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A同の新入生

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私立・立花女子学園高校。開校80年を超える由緒正しい女子校で、海外留学や設備の充実、部活動の多さなどで地域からは一目置かれる高校だ。

 しかしそんな高校に、女子校らしからぬ怪しい…というより訳の分からない部活が存在していた。
 「ARDF同好会」そう墨文字で書かれたヒノキの看板は色褪せ、小さなクモのスイートホームと化していた。
 立て付けの悪いプレハブ小屋の扉を開くと、そこには3人の少女が座っており、何かよく分からない機械をいじっている。こちらには目もくれず細かいネジや部品とにらめっこをしてはうんうんと唸っている。果たしてここは一体何なのだろうか…。

 話は3ヶ月前に遡る。私は晴れてこの高校に合格し、新入生歓迎会を終えて晴々しい気分で教室へ向かっているところだった。

 私はここ、立花市から30kmほど離れた小さな街で生まれ育ち、中学校までごく平凡な市立学校に通っていた。一応市内にも県立高校、私立高校共にあったのだが、これがまた酷くレベルの低い…悪く言ってしまえばいわゆるヤンキー校だったのだ。私はもちろん、両親もそんな環境が合っているなどとは思うわけがなく、結局はもう少しレベルの高い高校を目指すことになったのだ。

 そんなわけで、この高校には私の数年来の親友はもちろん、顔見知り程度の人間すらいない。こうなってしまうと高校生活は何かと厳しいものなのだ。
 この日は部活オリエンテーションがあり、その後体験入部があったのだが、運悪く部活案内の冊子を私は失くしてしまっていた。
 これが今思えば間違いだったのかもしれない。この時私はテニス部にでも入ろうと思っていたのだが、部活案内がないので体験入部しようにも場所が分からない。友達もおらず、こうなった以上はしらみつぶしに探すしかない。

 ここで私は部活棟の一部屋一部屋を見て回るという手法に出たのだが、これがいけなかった。ある部屋の扉を開けた瞬間だった。
「………新入生や」「新入生?」「新入生だ!!!!」
 そこにいた3人の少女によって、あっという間に取り囲まれてしまった。

「A同なんてとこによう来たなぁ。新入生なんて何年ぶりや?」

「私が去年入ったでしょうが。そんな絶滅危惧種みたいな言い方しないでください」

「ねぇねぇ、名前は!?ここどうやって見つけてくれたの!!??」

 あれ?これはもしや私、勝手に入部希望者だと思われてません?…と、たまらず
「あ、いやそのわたs(ry」
 そんな私に聞く耳は持たず、マシンガンのように喋りまくる。

「分かるでぇ。ウチも入りよった時は怖かったわぁ、こんな汚い部室でごめんなぁ」

「何やる?何やる!?あ、もしかしていきなり試合行っちゃう!?!?」

 ダメだこの人たち……そして横に目をやると、「お手上げ」ポーズのもう1人の少女。
 ツッコミ不在の状況である。「助けてください」と目の合図をすると、

「はーいはいはい落ち着いてください先輩方。ほら、新入生ちゃんが怖がってますよ?」

「あ…すまんなぁ。ちょっと興奮し過ぎてもうたわ」

「だって新入部員だよ!?興奮せずにはいられませーん!」

…完全に新入部員だと思われている。これは誤解を解かなければ…

「…あの、すごく言いづらいんですけど…私テニス部を探してるだけで…」

「えー!?そりゃないよー!ヤダヤダヤダヤダ」

「てかそもそもテニス部とかもう無いで?」

「へ?無いんですか?」

「逆にテニス部とかあったんですか」

「七海が入ってくる前の年まではあったで。…確か優香は元テニス部員やったよな?」

七海、というのは「お手上げ」の少女だろう。優香と呼ばれたのがあのハイテンション娘だろうか。

「うん!最後は私1人だったんだけど、先生が『活動実績がなさすぎだ』ってお取り潰しになっちゃったんだぁ」

 酷過ぎる…この人1人なら、お取り潰しにしたくなる先生の気持ちも分からないではない。
 それにしても困ったものだ。お目当てにしていたテニス部がこの状態廃部になっていては、ほかに見当もつけていなかった私は帰宅部まっしぐらコースとなってしまう。

「困ったな…ゆうても潰れたんコイツのせいなんやけどな。他にどっか行きたい部活とかないんか?」

「今のところは…というより部活案内の紙、失くしちゃって…」

 3人の目の色が変わった。嫌な予感がする。

『「うち」「ここ」入っていか「へん」「ない」!?』
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