現世で死んだ俺は新たな世界へと生まれ変わる途中で邪神に拐われました。ありがとう! 感謝します邪神様っ!

夜夢

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幕間 神界編

02 誰もいない神界なんて

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 主神ゼウス。自らが主神でいたいがために自らより優秀な神を次々と追放していった愚神。その愚神も邪神デルモートにより葬られた。デルモートは玉座に座りゼウスの杖を持ち、ゼウスの保持していた権限を全て乗っ取った。これによりデルモートが新たな主神となった。

「ジェイドよ。ここまでこれたのは全てお主のお陰じゃ。感謝するぞ」
「ああ。これで貸し借りなしだ。俺はお前に協力し、クソジジイへの復讐を果たした。お前も神界に戻れたし言う事なしだろ」
「うむ。これより追放された神々を再召喚する。しかしのう……皆が素直に従うとも思えん。お主にはもう少し協力して欲しいのじゃ」
「嫌だと言ったら?」
「その時は仕方ない。諦めるとしよう。ハーデスでも召喚し協力してもらう」
「そうかい」

 俺はクソジジイが消えた事で何か心にポッカリと穴が開いたような状態になっていた。生きる目標と言うか、張り合いがなくなった感じだ。

「悪いが……今はなぁんにもしたくねぇな。なぁ、俺をここから追放しちゃくれねぇか?」
「……ふむ。自らが追放を望むとはな。お前らしい」
「ここには何もないからな。元いた星でもどこか違う星でも良い。とりあえず退屈しない世界にでも追放してくれよ」

 デルモートはゼウスの権限を使い、ゼウスが管理していた世界を見る。

「ふむ。要は暴れたいんじゃろ?」
「暴れたいっつーか……退屈しなけりゃそれで良い」
「なら……惑星【フォーリーン】なんてどうじゃ?」
「あん?」

 デルモートは俺の前に惑星【フォーリーン】の映像を写し出した。

「ここは魔族と人間が今もまだ激しい争いを繰り返している星じゃ。魔族は妾を信仰しておるが、人間は全て無神論者じゃ。そして……人間は召喚術を使い、異なる世界から人間を召喚し、魔族と戦わせておる」
「ほ~ん」
「いまいちわかっておらぬようじゃな。ジェイドよ、この星にはお主がいた地球という星の人間もいるのじゃぞ?」
「はぁ?」

 俺はデルモートの写し出した映像を見る。

「黒髪黒目……日本人か」
「うむ。パスが繋がっているせいか日本人は召喚されやすくてのう。そこで召喚された人間は力を授かり魔族と戦わせられておる」
「特別な力?」
「うむ。チートと呼ばれておる」
「チート……ズルか」
「まぁ、全員が授かるわけではないがの」

 そこで俺は疑問を覚えた。

「授かった奴は戦わせられるとしてよ、授からなかった奴らは?」
「女は性奴隷、男は強制労働じゃの」
「……クズだな」
「うむ。お主にはそこに行ってもらいたい。そして魔族の味方をしつつ、人間を駆逐してもらいたいのじゃ」
「なるほど。報酬は?」

 デルモートはニヤリと笑う。

「主神デルモートの夫。お主が役目を果たすまでに女神だけを神界に戻し調教しておく。役目を果たした暁には全ての女神はお主のモノじゃ」
「……良いねぇ。それに加えて俺に新しい力をくれ。そうだな……好きな星に行ける力が良いな」
「良かろう。見事【フォーリーン】を治めた暁には新しい力を与えよう」
「よし、交渉成立だな」

 新しい目標を見つけた俺の瞳に生気が漲る。死んだ魚のようだった瞳が今やギラギラと紅く輝いていた。

「では……送ろうかのう」
「いや、待て」
「なんじ……お、おいジェイド……?」

 俺は服を脱ぎ捨てながらデルモートの前に立つ。

「やり納めだ。しばらく会えなくなるだろうからな。今から仕込ませてもらうぜ」
「う、うむ。妾にとっては一瞬かも知れぬがお主には途方もない時間となるやも知れんからのう。行く前に妾を忘れんようにしてやろう」

 それから俺達は滅茶苦茶やりまくった。残念ながら違う世界に分身を残してはいけない。しばらく会えないと思ったら滅茶苦茶盛り上がった。

「や、やりすぎ……じゃっ」
「ははっ、最後になるかも知れねぇからな」
「ふっ、最後などとは微塵も思っておらぬ癖に」
「バレたか。ま、しばらく会えないのはマジだからな。お前こそ俺を忘れんなよ」
「ここまでされて忘れるなどあり得んよ。妾の身体はお主のモノじゃ。妾が産むのもお主との子のみじゃ。それは未来永劫変わらぬよ」

 そう言い、デルモートは俺にしがみついてきた。

「本当なら星ごと消滅させてお主とまったりしたかったのじゃがの……」
「ははははっ、知ってるだろ。俺はセックスも好きだが……殺しや支配はもっと好きなんだよ」
「知っておるわ。長い付き合いじゃからの。最初からお主は神界の水が合わぬとは思っておったわ」
「さすが俺の嫁だ。よくわかってるじゃねぇか」

 俺は受精させたデルモートの身体からゆっくりとモノを引き抜いていく。

「なぁ、手っ取り早く済ませるために今新しい力をくれよ」
「なんじゃ、妾と離れたくなくなったか?」
「ああ。やっぱお前最高だわ。そうだな、力をくれるなら数年だ、数年で戻ってくる」

 デルモートはゼウスの杖を手にし、ジェイドに向ける。

「【スキル作成】。これを与えよう。これは好きなスキルを一日一つ作り出し身に付けられるスキルじゃ。これを使いさっさと戻ってくるのじゃ」
「くくくっ、お前本当に俺が好きな。任せろ、すぐに片付けてやるよ。終わったらここに戻してくれ」
「うむ。任せたぞ、ジェイドよ」


 こうして俺は神界を自ら下り、新たなステージへと向かうのであった。
 
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