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第21話 宣戦布告のソロ配信
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私の本当の戦いが始まった。
それはナイト様という強大な存在に立ち向かうことでもネットの悪意に反論することでもない。弱い自分自身の殻を破りただ「本城凪」としてそして「ルル」として真っ直ぐに立つための戦いだ。
バックヤードでカイくんがくれたホットミルクの温もり。そして『Kage』さんがくれた「翼」という言葉。二つの光が私の道標だった。
翌日、私は一つの決意を胸にカフェ『夕凪』のドアを開けた。
カイくんはカウンターの中で黙々と作業をしている。その背中は相変わらずぶっきらぼうだ。でももうその背中が私を拒絶しているようには感じなかった。
「おはようございます」
「……はよ」
短い挨拶を交わす。それだけで十分だった。
私たちの間には言葉にならない空気が流れている。それはぎこちないけれど決して不快ではない。むしろお互いの心の内を静かに探り合っているような緊張感を伴う心地よさがあった。
その日のバイト中、私はいつもより少しだけ背筋を伸ばして仕事をした。まだミスはする。お皿を落としそうになったり注文を間違えそうになったり。
でもそのたびにカイくんがまるで私の動きを予測していたかのようにさりげなくフォローを入れてくれた。
「……前見ろよ」
「すみません!」
「別に。怪我すんなよ」
彼の言葉はぶっきらぼうなまま。でもその奥に確かな優しさが隠れていることを私はもう知っていた。その不器用な優しさが私の心を強くする。
バイトが終わる頃、私は彼に声をかけた。
「相田くん」
「……なんだ」
「今夜、配信をします。一人で」
私の言葉に彼の動きがぴたりと止まった。彼はゆっくりとこちらを振り返る。その深い瞳が私を真っ直ぐに捉えた。
「……ユニットのやつじゃなく?」
「はい。私自身の配信です」
きっぱりと告げる。もう迷いはなかった。
彼は何も言わずただじっと私を見ていた。その視線が私の決意の固さを確かめているようだった。
やがて彼はふっと息を吐くと短く言った。
「……そうか」
それだけだった。でもその一言には多くの感情が込められているように感じた。頑張れよという応援、無茶するなよという心配、そしてお前の好きにしろという信頼。
私は深くお辞儀をしてカフェを後にした。夜風が心地よい。私の心は不思議なほど晴れやかだった。
◇
その夜、カイは自室でパソコンの前に座っていた。
ルルのSNSアカウントが『緊急ソロ配信』の告知を出した時、彼の心臓は大きく跳ねた。
来たか。
彼女が動いた。
ナイトの圧力に屈することなく彼女自身の意志で戦うことを決めたのだ。
誇らしい。そう思うと同時に激しい不安が彼を襲う。
この配信は諸刃の剣だ。彼女の覚悟がファンに伝われば流れを変えることができるかもしれない。しかし一歩間違えればナイトのファンやユニット結成を喜んでいた層からの猛烈な反発を食らうことになる。
カイは祈るような気持ちで配信が始まるのを待った。
自分にできることは何か。『Kage』として彼女をどう支えるべきか。
彼はただ画面を見つめることしかできなかった。
◇
夜十時。私のソロ配信が始まった。
コラボ配信の時とは比べ物にならないほど視聴者の数は少ない。コメント欄には戸惑いや訝しむような声も散見された。
『なんでソロ?』
『ナイト様とのユニットはどうなったの?』
私は深呼吸を一つした。そしてマイクに向かってゆっくりと語り始める。
「皆さんこんばんるるー。今日は急なお知らせにも関わらず集まってくれて本当にありがとう」
私の声は震えていなかった。落ち着いてそしてどこまでも誠実に。
「今日はユニットのことではなく私自身のルルとしての話を少しだけさせてください」
私はこの数日間の心の動きを正直に話した。もちろんナイト様との確執やカイくんのことは伏せて。
ただ大きなチャンスを前にして自分が本当にやりたいことは何なのか分からなくなってしまったこと。応援してくれる皆の期待と自分の実力とのギャップに押し潰されそうになったこと。
それはVTuber『ルル』としてではなく一人のちっぽけな女の子としての偽らざる告白だった。
コメント欄の空気が少しずつ変わっていくのが分かった。
戸惑いの声が減っていく。代わりに共感や励ましの言葉が増えていく。
そして私はこの配信の本題を切り出した。
