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いざGKMへ
しおりを挟むピーポーピーポー
なんの音だ?それになぜか体が痛い。
「…ト!…か…ト!!」
ん?誰だ?騒がしいな。
「…イト!しっか…ろ!ライト!」」
「うっ…なんだ?」
「平気か!もうすぐ病院だからな!頑張れよ!」
病院…なんのことだ?
それにこの音っててんて
「ここは救急車?」
「そうだ、お前信号無視して車と衝突したんだぞ!」
あぁ、あの時か。颯斗にGKMの話をしようとしたときか。だがなんだかどうでもいいほどに眠たい…大怪我すると力がなくなる感じがするんだな…
「うっ…痛い…。」
さっきは救急車だったが今はどこかの病院のようだ。
「光!光!!うっ…うぅ…お母さんを心配させないでよ…。」
母さんが俺が目覚めたのに気づき抱きついてくる。抱きつかれて体が痛いが仕方ない。
「母さん、ごめんなさい。」
「説教はあとよ、先生を呼んでくるわね。」
「わかったよ。」
カレンダーを確認すると約1日ほど眠っていたようだ。
数分すると俺の担当医らしき人物が部屋に入ってくる。
「やぁ光くん。私は君の担当医をしている唐沢です。事故の時の記憶はあるかな?」
「はい。カラオケの帰りに話に夢中になっていて…」
「そうだね。君はトラックに轢かれた危うく死んでしまうところだったんだ。ただ、残念ながら右膝靱帯断裂、肋骨の骨折、尾骶骨骨折、その他諸々君の体はボロボロだ。」
そうか。そんなに大事故だったとは…
「そうですか…助けてくれてありがとうございます。」
「ではお母さん、これからの入院のことなどを…」
話を聞いてもピンとこないが身体を少しでも動かすと体に激痛が走るので事故ったことを瞬時に理解する。
これでは最後の大会も絶対に出れないだろう。
「光!大丈夫か!?」
「あぁ、颯斗。大丈夫だよ。」
颯斗がクラスの何人かを引き連れてお見舞いにくる。その中にはこの間話した有栖さんも混じっている。
「光、ごめんな。俺がカラオケなんて誘わなければ…」
どうやら颯斗は一緒に帰ったこともあって責任を感じてしまっているようだ。
「そんな。颯斗は全く悪くないよ、俺が不注意だったんだよ。」
「でも…」
「そんな暗い話はいいから、面白い話でもしてよ!」
「あぁ…よし!じゃあGKMについてでいいか?」
「いいね!」
俺の入院期間は一週間で颯斗が毎日お見舞いに来ていろいろな話をしてくれたおかげであっという間だった。
しかし、靱帯断裂ということもありこれからは走ったり激しい運動は禁止された。
「ふぅ、やっと退院か。母さん、寄りたいところがあるんだけどいい?」
「いいけど、どこへ行きたいの?」
「ちょっと電気屋にね。」
俺は母さんに車で家の近くの電気屋まで送ってもらう。ここに来た理由はもうわかるだろう。そう。GKMを買いに来たのだ。
「これがGKM…ヘッドギアと合わせて20万か。」
GKMが発売されたのは昨日だが正式サービス開始は明日の12時だ。今は夕方の7時だから家に帰ってセットアップなどを済ませてもサービス開始までには余裕で間に合う。
「よし。母さん、帰ろう。」
颯斗には悪いが一足先にGKMをやらせてもらう。この手のゲームはサービス開始に始めた方が色々と都合がいいとネットに書いてあった。
「これをコンセントに接続して被ればいいのか。」
ウィィィィィィン
「おぉ!なんだ?」
電源を接続すると画面に文字が表示される。
ギアを被っているが指で画面に写っている文字を触ろうと空間に手を触れるとそれに連動して画面の表示が変わる。
言語を日本語に設定し、初期設定を終わらせる。
「よし。これであとは明日に備えるだけだ。」
俺は怪我で特にすることがないためすぐに眠りにつく。病院で寝てばっかだったため寝れないかと思ったが意外とすぐに寝れた。
「ふぁ…よく寝た。10時か、朝と昼をいっぺんに済ませてGKMを長い時間楽しもう。」
ちなみにご飯のメニューはたらこスパゲッティだ。いつも少しタレを多めにして作っている。
「これもゲームの中だったら高級料理のシェフが作ったようものも食べれるんだよね。」
食事とトイレを済ませ、ベットに横たわりヘッドギアを装着するあと五分ほどしたらリリース開始のため早めに準備をしておく。
あと1分…
あと30秒…
10…9…
まだか…まだか…
3…2…1…!
スターート!!!!
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