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第一章 異世界転移編
06 愛車、人になる!
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枢は魔神から力をもらい元の空間へと戻った。かなりの時間あの空間にいたと思ったが外はまだ夜のままで、月の位置から数分位しか経過してない。リミラに尋ねるとどうやらあの空間は時の流れが遅いらしい。
これからの事は明日朝になってからにするとして、今夜寝る場所をどうしようか。リミラと寝るわけにもいかないしな……惜しいが。リミラに尋ねると隣の部屋が空いているらしく準備も済んでいるそうだ。
枢は割当てられた部屋に行き今日あった事を振り返っていた。
──カチッ。シュボッ……チリチリ……──
「ふぅ~……。中々に濃い一日だったなぁ……」
さて、明日はさっそく愛車にスキルを使ってみるとしよう。愛車がどんな姿になるのか楽しみだ。
長い一日を終え、枢はフカフカのベッドで眠りに就くのだった。
……コンコン。朝日が射し込む部屋に扉をノックする音が響いた。枢は目を醒ましどうぞと返事をした。
「おはようございます、八神様。本日より八神様の身の回りの御世話をさせて頂くことになりましたメイドの【パーラ】と申します。以後どうぞよしなに」
入って来たのはまさかのメイドさんでした。黒を基調としたシックな感じのメイド服に……。
(あ、あれは……メガネ!? まさかのメガネっ娘か! ……GJ!! 出来る感じの雰囲気がまた何とも言えませんな……はあはぁ……)
……ヒュッ。興奮していた枢の顔の横をスカートの中から取り出したナニカが飛んでいき……深く壁に突き刺さっていた。
「失礼しました。蟲が飛んでいたもので」
(短剣でした……。だがチラリと見えた白い布……。うん、やはりメイドの下着は白に限る!)
パーラは壁から短剣を抜き、刺さっていた蟲を炎を出して塵にした。戦闘メイドさんでしたか……。それもまた良きっ。
「くれぐれもお気をつけになられますよう……。それでは何かありましたらお呼び下さい」
そう会釈し、挨拶を交わしたパーラは退室していった。
うん……気を付けよう色々と。
朝から肝が冷えたが今日の目的を忘れちゃいけない。愛車の元へと急がねば。
はやる気持ちを抑え、柩はガレージへと向かった。
ガレージに着くと入り口の前に人影が見えた。
「あ、やっと来たデス! 枢お兄ちゃん今からこの鉄の箱に何かするデス? リミラも見てていいデス?」
「ああ、いいぞ~。ただし……他の奴には内緒だぞ? これをあんまりあてにされても困るからなぁ」
わかったデス~ニパー☆とリミラは少し興奮気味だった。これから行うのは【錬金術】とは違い、リミラにも未知のものらしい。リミラはワクワクしながら枢の後ろに隠れ顔だけ覗かせていた。よし、では始めようか。
枢は愛車に近づきそのボンネット部分に手を置き、そしてゆっくりと目を閉じ念じた。
「スキル【擬人化】発動っ!!」
スキルを発動させると車体全体が輝き、やがてガレージ内が眩い光に包まれた。それと同時に枢のMPが一気に半分まで減っていく。
「むぅ、一気にMPが減るのはちとキツいな……」
枢は軽い眩暈をおこし地面に片膝をついていた。やがて光は車体に集束されていき、人の型に形成されていった。最後に一際輝き、枢達は目を開けていられなくなった。
「……マスター。マスター……」
声が聴こえる。枢達はゆっくり目を開けた。すると目の前には真っ白な腰まであるシルクの様な髪に、少し眠そうな感じの蒼い瞳をもったリミラより少し大きい見た目の少女がいた。……全裸で。
「……お、おぉっ俺の愛車……めっちゃ可愛いっ!! 車体の色が見た目に現れ、あの眼は……ライト部分か! スラッとした身体はスポーツタイプのせいかな? 貰って良かった【擬人化】バンザイっ!!!!」
興奮している枢にトテトテと近づいて愛車は言った。
「……マスターとお話し出来るの……嬉しい。いつも大事にしてくれてアリガトウ……。それと……名前……欲しい」
「お、おぅ。うっかりしていた。名前……名前かぁ。いつまでもFD3Sは無いよな。うん、せっかく人になったんだし。ふぅむ……」
枢はしばし悩み愛車に付ける名前を考える。
「よしっ、今日から君の名前は【八神 真白】だ。家族みたいなモノだからな。俺の家名をつけたんだが……嫌か?」
「八神……真白。やがみ ましろっ……♪ マスター…… 嬉しいです。~っ♪」
そう言いながら真白が抱きついてきた。可愛いなぁ……。そう思いながら自然と枢は抱きついてきた真白の頭を撫でてあげていた。
「真白、これからもよろしく頼むぞ?」
「はいっ! ……マスター♪」
十八で購入してから今まで大事に大事にしてきた愛車と会話ができるようになった。愛車に注ぎ込んだ金は全て汗水垂らして稼いだバイト代から全て捻出していた。汚い金は一切投入していない。
タイヤ、ホイール、ブレーキ、サスなどの足回りからエアロ、ウィング、アンダーパネルなどの空力関係、そして心臓部のボアアップからクロスミッション、CPU、大口径マフラーへの換装からなるパワーアップ、果ては軽量化まであらゆる手を尽くし大事に育ててきた。
それが今目の前で人になり会話ができる。これを喜ばずにはいられなかった。
「真白っ、愛してるぞぉぉぉぉぉぉぉっ!」
「はいっ、マスター♪」
「……むぅぅぅ」
抱き合う二人を見てリミラはむくれるのであった。
これからの事は明日朝になってからにするとして、今夜寝る場所をどうしようか。リミラと寝るわけにもいかないしな……惜しいが。リミラに尋ねると隣の部屋が空いているらしく準備も済んでいるそうだ。
枢は割当てられた部屋に行き今日あった事を振り返っていた。
──カチッ。シュボッ……チリチリ……──
「ふぅ~……。中々に濃い一日だったなぁ……」
さて、明日はさっそく愛車にスキルを使ってみるとしよう。愛車がどんな姿になるのか楽しみだ。
長い一日を終え、枢はフカフカのベッドで眠りに就くのだった。
……コンコン。朝日が射し込む部屋に扉をノックする音が響いた。枢は目を醒ましどうぞと返事をした。
「おはようございます、八神様。本日より八神様の身の回りの御世話をさせて頂くことになりましたメイドの【パーラ】と申します。以後どうぞよしなに」
入って来たのはまさかのメイドさんでした。黒を基調としたシックな感じのメイド服に……。
(あ、あれは……メガネ!? まさかのメガネっ娘か! ……GJ!! 出来る感じの雰囲気がまた何とも言えませんな……はあはぁ……)
……ヒュッ。興奮していた枢の顔の横をスカートの中から取り出したナニカが飛んでいき……深く壁に突き刺さっていた。
「失礼しました。蟲が飛んでいたもので」
(短剣でした……。だがチラリと見えた白い布……。うん、やはりメイドの下着は白に限る!)
