破滅フラグから逃げたくて引きこもり聖女になったのに「たぶんこれも破滅ルートですよね?」

氷雨そら

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四天王最弱の聖女

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 ✳︎ ✳︎ ✳︎


 呆然としたまま、世界樹の塔に帰るとフローラが飛び出してきた。

「わ――――ん!リアナ様が生きてるぅ!」

「生きてるわよ?特に死にそうにもなってないし」

 私としては、少し寝てただけなのにそこまで泣かれてしまうのはバツが悪い。

 でも、禁書庫から一ヶ月も出てこなければ当然か。捜索届け出されてないだけマシだろう。夏休みでほんとよかった。

「――――でも、なんだかフローラあなた、強くなりましたね?」

(強者の風格を感じます。何があったんですか?まさか、攻略対象者たちとのイベント進展で聖女覚醒したとか)

「ずっと、夏休み中ここに篭っていましたから」

「ずっとって…………ずっと?」

「早朝から深夜までずっとです」

 えー。夏休みイベント、どうしたんですか?!攻略対象たちとのあんなイベントやこんなイベント!浴衣とか水着とか高原の別荘とかは?!

「あの、ライアス様やマルクくんとは……」

「もちろん時々会って手合わせしてました!!」

 青春の甘さとかイベントの進展全くない!

 え?フローラはいつ、聖女として覚醒するの?やっぱり、パワーレベリングの末に脳筋系聖女として覚醒する気なの?!

「えーと、私も久しぶりにトレーニングルーム行こうかな?」

 久しぶりにと言っても、私としては昨日行ったばかりのような気がするのだが。

 そして事件は起こった。

 ✳︎ ✳︎ ✳︎

 現在私は打ちひしがれています。いや、私の体感では昨日までそこまでの差なかったですよね?なんでそんなに強くなってるんですか?!

「あの、ライアス様やマルクくんの強さは……」

「すごく強くなりましたよ!ライアス様にはまだ勝てないし、マルクくんには時々負けちゃいます」

 わー!フローラに勝てる気がしないのに、周りまで強くなってる!イベントの進行に乗り遅れてる!

「あ、そういえばライアス様とマルクくんとリアナ様と私、学園の人たちに一年生の四天王って呼ばれてるらしいですよ?」

 その言葉に私は雷を受けたほどの衝撃を受けた。

「え?四天王……つまり、今の私って」

 ――――四天王……最弱?

「ごめん、ちょっと行ってくる」

「どうしたんですかリアナ様?」

「このままじゃダメなの!それだけは嫌なの!」

 四天王最弱なんて新たなフラグも甚だしい。これ以上、フラグを増やすわけにはいけない。

 私は、実家に全力で駆け戻ると兄の居室のドアを勢いよくノックした。

「リアナ……どうしたん……わっ?!」

「お兄様、お兄様!!」

 そして、驚いた表情で固まっている兄に勢いよくしがみついた。もう、兄に頼るしかない。

「おっ、落ち着け?どうしたんだよ」

「私っ四天王最弱だけは嫌なんです!!」

「…………は?」

 兄が目を丸くしてこちらを見ているが、構ってなんていられない。

「お兄様、隠れて毎日鍛錬してますよね?」

「えっ?!あ……はい」

「それであれだけ強くなったんですよね?」

「ん?まあ、そうかもしれないけど」

 私は、絶対にあと十日あまりの夏休みで、強くなってみせると決意した。四天王最弱は返上してみせる!

「私と今からそのメニューに取り組みましょう!」

「えっ、リアナがやるにはちょっと過酷……」

「望むところです!!」

 私の勢いに押されたのか、兄は口元に手を当てたまま、長いため息をついた。

「うちの妹がこんな顔で言い出したら、絶対聞かないってのは身にしみてる……仕方ない。俺も、戻ってきたら再びディオと大きく差が開いていてへこんでたところだ。……行くか」

「はい!お兄様!!」

 兄の訓練は、死ぬかと思うほど過酷だった。この訓練を毎日やっていたのか、試験も満点取るほど勉強しながら?

「お兄様は、少しおかしいと思います」

「リアナにだけは、言われたくないな。ま、明日もやるなら来いよ?」

「くっ、もちろんです。四天王最弱を返上するまでは、私は負けません」

「だから、四天王ってなんだよ」

 久しぶりに兄と楽しい時間を過ごした気もする。

 ……途中発見した魔獣の群れに兄が単身突っ込んだ時には、追いかけながら本当に死ぬかと思ったけど。
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