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第15話 試飲のコーヒーと、雪解けの香り
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キー合わせの夜から数日が過ぎた。
私の日常は二つの世界にはっきりと分断された。
夜の世界。そこでは私はVTuber『ルル』として完璧な王子様『ナイト』とのコラボ準備に追われていた。彼のリードは常にスマートで私たちのコラボ配信への期待は日増しに高まっていく。SNSはファンの熱狂で溢れ私はその渦の中心で笑顔の仮面を貼り付け続けていた。
そして昼の世界。そこでは私はただのアルバイト本城凪だった。カフェ『夕凪』の空気は氷河期のように冷え切っている。カイくんとの間には言葉はおろか視線すら交わされることはない。彼は私の存在を完全に無視し私は彼の作り出す絶対零度の空気の中で息を殺して過ごしていた。
どちらの世界も本当の私の居場所ではなかった。
夜の世界は華やかでけれどどこか空虚だ。昼の世界は静かでひどく息苦しい。
私の心はその二つの世界の狭間で振り子のように揺れ動き少しずつすり減っていく。もう自分が本当は何を感じているのかさえ分からなくなりそうだった。
その日もカフェは静かな時間が流れていた。
平日の昼下がり。客足は途絶え店内に響くのは雨音のようなジャズピアノの旋律と食器の触れ合うか細い音だけ。
私はカウンターの隅で伝票の整理をしていた。単純な作業に没頭することで余計なことを考えないように必死だった。
カイくんはカウンターの向こう側で黙々とコーヒー器具を磨いている。その横顔は彫刻のように美しいけれど何の感情も映し出してはいない。
この凍てついた静寂。
いつまで続くのだろう。
そう思ったその時だった。
ことりと私の目の前に小さなカップが置かれた。
私は驚いて顔を上げる。
そこにはカイくんが立っていた。いつの間に私の隣に来ていたのだろう。全く気づかなかった。
「……これ」
彼はカップを指差した。
中には黒く艶やかな液体がなみなみと注がれている。立ち上る湯気と共に香ばしくそしてどこかフルーティーな香りが私の鼻腔をくすぐった。
「……試飲。新しい豆、ブレンドしてみたから」
彼の声は低くぶっきらぼうだった。
けれどそれはこの数日間私が彼から向けられていた完全な無視とは明らかに違うものだった。
私は何が起こったのか理解できずにただ彼と目の前のカップを交互に見つめる。
「……感想、聞かせろよ」
彼はそう言うと私の返事を待たずに自分の持ち場へと戻ってしまった。
私は一人その場に取り残される。
目の前の一杯のコーヒー。
これは一体何なのだろう。
彼の気まぐれ? それともこれは彼なりの停戦の合図なのだろうか。
私はおそるおそるカップを手に取った。指先にじんわりと温かさが伝わる。
一口含む。
その瞬間私のささくれ立っていた心がふわりと解きほぐされるような感覚に陥った。
苦味と酸味そして深いコク。その全てが完璧なバランスで調和している。そして後味にふわりと花の蜜のような甘い香りが鼻に抜けていく。
美味しい。
心の底から素直にそう思った。
それはナイト様との完璧だけれどどこか心が通わないハーモニーとは全く違う。
このコーヒーは作り手の想いが葛藤がそして不器用な優しさが全て溶け込んでいるようなそんな温かい味がした。
「……どうだ」
気づけばカイくんが少し離れた場所からこちらを見ていた。
その目はもう氷のようではなかった。真剣な職人の目。自分の作ったものへの評価を待つ緊張した目。
私はカップを両手で包み込んだ。
「……すごく美味しいです」
やっとの思いで絞り出した言葉。
「苦いのに後味がすごく甘くて……。なんだか不思議な味がします」
「……そうか」
私の拙い感想に彼は短くそう答えた。
そしてほんの少しだけほんの一瞬だけ彼の口元が和らいだように見えた。
それは笑顔と呼ぶにはあまりにもささやかな変化。
けれどその雪解けのような微かな変化が私の凍てついていた心に小さな陽だまりを作った。
◇
カイは自分の持ち場に戻ると客には見えない角度でそっと息を吐いた。
心臓がまだ少しだけ速い。
柄にもないことをしたという自覚はあった。
けれどもう何もしないでいることには耐えられなかったのだ。