パーラは壁から短剣を抜き、刺さっていた蟲を炎を出して塵にした。戦闘メイドさんでしたか……。それもまた良きっ。
「くれぐれもお気をつけになられますよう……。それでは何かありましたらお呼び下さい」
そう会釈し、挨拶を交わしたパーラは退室していった。
うん……気を付けよう色々と。
朝から肝が冷えたが今日の目的を忘れちゃいけない。愛車の元へと急がねば。
はやる気持ちを抑え、柩はガレージへと向かった。
ガレージに着くと入り口の前に人影が見えた。
「あ、やっと来たデス! 枢お兄ちゃん今からこの鉄の箱に何かするデス? リミラも見てていいデス?」
「ああ、いいぞ~。ただし……他の奴には内緒だぞ? これをあんまりあてにされても困るからなぁ」
わかったデス~ニパー☆とリミラは少し興奮気味だった。これから行うのは【錬金術】とは違い、リミラにも未知のものらしい。リミラはワクワクしながら枢の後ろに隠れ顔だけ覗かせていた。よし、では始めようか。
枢は愛車に近づきそのボンネット部分に手を置き、そしてゆっくりと目を閉じ念じた。
「スキル【擬人化】発動っ!!」
スキルを発動させると車体全体が輝き、やがてガレージ内が眩い光に包まれた。それと同時に枢のMPが一気に半分まで減っていく。
「むぅ、一気にMPが減るのはちとキツいな……」
枢は軽い眩暈をおこし地面に片膝をついていた。やがて光は車体に集束されていき、人の型に形成されていった。最後に一際輝き、枢達は目を開けていられなくなった。
「……マスター。マスター……」
声が聴こえる。枢達はゆっくり目を開けた。すると目の前には真っ白な腰まであるシルクの様な髪に、少し眠そうな感じの蒼い瞳をもったリミラより少し大きい見た目の少女がいた。……全裸で。
「……お、おぉっ俺の愛車……めっちゃ可愛いっ!! 車体の色が見た目に現れ、あの眼は……ライト部分か! スラッとした身体はスポーツタイプのせいかな? 貰って良かった【擬人化】バンザイっ!!!!」
興奮している枢にトテトテと近づいて愛車は言った。
「……マスターとお話し出来るの……嬉しい。いつも大事にしてくれてアリガトウ……。それと……名前……欲しい」
「お、おぅ。うっかりしていた。名前……名前かぁ。いつまでもFD3Sは無いよな。うん、せっかく人になったんだし。ふぅむ……」
枢はしばし悩み愛車に付ける名前を考える。
「よしっ、今日から君の名前は【八神 真白】だ。家族みたいなモノだからな。俺の家名をつけたんだが……嫌か?」
「八神……真白。やがみ ましろっ……♪ マスター…… 嬉しいです。~っ♪」
そう言いながら真白が抱きついてきた。可愛いなぁ……。そう思いながら自然と枢は抱きついてきた真白の頭を撫でてあげていた。
「真白、これからもよろしく頼むぞ?」
「はいっ! ……マスター♪」
十八で購入してから今まで大事に大事にしてきた愛車と会話ができるようになった。愛車に注ぎ込んだ金は全て汗水垂らして稼いだバイト代から全て捻出していた。汚い金は一切投入していない。
タイヤ、ホイール、ブレーキ、サスなどの足回りからエアロ、ウィング、アンダーパネルなどの空力関係、そして心臓部のボアアップからクロスミッション、CPU、大口径マフラーへの換装からなるパワーアップ、果ては軽量化まであらゆる手を尽くし大事に育ててきた。
それが今目の前で人になり会話ができる。これを喜ばずにはいられなかった。
「真白っ、愛してるぞぉぉぉぉぉぉぉっ!」
「はいっ、マスター♪」
「……むぅぅぅ」
抱き合う二人を見てリミラはむくれるのであった。
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