破滅フラグから逃げたくて引きこもり聖女になったのに「たぶんこれも破滅ルートですよね?」

氷雨そら

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聖女の力の真髄

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 ✳︎ ✳︎ ✳︎

 禁書庫を出て、強い決意だけが私の瞳を七色にする。七色のままの瞳。神官たちが、膝をついていく。それが、聖女の証。いつでも、具現できるようになることが聖女の覚醒。

「リアナ。ここに入るときは、必ず俺もつれてくるって約束してもらえませんか」

「ディオ様。むしろお願いしたいくらいです」

 もう、学園の首位がどうとか、誰に勝ちたいとかどうでもいい。私は力を得てみせる。二人聖女がいるなら、世界樹の呪いだってきっと解呪できるはず。

 神殿の奥にある重厚な作りの扉。ここから先は、己の一番弱い部分を攻めてくるステージ。最後の部屋は、強ければ強いほど難易度が高くなる。

「ディオ様……ちなみに、強い人と一緒だと難易度上がるんですよね」

 ゲーム通りの設定ならば、最高レベルのキャラクターに難易度が設定される。

「……そうですか。それでも、一緒にいたい。守って見せるから。ダメですか?」

「たぶん、ディオ様なしには私の願いは叶いませんから」

 それなのに。ステージに入った途端、ディオ様がつぶやいた。

「確実に俺だけよりも難易度が上がってますね」

「はえ?!」

「先ほどの理論によると、リアナの方が強いってことになりますね?」

 たしかに、戦闘能力とレベルは違う。え!そうなの、私の方がレベル高いのにディオ様とこの戦闘力の差なの?やるせない……。

 んん?ということは、レベルカンストしてるんじゃないかと思っていたディオ様は、まだ伸び代があると?!

 相変わらずディオ様の持つステータスはずるい。

「こうなったら聖女最高魔法を……手に入れて見せます」

「そう。リアナに抜かれてしまうのは嫌だからもっと頑張らないとね」

「命懸けとかやめてくださいね?」

「リアナがそれをしないなら約束できるけど」

 ふむ?でも、兄にしてもディオ様にしても、しょっちゅう命懸けでしょ?私が命をかけないなんてありえないよね?

「じゃ、お互い守り合いましょう」

「心強いですね」

 私は、いつも自分にかけていた身体強化をディオ様にかける。自分の役割は、強くなることだけじゃない。仲間を強くすることなのだから。

 ディオ様が、自分の手のひらを見つめる。

「すごい……な?まさかここまで違うなんて」

 それは、ディオ様の基礎ステータスが凄すぎるからだと思います。基礎ステータスに身体強化の向上量は依存するから。

 軽やかに舞うように、幻獣を屠るディオ様。本当は私が戦おうと思っていたけど。私が強くなるよりよっぽど強い。

 私は仲間を守るのが、強くするのが聖女の力の真髄なのだとやっと理解した。

(今まで、なぜ自分だけが強くなることに囚われていたのかしら)

 確実に自分だけが強くなるよりも、仲間の力になる方が何倍も強いのに。

(ミルフェルト様、もう手段は選びません。私、何としても呪いを解除してあなたを!)

 兄も私が正しく力を使ったなら、もっともっと強くなる。そう、ライアス様も。ここに、みんなで来る。それが呪い解除への道標。

 ああ、それにしても戦うディオ様が尊い。何て美しく戦うんだろう。こんな場面、自分が戦っていたら見ることはできないわ。

 ……役得。聖女の役得だわ。もっと、補助魔法をもっと鍛えよう。そうしよう。

 私は密かに、自分の能力のこれからの強化方針変更を決意した。
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