「だから私は決めました。もう一度原点に返ろうって。私がどうしてVTuberになろうと思ったのか。私がみんなに何を伝えたかったのか。それをもう一度この場所で確かめたいんです」
私は一つのフリーゲームを起動した。
それは私が初めての配信でプレイした思い出のホラーゲーム。
「へたくそだけど頑張るから見ててね!」
私は心の底から笑った。
ゲームプレイは案の定散々なものだった。何度も同じ場所でゲームオーバーになる。そのたびに私は本気で悔しがり絶叫した。
コメント欄は笑いと応援の言葉で溢れかえった。
『これこれ! このグダグダ感がルルちゃんだよな!』
『下手すぎて逆に面白いw』
『頑張れー!』
この温かい空気。
私が守りたかった私の大切な場所。
ゲームをクリアした後、私は最後のプログラムへと移った。
「最後に一曲だけ歌わせてください」
私が選んだのは有名な応援ソングではない。誰も知らない私が自分で作った拙いオリジナルソング。
タイトルは『私の翼』。
私は目を閉じて歌い始めた。
完璧な歌唱じゃない。音程が少しずれる。声が少し震える。
でもそこには私の全ての想いが込められていた。
歌い終えた時コメント欄は静まり返っていた。
そして次の瞬間爆発的な賞賛のコメントで埋め尽くされた。
その温かい光の洪水の中で私は一つの黒いアイコンを見つけた。
『Kage』さんだった。
彼のコメントが全ての光を吸収するようにそこに表示される。
『見事な飛翔だった。その翼は誰よりも強く美しい』
その言葉を見た瞬間私の堪えていた涙が溢れ出した。
ありがとう。
ありがとう。
心の中で何度も繰り返す。
私の声は私の想いはちゃんと届いていたのだ。
配信が終わった後。
私は満足感と心地よい疲労感に包まれていた。
その時スマートフォンの通知が鳴った。
それはSNSのダイレクトメッセージ。
送り主は『Kage』。
私の心臓が大きく跳ねた。
震える指でメッセージを開く。
そこに書かれていたのはたった一言。
『よく頑張ったな』
そのあまりにも素っ気なくけれど誰よりも温かい言葉。
私はその言葉を胸に抱きしめるようにスマートフォンを握りしめた。
私の戦いはまだ始まったばかりだ。
でももう怖くはない。
私には最強の味方がいるのだから。
それは顔も知らない影の騎士と。
そしてカフェで私を待つ不器用な王子様。
物語はついに本当の意味で動き始めた。
それはナイト様という強大な存在に立ち向かうことでもネットの悪意に反論することでもない。弱い自分自身の殻を破りただ「本城凪」としてそして「ルル」として真っ直ぐに立つための戦いだ。
バックヤードでカイくんがくれたホットミルクの温もり。そして『Kage』さんがくれた「翼」という言葉。二つの光が私の道標だった。
翌日、私は一つの決意を胸にカフェ『夕凪』のドアを開けた。
カイくんはカウンターの中で黙々と作業をしている。その背中は相変わらずぶっきらぼうだ。でももうその背中が私を拒絶しているようには感じなかった。
「おはようございます」
「……はよ」
短い挨拶を交わす。それだけで十分だった。
私たちの間には言葉にならない空気が流れている。それはぎこちないけれど決して不快ではない。むしろお互いの心の内を静かに探り合っているような緊張感を伴う心地よさがあった。
その日のバイト中、私はいつもより少しだけ背筋を伸ばして仕事をした。まだミスはする。お皿を落としそうになったり注文を間違えそうになったり。
でもそのたびにカイくんがまるで私の動きを予測していたかのようにさりげなくフォローを入れてくれた。
「……前見ろよ」
「すみません!」
「別に。怪我すんなよ」
彼の言葉はぶっきらぼうなまま。でもその奥に確かな優しさが隠れていることを私はもう知っていた。その不器用な優しさが私の心を強くする。
バイトが終わる頃、私は彼に声をかけた。
「相田くん」
「……なんだ」
「今夜、配信をします。一人で」
私の言葉に彼の動きがぴたりと止まった。彼はゆっくりとこちらを振り返る。その深い瞳が私を真っ直ぐに捉えた。
「……ユニットのやつじゃなく?」
「はい。私自身の配信です」
きっぱりと告げる。もう迷いはなかった。
彼は何も言わずただじっと私を見ていた。その視線が私の決意の固さを確かめているようだった。
やがて彼はふっと息を吐くと短く言った。
「……そうか」
それだけだった。でもその一言には多くの感情が込められているように感じた。頑張れよという応援、無茶するなよという心配、そしてお前の好きにしろという信頼。
