現世で死んだ俺は新たな世界へと生まれ変わる途中で邪神に拐われました。ありがとう! 感謝します邪神様っ!

夜夢

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新章 惑星フォーリーン編

03 魔族を増やさねば

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 魔王と四天王をモノにしたジェイドはまず領地の現状改善に着手した。魔族領は度重なる人間との戦いで魔王城のある都市以外はほぼ廃墟だった。そしてその王都も半壊状態。あと少しジェイドの降臨が遅ければ魔族は全滅していただろう。

 ジェイドはひとまず次の襲撃に備え全ての魔族を王都へと集結させ、外壁をスキル【復元】で元通りに直し、さらに【破壊不能】を付与、加えて魔族以外を侵入できないように【侵入不可結界】を張った。

 そして集結した魔族を見て思った。

「……俺は全魔族に収集をかけたはずだが?」

 それにヒルデが答える。

「ジェイド様、これで全てなのです」
「これで!? マジかよ……」 

 王都に集まった魔族は二百、いやそれより少ないくらいだ。しかもその大半が怪我をしており、部位欠損している者達だ。

「勇者め、やりたい放題かよ。許せんな」

 ジェイドは同じ地球から召喚された者がここまでする事に驚いていた。ヒルデから聞いた勇者の特長は十代から二十代前半だ。それが自分ならともかく日本人が何の躊躇いもなく命を狩っている事を不思議に思った。

「力を得て調子に乗ってやがるのか。ガキの癖に生意気だな。こりゃあしっかり躾てやらなきゃなぁぁ……」

 ジェイドの顔が歪に歪み口角が上がる。

「な、なんて悪魔的な笑顔っ! ああ、さすまおっ!」
「……お前もかよ。久しぶりに聞いたなそれ。っとまずは治療だな」

 ジェイドは魔族を一ヶ所にまとめ完全回復魔法で全ての傷を癒してやった。

「う、腕が戻った!?」
「あぁぁ……、顔の火傷が……!」
「あぁぁっ、私の昔欠けた角まで……!」 
「魔王様……!」
「魔王様……!!」
「「「「我らが魔王様っ!!」」」」

 傷の癒えた魔族は地に膝をつきジェイドの前に平伏す。全ての魔族がジェイドを魔王と崇めた瞬間である。

 ジェイドは平伏す魔族達に言った。

「そうだ、俺が魔王ジェイドだ。俺がお前達の王、俺の命令は絶対だ。これからお前達は戦わなくても良い。その代わり女は俺と子作り、男には子育てをしてもらう。まずは減ってしまった魔族の総数を増やすぞ。良いな」
「「「「はいっ! 偉大なる魔王様っ!」」」」
「よし、ではまず女は城に来い。子作りタイムだ」

 ジェイドは安全となった王都でひたすら女魔族を孕ませ続ける。孕んだ魔族はその場で【時間加速】させ、卵を産ませる。その卵を孵化装置にかけ強力な魔族を誕生させていく。ジェイドの正体は神だ。産まれた子は神の遺伝子を持つ。人間が求めてやまない魔神が次々と誕生していったのである。

 ヒルデが産まれた子を抱えジェイドに問う。

「まさかジェイド様は神なのですか?」
「まぁ……神だな。お前らの崇める邪神が俺を遣わせたんだ。その信仰、絶やすなよ?」
「も、もちろんですとも! そして新たにジェイド様をも信仰させていただきます!」
「おお、それはありがたい。是非とも頼む」
「ははっ!」

 その後ジェイドは王都を大改造し、狭い土地でも多くの魔族が暮らせるようにした。簡単に言うと都会化だ。家は全てマンションに、店はビルにした。上下水も完備し、劣悪だった環境を激変させたのである。

「あ、温かい水がでる! しかも無限に!?」
「おぉぉぉ……魔法を使わなくても火が!」
「こ、この冷える箱は凄いぞ!」
「夜でも明るい……! さすまおっ!」
「「「「さすまおっ!」」」」

 ジェイドが降臨して半年、魔族は瞬く間に増え、ジェイドの庇護下で快適な生活を満喫しつつその数を増やし続ける。

 一方、召喚された女勇者達はというと。

「なんで妊娠するために自分から魔族の所に行かなきゃならないのよっ! ふざけるんじゃないわよっ!」
「仕方ないよ……。この首輪がある限り私達は逆らえないんだから……。それに、使命を果たさなきゃ日本に帰れないし……!」
「どいつもこいつも異世界ってのは狂ってる! 私達まだ十代なのよ!? しかも初めてが魔王とか……! やってらんないわよっ!!」
「でも……あの魔王ちょっとかっこよくなかった?」
「あ、わかるー! なんかワルって感じだったよね~。私抱かれても良いかも~」
「ならあんたが行ってきなさいよ。さっさと終わらせて帰りましょ」

 女勇者達は魔族領の境に集まり対応を話し合っていた。誰かが魔王の子を孕めば任務達成となる。達成すれば日本に帰れると信じていた。しかし自分は異形との妊娠など絶対にしたくない。女勇者達は誰が行くのかもめていたのである。

 そこに先ほどの女勇者が名乗りを上げた。名前は【相川 きさき】。まだあどけない少女だ。

「じゃあ妃が行くね~。皆はどうするの?」
「あんたが一ヶ月経っても帰って来なかったら次を行かせるわ」
「オッケ~。じゃあ妃いきま~す!」

 妃は皆に見送られ一人魔族領に入った。

「うわぁ……ボロボロだし魔族いな~い。男の子達だいぶ暴れたんだぁ~……」

 妃は帰還した男勇者が興奮した状態で自分は何体魔族を殺したとか建物を壊してやったとか自慢していた事を思い出す。

「男の子達にとっちゃゲームと同じ感覚なんだろうなぁ~……。本当ガキくさ~い。やっぱり男は落ち着いた大人じゃないとね~」

 そう呟きながら妃は歩みを進める。そして王都を見て驚いた。

「えっ!? な、なにあれ……? と、都会!? 異世界にビル!? な、なにこれっ!?」

 妃は外壁からのぞく高層ビルを見上げ呆然とするのだった。 
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