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やってみた
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私たちは外に出てきた。4月ももう下旬になり、気温も上がって外に出るには最高の季節だ。
芽吹は例の送信機をまだいじっている。
「ほな、ウチが今からコイツを隠してくるでな。市華ちゃんはそれを探すんや……七海、ちょっといじり方教えとってくれ」
「はいはい、分かりました。……受信機の操作方法だったよね。そうしたらまずは周波数の話からしようか。」
「周波数…って、1秒間に何回震えるかってあの?」
「そうそう。それがこの機械だと3.5MHz…つまり1秒に350万回震える周波数らへんに対応してるってことなんだ。競技で使う周波数は基本的に決まってて、だいたいは3.54とか3.57とかかな」
いきなり訳が分からなくなってきた。七海が続ける。
「今芽吹さんが設定してったのはたぶん3.54MHzだから、そこに合わせれば聞こえるようになるってわけ」
「で、このツマミでそれが変えられるんですね」
「そうそう。ちなみに本当の競技だと探す送信機…”TX”って呼ぶんだけど、5個のTXごとに途中で周波数を切り替えなきゃいけないやつもあるんだ」
何から何まで面倒くさい競技だが、確かに面白そうだ。
とそこに、芽吹が帰ってきた。
「我ながらええとこに置いたわぁ。…どや、いじり方分かったか?」
「はい、何とか…この周波数の目盛りってどう読むんですか?」
「勘や。んなもんアテにできんわ。音聞いてTXやったら合ってるし、ビーコンやったら変える。それでええんや」
「ビーコン?あのマ◯クラにあるアレですか?」
「何を採掘すんねん。採掘速度上昇せんでええねん。ビーコンっちゅーのは探せば遭難してもゴールがわかるってシロモンや。ビーコンはビーコンで周波数と音のパターンが違うから聞き分けなアカンのや」
「説明もほどほどに…そろそろ始めましょうよ」
「せやなぁ、ほんじゃ探し始めてみ」
イヤホンをジャックに挿すとラジオのようなノイズが聞こえてきた。言われた通り、周波数のツマミをゆっくりと回すと、かすかに電子音の聞こえる場所がある。音量を上げると、それは鮮明になった。
「さっそく電波を掴んだみたいやな。その横のボタン…”単向”ってやつを押しながら全方向に向けるんや。」
ツマミ類とは反対側に、確かに”単向”と書かれた赤いボタンがある。押すと、カチリという軽い感触とともに音量がぐっと下がる。
「うお、ずいぶん小さくなりました。これで回せばいいんですか?」
「その調子や。音が一番大きい方にTXがある」
その場でくるくると回ると、ある方向に向くにつれて音量が大きくなり、回り過ぎると音量が小さくなっていく。一番音が大きかったのは…体育館のほうだ。
体育館に向かって歩いて行くと電子音はどんどん大きくなり、たまらず音量を下げる。…芽吹がニヤニヤしているのを見ると、この近くのようだ。
また少し歩くと、今度は音量が下がっていく。そうするとまたそこで回り、音の大きい方向を探していくのだ。
そうこうしているうちに、どうやらTXはここの垣根のあたりにあるらしいと分かった。が、いくら周りをぐるぐるとしてもそれらしきものはなく、しかし電波は垣根のほうから聞こえてくる。
だがふと顔を上げると、垣根の真ん中あたりに朽ちた切り株があった。ずいぶんと古いらしく、中は空洞になっているようだ。
「…あっ」
「お、見つけよったな」
「芽吹さんは性格が悪すぎです。こんなの私でも見つけるのに20分はかかりますよ」
中の空いた切り株の中に、同化するように受信機が収まっていた。芽吹が細いアンテナをつまんで取り出しながら言う。
「な、なかなかええとこやろ?」
「…まさか大会もこんな感じですか…?」
「ないない。芽吹さんがヤバいだけで大会だともうちょっとわかりやすいとこにあるよ。…芽吹さんはもうちょっと自重してください、まったく…」
テヘッ☆とばかりに芽吹が舌を出す。テヘッ☆じゃないが。