彼女が日に日にやつれていく姿をただ見ているだけなのはもう限界だった。
ナイトとのコラボ。彼女が前に進むために選んだ道。
それを応援できない自分はファン失格だ。セバスチャンとして彼女の前に現れることはもうできない。
ならばせめて。
相田カイとして彼女の居場所を守ってやりたい。
このカフェが彼女にとってただ息苦しいだけの場所にならないように。
そのために自分にできることは何か。
考えた末に彼が導き出した答えがこれだった。
コーヒーを淹れること。
自分が今唯一胸を張って彼女に差し出せるもの。
彼女の拙いけれど真っ直ぐな感想。
『すごく美味しいです』
その言葉がささくれ立っていたカイ自身の心を優しく撫でていった。
まだ何も解決してはいない。
自分たちの間には深くて暗い溝が横たわっている。
けれど彼はその溝に小さな一本の橋を架けることができたのかもしれない。
カイはポケットの中の冷たいコインをそっと握りしめた。
いつかこのコインを彼女に笑って返せる日が来るのだろうか。
その日を諦めずに待つこと。
それが今の自分にできる全てだった。
◇
その日のバイトの帰り道。
空はすっかり晴れていた。
私の足取りはここ数日では考えられないくらい軽かった。
カイくんが淹れてくれたコーヒーの温かい余韻がまだ胸の中に残っている。
結局私たちはあの後また無言に戻った。
でもその沈黙はもう冷たいものではなかった。
お互いの存在を認め合った上での穏やかな静寂。
アパートに帰り私はパソコンの電源を入れた。
今夜もナイト様との打ち合わせがある。
けれど不思議と心は穏やかだった。
カイくんがくれたあの一杯の温もりが私に小さな勇気をくれたから。
私は大丈夫。
どんな世界にいても私は私だ。
そう初めて思えた。
画面に映るルルの姿がもう操り人形には見えなかった。
彼女は私自身だ。弱くて不器用ででも必死に前に進もうとしている私自身。
その時スマートフォンの通知が鳴った。
それはセバスチャンさんからのメッセージではなかった。
けれど私の心はもう揺らがなかった。
いつかきっと彼にも本当の私を見てもらえる日が来る。
そんな根拠のないけれど確かな予感が私の胸を満たしていた。
物語はまだ終わらない。
不器用な二人の恋の物語は今ようやく本当の意味で始まろうとしていた。
私の日常は二つの世界にはっきりと分断された。
夜の世界。そこでは私はVTuber『ルル』として完璧な王子様『ナイト』とのコラボ準備に追われていた。彼のリードは常にスマートで私たちのコラボ配信への期待は日増しに高まっていく。SNSはファンの熱狂で溢れ私はその渦の中心で笑顔の仮面を貼り付け続けていた。
そして昼の世界。そこでは私はただのアルバイト本城凪だった。カフェ『夕凪』の空気は氷河期のように冷え切っている。カイくんとの間には言葉はおろか視線すら交わされることはない。彼は私の存在を完全に無視し私は彼の作り出す絶対零度の空気の中で息を殺して過ごしていた。
どちらの世界も本当の私の居場所ではなかった。
夜の世界は華やかでけれどどこか空虚だ。昼の世界は静かでひどく息苦しい。
私の心はその二つの世界の狭間で振り子のように揺れ動き少しずつすり減っていく。もう自分が本当は何を感じているのかさえ分からなくなりそうだった。
その日もカフェは静かな時間が流れていた。
平日の昼下がり。客足は途絶え店内に響くのは雨音のようなジャズピアノの旋律と食器の触れ合うか細い音だけ。
私はカウンターの隅で伝票の整理をしていた。単純な作業に没頭することで余計なことを考えないように必死だった。
カイくんはカウンターの向こう側で黙々とコーヒー器具を磨いている。その横顔は彫刻のように美しいけれど何の感情も映し出してはいない。
この凍てついた静寂。
いつまで続くのだろう。
そう思ったその時だった。
ことりと私の目の前に小さなカップが置かれた。
私は驚いて顔を上げる。
そこにはカイくんが立っていた。いつの間に私の隣に来ていたのだろう。全く気づかなかった。
「……これ」
彼はカップを指差した。
中には黒く艶やかな液体がなみなみと注がれている。立ち上る湯気と共に香ばしくそしてどこかフルーティーな香りが私の鼻腔をくすぐった。
「……試飲。新しい豆、ブレンドしてみたから」
彼の声は低くぶっきらぼうだった。
