現世で死んだ俺は新たな世界へと生まれ変わる途中で邪神に拐われました。ありがとう! 感謝します邪神様っ!

夜夢

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第4章 シーガロン大陸編

08 対ハーデス

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 俺はハーデスに向かい拳を構える。

「【高速移動】!!」
「なっ!? き、消え……っ!?」

 俺は高速移動で床や天井を駆け回りハーデスの隙を狙う。

「なんだあいつキョロキョロしやがって……。まさか……俺の姿が見えてないのか?」
 
 ハーデスは鎌を構えたまま動かない。

「ぐぬぬ……。神なのに! 私神なのに! なんで見えないっ! 人間が神より早いなんてありえないっ!」

 そうか。見えないか。いや、もしかすると油断させるための演技かもしれん。ここは慎重にいこう。

「ふっ!」
「きゃんっ!?」

 俺はまずハーデスの足を狙った。通り抜けざまハーデスに足払いをかけ転倒させる。

「いったたたた……」
「今だっ!!」
「きゃぁっ!!」

 俺は仰向けに転倒したハーデスに馬乗りになる。マウントポジションと言うやつだ。腰を浮かし両膝でハーデスの肩を押さえる。

「くくくっ、これが神? 笑わせるな。弱すぎるぜ、ハーデス」
「お、重いぃぃぃっ! 腕に力が入らないっ!」

 人間は肩を抑えられると力が入らなくなる。ハーデスのように小さい身体なら尚更だ。

「神の上に跨がるなぁっ! 貧弱な人間の癖にぃっ!」
「あぁん? その貧弱な人間とやらに負けてんじゃねーか」

 俺はハーデスから鎌を奪い取り異次元ボックスに放り込んだ。

「あっ! 私の鎌っ! か、返してよっ!」
「これでお前は無力だ。さあて、どうしてくれようか。謝るなら許してやらんでもないぞ?」
「あ、謝る? ふざけるなっ! 私は何も悪くないっ! 悪いのはお前だっ!」
「ほう? ならお仕置きだ」
「え? なぁっ!?」

 俺は馬乗りになったままズボンからアレを取り出した。

「な、なななななにしてるのっ!?」
「お仕置きだと言っただろ。ほ~ら、これがお前の姉デルモートを何度も掻き回してきた逸品だ。その小さい口で味わいなっ!」
「んぐぅぅぅぅぅっ!?」

 顔が丁度良い位置にあったので悪い虫が働いてしまった。俺は今ハーデスの小さい口にアレを捩じ込んでいる。

「おらっ、舌使え舌! 歯立てんじゃねぇぞ? それはデルモートもお気に入りのブツだからな。傷でもついたらあいつ悲しむぜ?」
「んむぅぅぅっ!」

 ハーデスは大人しくなり俺に従った。勝ったな。戦闘開始から五分。まぁまぁか。

「どれ……」
「んむぅぅぅっ!? んっ、んぅぅぅぅっ!?」

 俺は跨がったままハーデスの下腹部に手を伸ばす。

「なんだよ、やる気満々じゃねぇか。お前もこの世界に顕現してみるか? 俺はお前を顕現させてやれるんだぜ? そうすりゃずっとデルモートと一緒にいられる。イエスなら頷いてみな」
「っ! ……こくっ」
「良いだろう。離れるが暴れんなよ」

 俺はハーデスの足の間へと移動した。ハーデスは姉との日々を妄想しているのだろうか。軽く呆けていた。

「ハーデス」
「え? あっ、な、なに?」
「今からお前を抱く。覚悟は良いな?」
「……は、早くして。あと……ご、ごめんなさい。どんどん信者が減って自棄になってた」
「まったく。後でシスターに謝れよ」
「……うん」

 素直になったハーデスは一切抵抗する事なく俺を受け入れていった。そして召喚時間ギリギリ、ハーデスは俺の精力を受けこの世界に顕現した。

「ふぅ、間に合ったか。どうだハーデス。この世界で実体化した気分はよ?」
「……これで姉様とずっと……。あ、ありが……と」
「ああ」

 俺は気を失ったハーデスから離れ衣服を整える。そして礼拝堂の扉を開いた。

「あ! ジェイド様っ! ハ、ハーデス様は?」
「あそこに転がってる」
「え?」

 シスターが俺の指差した方に視線を向けると、そこには白く染まったハーデスが大の字で転がっていた。 

「あ、あれがハーデス……様? 神像とはまたずいぶん姿形が違いますが……」
「みたいだな。だがまぁ……あれが間違いなくハーデスだ。お前が崇める対象の神だよ」
「まさか生きている内に神と対面できるだなんて……。ジェイド様は凄いですね」
「まぁな。しかし……これで神二柱が俺の仲間に……。もしかして世界征服とか簡単に出来ちまうんじゃ……」

 その時だった。ハーデスが覚醒し、むくりと上半身を起こした。

「私……失神してた?」
「ああ、ハーデス様!」

 シスターが駆け寄りハーデスを支える。

「あんたは……?」
「はい。冥王教のシスターにございます」
「シスター……。ああ、じゃああんたが私の信者……」
「はいっ!」

 ハーデスはシスターに言った。

「あり……がとう。あと……寒くしてごめん」
「あぁぁぁぁっ! こんな幸せがあって良いのでしょうかっ!! 私は今感涙で前が見えませんっ!」

 そう言い抱きつこうとしたシスターの腕を躱わし、ハーデスは俺に抱きついてきた。

「ジェイド。鎌返して」
「あん? ああ、そう言えば奪ってたな」
「か、返してくれなきゃ悪戯する! も、物凄い悪戯しちゃう!」
「ほう?」

 どうやら素直にもっとしたいと言えない性格らしい。

「じゃあまだ返してやるわけにはいかないなぁ~」
「っ! な、なら悪戯する! シスター、外出てて。これからジェイドは私に悪戯される」
「は、はぁ……。あの、ほどほどでお願いしますね。で、では……」

 シスターが礼拝堂を出るとハーデスはニマッと笑った。

「ジェイド。姉様より好きになった。今から私はジェイドのモノ」
「あん?」
「ジェイド。これから私達はずっと一緒」

 ハーデスは堕ちていた。どうやらすっかり虜になってしまったらしい。

「良いぜ。お前は今から俺のモンだ。これからするのは悪戯じゃなく奉仕な。さあ、俺に奉仕してくれハーデス」
「っ! い、いっぱい奉仕するっ!」

 この後二人は半日ほど礼拝堂に籠るのであった。
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