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解決の糸口

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 今日から新学期。Sクラス首席残留を決めた私は、まず最初に早朝からミルフェルト様に逢いに禁書庫に突撃した。

「ミルフェルト様!」

「うん?たった十日やそこらでなんだか随分精悍な顔つきになったんじゃない?」

「兄と特訓してきましたから!」

「特訓って、命懸けのかな?そうでなければ説明つかない雰囲気なんだけど……」

 私の笑顔に何かを察したらしいミルフェルト様。とても楽しそうに声を出して笑い出した。

「ふ、ふふ!去年のフリードは、首位になってもつまらなそうにいつもしてて、ボクあまり興味が持てなかったんだけどさ」

「そう。お兄様の特訓ときたら命懸けなんです」

「うん。キミたち兄妹が一番熱い研究テーマだよ」

「えっ……私もですか?」

 いや、特訓に付き合っていて、ちょっと我が兄ながら少しおかしいんじゃないかとは思っていたんですけどね。

 それよりも、ここまでの特訓をしても完全には勝てないディオ様ってどうなっているんだろうとか。

「あー、ディオも面白くなったよね。リアナは周りの人間を面白おかしくしてしまうよね」

「えっ……私のせいですか?」

 そんなはずないと思うけど。でも、私が関わる前の兄は、たしかにクール系の知的な宰相候補だったはず。

(んん?私のせい、なの?)

「それに、ボクの見立てでは聖女が現れるのはもう少し先だと思ってたんだけどな」

「それは、そうかもしれませんね」

 完全に聖女候補としてフローラが覚醒するのは、一番早いライアス様ルートでも一年の終わり頃だ。

 ミルフェルト様は今日もアイスブルーのツインテールをクルクルと指に巻きつける。

 私のミルフェルト様研究も進んできた。これは気になることがあるときの仕草ですね!

「ところで、何か進展あった?キミの呪い」

 ほら、当たった!私は正解だった喜びをそっと押し隠して答える。

「呪いの解除についてはないんですけど……リアナの手記については多分ヒントがあったんです。あ、またあの本貸してもらえませんか?」

 ヒントがある今ならわかることがあるかもしれない。特に私を庇って倒れた兄のこととか、泣いていたフローラが気になる。

 リアナの手記を書いたのは、フローラに叫んでいた、幼い頃花冠を交換した方の黒いドレスを着たリアナではないだろうか。私はそう疑い始めていた。

「そっか。でも、今日読んだらボクにも教えてくれるかな?リアナはいつも忙しく消えちゃうからね」

「わかりました。では、放課後にまた来ていいですか?」

「ふふっ。キミならいつでも大歓迎だよ?」

 ミルフェルト様に大歓迎と言われて、社交辞令と分かっていても気分が上がる。

 私は教室に行くために禁書庫をあとにした。
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