…と、こうして私のARDF初体験は幕を閉じた。ああ、本番が思いやられる…と、私は帰路についた。
芽吹は例の送信機をまだいじっている。
「ほな、ウチが今からコイツを隠してくるでな。市華ちゃんはそれを探すんや……七海、ちょっといじり方教えとってくれ」
「はいはい、分かりました。……受信機の操作方法だったよね。そうしたらまずは周波数の話からしようか。」
「周波数…って、1秒間に何回震えるかってあの?」
「そうそう。それがこの機械だと3.5MHz…つまり1秒に350万回震える周波数らへんに対応してるってことなんだ。競技で使う周波数は基本的に決まってて、だいたいは3.54とか3.57とかかな」
いきなり訳が分からなくなってきた。七海が続ける。
「今芽吹さんが設定してったのはたぶん3.54MHzだから、そこに合わせれば聞こえるようになるってわけ」
「で、このツマミでそれが変えられるんですね」
「そうそう。ちなみに本当の競技だと探す送信機…”TX”って呼ぶんだけど、5個のTXごとに途中で周波数を切り替えなきゃいけないやつもあるんだ」
何から何まで面倒くさい競技だが、確かに面白そうだ。
とそこに、芽吹が帰ってきた。
「我ながらええとこに置いたわぁ。…どや、いじり方分かったか?」
「はい、何とか…この周波数の目盛りってどう読むんですか?」
「勘や。んなもんアテにできんわ。音聞いてTXやったら合ってるし、ビーコンやったら変える。それでええんや」
「ビーコン?あのマ◯クラにあるアレですか?」
「何を採掘すんねん。採掘速度上昇せんでええねん。ビーコンっちゅーのは探せば遭難してもゴールがわかるってシロモンや。ビーコンはビーコンで周波数と音のパターンが違うから聞き分けなアカンのや」
「説明もほどほどに…そろそろ始めましょうよ」
「せやなぁ、ほんじゃ探し始めてみ」
イヤホンをジャックに挿すとラジオのようなノイズが聞こえてきた。言われた通り、周波数のツマミをゆっくりと回すと、かすかに電子音の聞こえる場所がある。音量を上げると、それは鮮明になった。
「さっそく電波を掴んだみたいやな。その横のボタン…”単向”ってやつを押しながら全方向に向けるんや。」
ツマミ類とは反対側に、確かに”単向”と書かれた赤いボタンがある。押すと、カチリという軽い感触とともに音量がぐっと下がる。
「うお、ずいぶん小さくなりました。これで回せばいいんですか?」
「その調子や。音が一番大きい方にTXがある」
その場でくるくると回ると、ある方向に向くにつれて音量が大きくなり、回り過ぎると音量が小さくなっていく。一番音が大きかったのは…体育館のほうだ。
体育館に向かって歩いて行くと電子音はどんどん大きくなり、たまらず音量を下げる。…芽吹がニヤニヤしているのを見ると、この近くのようだ。
また少し歩くと、今度は音量が下がっていく。そうするとまたそこで回り、音の大きい方向を探していくのだ。
そうこうしているうちに、どうやらTXはここの垣根のあたりにあるらしいと分かった。が、いくら周りをぐるぐるとしてもそれらしきものはなく、しかし電波は垣根のほうから聞こえてくる。
だがふと顔を上げると、垣根の真ん中あたりに朽ちた切り株があった。ずいぶんと古いらしく、中は空洞になっているようだ。
「…あっ」
「お、見つけよったな」
「芽吹さんは性格が悪すぎです。こんなの私でも見つけるのに20分はかかりますよ」
中の空いた切り株の中に、同化するように受信機が収まっていた。芽吹が細いアンテナをつまんで取り出しながら言う。
「な、なかなかええとこやろ?」
「…まさか大会もこんな感じですか…?」
「ないない。芽吹さんがヤバいだけで大会だともうちょっとわかりやすいとこにあるよ。…芽吹さんはもうちょっと自重してください、まったく…」
テヘッ☆とばかりに芽吹が舌を出す。テヘッ☆じゃないが。
…と、こうして私のARDF初体験は幕を閉じた。ああ、本番が思いやられる…と、私は帰路についた。
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