けれどそれはこの数日間私が彼から向けられていた完全な無視とは明らかに違うものだった。
私は何が起こったのか理解できずにただ彼と目の前のカップを交互に見つめる。
「……感想、聞かせろよ」
彼はそう言うと私の返事を待たずに自分の持ち場へと戻ってしまった。
私は一人その場に取り残される。
目の前の一杯のコーヒー。
これは一体何なのだろう。
彼の気まぐれ? それともこれは彼なりの停戦の合図なのだろうか。
私はおそるおそるカップを手に取った。指先にじんわりと温かさが伝わる。
一口含む。
その瞬間私のささくれ立っていた心がふわりと解きほぐされるような感覚に陥った。
苦味と酸味そして深いコク。その全てが完璧なバランスで調和している。そして後味にふわりと花の蜜のような甘い香りが鼻に抜けていく。
美味しい。
心の底から素直にそう思った。
それはナイト様との完璧だけれどどこか心が通わないハーモニーとは全く違う。
このコーヒーは作り手の想いが葛藤がそして不器用な優しさが全て溶け込んでいるようなそんな温かい味がした。
「……どうだ」
気づけばカイくんが少し離れた場所からこちらを見ていた。
その目はもう氷のようではなかった。真剣な職人の目。自分の作ったものへの評価を待つ緊張した目。
私はカップを両手で包み込んだ。
「……すごく美味しいです」
やっとの思いで絞り出した言葉。
「苦いのに後味がすごく甘くて……。なんだか不思議な味がします」
「……そうか」
私の拙い感想に彼は短くそう答えた。
そしてほんの少しだけほんの一瞬だけ彼の口元が和らいだように見えた。
それは笑顔と呼ぶにはあまりにもささやかな変化。
けれどその雪解けのような微かな変化が私の凍てついていた心に小さな陽だまりを作った。
◇
カイは自分の持ち場に戻ると客には見えない角度でそっと息を吐いた。
心臓がまだ少しだけ速い。
柄にもないことをしたという自覚はあった。
けれどもう何もしないでいることには耐えられなかったのだ。
彼女が日に日にやつれていく姿をただ見ているだけなのはもう限界だった。
ナイトとのコラボ。彼女が前に進むために選んだ道。
それを応援できない自分はファン失格だ。セバスチャンとして彼女の前に現れることはもうできない。
ならばせめて。
相田カイとして彼女の居場所を守ってやりたい。
このカフェが彼女にとってただ息苦しいだけの場所にならないように。
そのために自分にできることは何か。
考えた末に彼が導き出した答えがこれだった。
コーヒーを淹れること。
自分が今唯一胸を張って彼女に差し出せるもの。
彼女の拙いけれど真っ直ぐな感想。
『すごく美味しいです』
その言葉がささくれ立っていたカイ自身の心を優しく撫でていった。
まだ何も解決してはいない。
自分たちの間には深くて暗い溝が横たわっている。
けれど彼はその溝に小さな一本の橋を架けることができたのかもしれない。
カイはポケットの中の冷たいコインをそっと握りしめた。
いつかこのコインを彼女に笑って返せる日が来るのだろうか。
その日を諦めずに待つこと。
それが今の自分にできる全てだった。
◇
その日のバイトの帰り道。
空はすっかり晴れていた。
私の足取りはここ数日では考えられないくらい軽かった。
カイくんが淹れてくれたコーヒーの温かい余韻がまだ胸の中に残っている。
結局私たちはあの後また無言に戻った。
でもその沈黙はもう冷たいものではなかった。
お互いの存在を認め合った上での穏やかな静寂。
アパートに帰り私はパソコンの電源を入れた。
今夜もナイト様との打ち合わせがある。
けれど不思議と心は穏やかだった。
カイくんがくれたあの一杯の温もりが私に小さな勇気をくれたから。
私は大丈夫。
どんな世界にいても私は私だ。
そう初めて思えた。
画面に映るルルの姿がもう操り人形には見えなかった。
彼女は私自身だ。弱くて不器用ででも必死に前に進もうとしている私自身。
その時スマートフォンの通知が鳴った。
それはセバスチャンさんからのメッセージではなかった。
けれど私の心はもう揺らがなかった。
いつかきっと彼にも本当の私を見てもらえる日が来る。
そんな根拠のないけれど確かな予感が私の胸を満たしていた。
物語はまだ終わらない。
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