸の港町【バルディ】から北東に向かった先に山脈があります。白虎族の里はその山脈の内側にある盆地にあるのです」
「……お前、そんな遠くからよく仕入れてきたな」
「はっはっは。私は元々シーガロンの生まれですからな。仕入れは里帰りのついでですよ」
「ほう。なら……シーガロン大陸はどんな所なんだ?」
オーナーは言った。
「……まぁ、めちゃくちゃ寒いですな」
「ふむ」
「特に白虎族の里がある場所は一年中雪が消えません」
「そ、それは寒そうだな」
「平地では雪こそ積もりませんが、夏でも長袖が基本。まぁ、暮らしにくい土地ですな」
あまり行きたくはないなぁ。
「しかしまぁ、それだけにシーガロンの女は色白で透き通るような肌が売りです」
「……ん?」
「シルクのような抱き心地は一度知ったら癖になること間違いなし! シーガロンは寒いので人肌同士で温めあうサービスなんかも……」
「情報ありがとうっ! 今度土産持ってくるわ! んじゃっ!」
「へ? 消え……?」
俺は適当に挨拶を済ませビルに転移した。
「ミーニャ! いるか!?」
「がう?」
「白虎族の里がある場所がわかったぞ」
「おぉ~! さすが主!」
「すぐに向かおう。子供達を連れて町の入り口に来てくれ」
「え? あ、消えた」
俺は町の入り口へと転移し、また飛空艇を創造した。
しばらくしてミーニャが子供二人を抱えてやってきた。
「主~! なにこれ!?」
「空飛ぶ船だ。なにせ遠いからな。ちんたらしてたら半年はかかりそうな距離でよ。今回はこれで飛んでいく。海も山も全部これでひとっ飛びだ」
「ふあぁぁぁっ!? これで空が飛べるの!? 凄い!」
「ふっ、こんなの朝飯前よ。さあ、行こうか。ミーニャの両親に孫を見せてやらないとな」
「がうっ!」
こうして、俺はミーニャと子供二人を連れ新たな大陸へと飛び立つのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる