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第5章 グラディオン大陸編

12 新しい町にて

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 門の近くに新しい町を作る。そこには王都に移転させたはずのあの母娘の食堂が堂々営業している。

「いらっしゃいませ~! ここでロサイスの家庭料理食べられますよ~!」

 腕の上がった母親の料理は絶品だった。ロサイスから来た女達は懐かしい故郷の料理に舌鼓を打っていた。母娘の店はロサイスにいた頃とは別物のように繁盛し、すでに臨時の店員や料理人も雇っていた。

 それに加え、この町で新たに商売を始める者も多く見られ、町は想像以上に賑わいを見せていた。雑貨屋やエステ、服屋にアクセサリー店など、女性ならではの店も多く並び、旧サーディン帝国の女はともかく、コーテッド王国からも買い物客が来ている。

 そしてコーテッド王国からの客が増えて来たため、俺はこの新しい町と旧サーディン帝国王都、そしてコーテッド王国の各町を魔導列車で繋いだ。交通の便が良くなり、町はさらに賑わいを増していく。

 ロサイスの食糧が尽きるまで一週間、女達が消えたためまだもつだろう。だが未だにロサイス王からの謝罪はない。ロサイス王国は女騎士までをも奪われており、今かなりむさ苦しい状態になっているだろう。だが、そんな事は知った事じゃない。俺は輝きを取り戻した女達の相手で休む暇もないのだ。

「わ、私は騎士なのにぃぃぃぃぃっ!」
「どうりで良く締まるはずだ。良い身体してるじゃねぇか。このまま出して良いよな?」
「は、はいっ! ジェイド王の望む場所にぃっ! あっ……あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 可愛かろうがなかろうが女は女だ。入れる穴さえあればよほどオーク似かゴブリン似じゃない限り愛せるのが俺だ。まさにこの町は俺のハーレムだ。ロサイスから来た女以外でも、コーテッド王国から来た女も食い散らかす。

「あの……、私欲しいものがあって……。その、ジェイド王に抱かれたらお金もらえるって聞いて……」
「誰から聞いたのかねぇ~。ま、金くらいくれてやるよ。とりあえず……ホテル行こうか?」
「あ、は、はい!」

 コーテッド王国から来る女は若い者が多い。と言うのも、この町の商品は大体俺がプロデュースしている。そのほとんどが地球産のアイディアだ。これが若者に大当たり。だが若者は金を持っていないためこうして抱かれに来るのである。ほんとチョロいな。

「おいおい、初めてだったのか?」
「は、はいっ……。でもっ……ジェイド王になら初めてをあげても良いかなって……。あの、私まだなのでもっとしても良いですよ?」
「そんなに金が欲しいのか~。ま、人気商品も多いもんな。なら続けるぞ? 今日は泊まっていきな」
「は、はいっ! あの……十回は抱いて下さいね?」
「バカ、そんなんで足りるかよ。最低二十回は注ぐからな。途中でへばるなよ?」
「は、はぁぁぁぁぁぁいっ!」

 こうして東側の二国が潤っていく中、分厚い壁で隔絶されたロサイス王国はと言うと。


「あー……腹ぁ……へったな……。何か食えるもん……」
「もう……ダメだ……。野菜も育つまえに全部食っちまった……」
「川魚も獲り尽くしちまった……。もう食い物がねぇ……。どうしてこうなっちまったんだ……」

 ロサイス王国国内は飢えに苦しんでいた。いくら節制しようと腹は減る。女達がいなくなり食糧に余裕ができたが、それも微々たるものだった。もはやロサイス王国国内に食べ物はない。

「王よ……、もう耐えられませんっ! 謝罪してくださいっ!」
「……ふざけ……るなっ! 俺は……絶対に屈しないぞっ!」
「……そう……ですか。ならば致し方ありませんな」
「ん……? なっ……!? お前っ……!」

 謁見の間に兵士達が雪崩れ込む。その先頭には女が立っていた。

「愚王、これまでです」
「な、何を言っている……!」
「あなたのつまらないプライドのせいで民は苦しんでいます。この国は私が率います。あなたには消えてもらいますよ」
「き、貴様ら……っ! 反乱かっ!!」

 飢えに耐えきれなくなった男達はロサイス王国に残った最後の女、現ロサイス王の妹を旗印にし、反乱を起こした。

「舐め……るなっ! 腹が減って力が落ちているとは言え……俺は王だっ! 有象無象に負けるかぁっ!」

 その時だった。妹率いる兵士達は袋から食糧を取り出しそれを王の前で口にした。

「な、なんだそれは……っ! き、貴様ら……! どこに食糧を隠していたっ!!」
「お母様ですよ」
「な、なにっ!? あの裏切り者かっ!」

 そこにもう一人女が姿を見せる。それは先代ロサイス王国国王の妻、つまり先代王妃であった。彼女は移動が解禁された後、スパイとしてジェイドの側に向かっていた。

「バカな子。あなたを王にした先代国王が愚かでした」
「なっ!?」
「あなたが頭を下げていればこの国もコーテッド王国のように豊かになっていたでしょうに……」

 先代王妃は旧サーディン帝国とコーテッド王国の現状を息子に語った。

「ば、ばかな……。あの男はなんなんだっ! 理解できないっ!」
「する必要はありません。ここであなたは終わるのですからね。あなたを処刑した後、娘をジェイド様に捧げ謝罪します。私もすでにジェイド様の子を宿していますから……。これからのロサイスにあなたは必要ありません。……皆さん、よろしくお願いしますね」
「「「「はっ!!」」」」

 兵士達が槍を構える。

「ま、待て……! 俺は王だっ……! 誰に槍を向けているかわかっているのかっ!」
「うるさいっ!」
「っ!?」
「俺達が苦しんだのはお前のせいだっ!! 全軍……突撃ぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」
「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」」 
「う……うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 若きロサイス王は飢えた男達の手により葬られた。

 その若き王の妹が母親に尋ねる。

「お母様、そのジェイド様はどんなお方なのでしょう? 私殿方は初めてですから……」
「優しいお方よ。ベッドの中では特にね? すっごくたくましい逸物がこれでもかって子種を何回も吐き出してくれるの。お母さん久しぶりにハッスルしちゃったわ」
「確かに……。綺麗になりました?」
「ジェイド様の町には女の子が綺麗になれる魔法の様な品も沢山あるのよ。だから東側全土から毎日女の子達が押し寄せてるの。あなたも……謝罪して抱いてもらうと良いわよ」
「抱いてもらえるでしょうか……。私はまだ子ができませんし……」
「大丈夫よ。そんな女の子はいっぱい見掛けたけど皆抱いてもらえてたわ。さ、お母さんと一緒にあいつの首を持って行きましょ。もうこの国には時間がないわ」
「……はいっ!」

 こうして、若き王は配下と先代王妃の裏切りにより、その短い生を終えたのであった。 
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