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やってみる?
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ようやく月曜日の授業が終わった。A同の時間がやってきた。私はまた、例の古びたプレハブの前までやってきた。
また恐る恐る扉を開けると「やっぱ来よったな」と気の抜けた声が返ってきた。
「こんにちは…あれ、今日は荒川さんだけなんですか?」
「んなことないで。優香は居残り、七海は知らん」
「なんとアバウトな…」
「こんな感じでゆるーくやっとるんや。…せや、今日はお試しで試合やってみよか。……どれにしよか」
そう言うと、芽吹は何やらごちゃごちゃとした棚を漁りだした。棚にはよく分からない箱や金属、工具やなぜかぬいぐるみなどが無造作に置かれていた。
それにしてもとんでもない部室だ。機械の修理で使うのかあちこちに工具やら部品やらが散らばっていて、とても女子校の部室とは信じがたいような酷い散らかりようだ。おまけに換気扇の羽は一枚折れて意味をなしておらず、傍目には物置のような有り様だ。
「…これでええか。ほなここにそっから電池取って入れてみ」
芽吹の手には小さな箱のようなものが握られていた。しかもなぜか中国語入りの。
「単3でいいですかね?…これ、なんで中国語なんですか」
「中国って割とARDF盛んな国でなぁ。こいつはR3500Dっちゅー名前や。こんな感じでやっすい受信器がぎょーさん売られとんねん。安い代わりに壊れやすいけど、なかなか使いやすいで」
確かに土日、ARDFの下調べをした時嫌というほど中国についての話が出てきていた。
言われた通りに電池を入れ終わり、プラスチック特有のギシギシと音が鳴るフタをはめ込む。これでスイッチを入れれば電源が付くのだろうが…どうも電源ボタンが見当たらない。
「これ、電源ってどうつけるんですか?」
「市華ちゃんイヤホン持っとるか?ちょっと貸してみ」
芽吹はイヤホンを受け取るとジャックに差し込むと、受信機の横にあるツマミを回し出した。
「これは電源ボタンなんてえらいもんは付いてへん。イヤホン挿したら即電源ONや」
いやいやいやいや、イヤホンで電源の入る機械とか聞いたことないぞ。
そんな私の「狂ってんだろ」オーラをものともせず、芽吹はさらに何か緑の箱を取り出した。
「これが送信機や。本物の試合やともっとデカいやつになるけどな、この辺でやるならこれで十分や。さ、やるで」
イヤホンが挿さったままの受信機を渡される。
「横に2つツマミがあるやろ?音量はウチが合わせたから、上のツマミをいじって『ピーピー』ちゅー音が聞こえるように調節するんや」
言われた通り操作すると、微かに電子音のようなものが聞こえる場所がある。
「あったみたいやな。そしたら反対側にあるでっかいボタンを押すんや」
「うわ、音がでかくなりました」
「せやろ?詳しい説明は省くけどな、その子はそのボタンを押すか押さないかで電波を拾う方向が決められんねん。普段は前後の電波拾うけど、ボタンを押すと前側だけが聞こえるようになるんや」
と、そこに七海が入ってきた。
「お、早速やってますね。いきなり3.5MHzから教えちゃいます?」
「まあこっちのが小さくて簡単やしな。…ええなぁ、様になってるで」
…そうか?おそらく競技者から見たら様にはなっているのだろうが、何も知らない一般人から見ればただの「変な箱にイヤホン挿してる変態」だろう。
「…受信機って他にないですかね」
「あるにはあるけど、ここで組み立てるには大きすぎるんだよね」
…組み立て?大きすぎる???
なんだかとても嫌な予感がする。私の競技者への道はまだ長そうだ…
また恐る恐る扉を開けると「やっぱ来よったな」と気の抜けた声が返ってきた。
「こんにちは…あれ、今日は荒川さんだけなんですか?」
「んなことないで。優香は居残り、七海は知らん」
「なんとアバウトな…」
「こんな感じでゆるーくやっとるんや。…せや、今日はお試しで試合やってみよか。……どれにしよか」
そう言うと、芽吹は何やらごちゃごちゃとした棚を漁りだした。棚にはよく分からない箱や金属、工具やなぜかぬいぐるみなどが無造作に置かれていた。
それにしてもとんでもない部室だ。機械の修理で使うのかあちこちに工具やら部品やらが散らばっていて、とても女子校の部室とは信じがたいような酷い散らかりようだ。おまけに換気扇の羽は一枚折れて意味をなしておらず、傍目には物置のような有り様だ。
「…これでええか。ほなここにそっから電池取って入れてみ」
芽吹の手には小さな箱のようなものが握られていた。しかもなぜか中国語入りの。
「単3でいいですかね?…これ、なんで中国語なんですか」
「中国って割とARDF盛んな国でなぁ。こいつはR3500Dっちゅー名前や。こんな感じでやっすい受信器がぎょーさん売られとんねん。安い代わりに壊れやすいけど、なかなか使いやすいで」
確かに土日、ARDFの下調べをした時嫌というほど中国についての話が出てきていた。
言われた通りに電池を入れ終わり、プラスチック特有のギシギシと音が鳴るフタをはめ込む。これでスイッチを入れれば電源が付くのだろうが…どうも電源ボタンが見当たらない。
「これ、電源ってどうつけるんですか?」
「市華ちゃんイヤホン持っとるか?ちょっと貸してみ」
芽吹はイヤホンを受け取るとジャックに差し込むと、受信機の横にあるツマミを回し出した。
「これは電源ボタンなんてえらいもんは付いてへん。イヤホン挿したら即電源ONや」
いやいやいやいや、イヤホンで電源の入る機械とか聞いたことないぞ。
そんな私の「狂ってんだろ」オーラをものともせず、芽吹はさらに何か緑の箱を取り出した。
「これが送信機や。本物の試合やともっとデカいやつになるけどな、この辺でやるならこれで十分や。さ、やるで」
イヤホンが挿さったままの受信機を渡される。
「横に2つツマミがあるやろ?音量はウチが合わせたから、上のツマミをいじって『ピーピー』ちゅー音が聞こえるように調節するんや」
言われた通り操作すると、微かに電子音のようなものが聞こえる場所がある。
「あったみたいやな。そしたら反対側にあるでっかいボタンを押すんや」
「うわ、音がでかくなりました」
「せやろ?詳しい説明は省くけどな、その子はそのボタンを押すか押さないかで電波を拾う方向が決められんねん。普段は前後の電波拾うけど、ボタンを押すと前側だけが聞こえるようになるんや」
と、そこに七海が入ってきた。
「お、早速やってますね。いきなり3.5MHzから教えちゃいます?」
「まあこっちのが小さくて簡単やしな。…ええなぁ、様になってるで」
…そうか?おそらく競技者から見たら様にはなっているのだろうが、何も知らない一般人から見ればただの「変な箱にイヤホン挿してる変態」だろう。
「…受信機って他にないですかね」
「あるにはあるけど、ここで組み立てるには大きすぎるんだよね」
…組み立て?大きすぎる???
なんだかとても嫌な予感がする。私の競技者への道はまだ長そうだ…
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