私は深くお辞儀をしてカフェを後にした。夜風が心地よい。私の心は不思議なほど晴れやかだった。
◇
その夜、カイは自室でパソコンの前に座っていた。
ルルのSNSアカウントが『緊急ソロ配信』の告知を出した時、彼の心臓は大きく跳ねた。
来たか。
彼女が動いた。
ナイトの圧力に屈することなく彼女自身の意志で戦うことを決めたのだ。
誇らしい。そう思うと同時に激しい不安が彼を襲う。
この配信は諸刃の剣だ。彼女の覚悟がファンに伝われば流れを変えることができるかもしれない。しかし一歩間違えればナイトのファンやユニット結成を喜んでいた層からの猛烈な反発を食らうことになる。
カイは祈るような気持ちで配信が始まるのを待った。
自分にできることは何か。『Kage』として彼女をどう支えるべきか。
彼はただ画面を見つめることしかできなかった。
◇
夜十時。私のソロ配信が始まった。
コラボ配信の時とは比べ物にならないほど視聴者の数は少ない。コメント欄には戸惑いや訝しむような声も散見された。
『なんでソロ?』
『ナイト様とのユニットはどうなったの?』
私は深呼吸を一つした。そしてマイクに向かってゆっくりと語り始める。
「皆さんこんばんるるー。今日は急なお知らせにも関わらず集まってくれて本当にありがとう」
私の声は震えていなかった。落ち着いてそしてどこまでも誠実に。
「今日はユニットのことではなく私自身のルルとしての話を少しだけさせてください」
私はこの数日間の心の動きを正直に話した。もちろんナイト様との確執やカイくんのことは伏せて。
ただ大きなチャンスを前にして自分が本当にやりたいことは何なのか分からなくなってしまったこと。応援してくれる皆の期待と自分の実力とのギャップに押し潰されそうになったこと。
それはVTuber『ルル』としてではなく一人のちっぽけな女の子としての偽らざる告白だった。
コメント欄の空気が少しずつ変わっていくのが分かった。
戸惑いの声が減っていく。代わりに共感や励ましの言葉が増えていく。
そして私はこの配信の本題を切り出した。
「だから私は決めました。もう一度原点に返ろうって。私がどうしてVTuberになろうと思ったのか。私がみんなに何を伝えたかったのか。それをもう一度この場所で確かめたいんです」
私は一つのフリーゲームを起動した。
それは私が初めての配信でプレイした思い出のホラーゲーム。
「へたくそだけど頑張るから見ててね!」
私は心の底から笑った。
ゲームプレイは案の定散々なものだった。何度も同じ場所でゲームオーバーになる。そのたびに私は本気で悔しがり絶叫した。
コメント欄は笑いと応援の言葉で溢れかえった。
『これこれ! このグダグダ感がルルちゃんだよな!』
『下手すぎて逆に面白いw』
『頑張れー!』
この温かい空気。
私が守りたかった私の大切な場所。
ゲームをクリアした後、私は最後のプログラムへと移った。
「最後に一曲だけ歌わせてください」
私が選んだのは有名な応援ソングではない。誰も知らない私が自分で作った拙いオリジナルソング。
タイトルは『私の翼』。
私は目を閉じて歌い始めた。
完璧な歌唱じゃない。音程が少しずれる。声が少し震える。
でもそこには私の全ての想いが込められていた。
歌い終えた時コメント欄は静まり返っていた。
そして次の瞬間爆発的な賞賛のコメントで埋め尽くされた。
その温かい光の洪水の中で私は一つの黒いアイコンを見つけた。
『Kage』さんだった。
彼のコメントが全ての光を吸収するようにそこに表示される。
『見事な飛翔だった。その翼は誰よりも強く美しい』
その言葉を見た瞬間私の堪えていた涙が溢れ出した。
ありがとう。
ありがとう。
心の中で何度も繰り返す。
私の声は私の想いはちゃんと届いていたのだ。
配信が終わった後。
私は満足感と心地よい疲労感に包まれていた。
その時スマートフォンの通知が鳴った。
それはSNSのダイレクトメッセージ。
送り主は『Kage』。
私の心臓が大きく跳ねた。
震える指でメッセージを開く。
そこに書かれていたのはたった一言。
『よく頑張ったな』
そのあまりにも素っ気なくけれど誰よりも温かい言葉。
私はその言葉を胸に抱きしめるようにスマートフォンを握りしめた。
私の戦いはまだ始まったばかりだ。
でももう怖くはない。
私には最強の味方がいるのだから。
それは顔も知らない影の騎士と。
そしてカフェで私を待つ不器用な王子様。
物語はついに本当の意味で動き始めた。
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