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もどかしい狼とやりきれない赤ずきん
五十嵐と真琴が一緒にイタリアンで食事をした翌日、日曜日の午後2時半。
二人は、とあるカフェのオープンテラスに座っていた。
洗練されたテラスのテーブル席には明るい春の日差しが落ち、向かい側に座る男は正真正銘のハイクラス。喉を通るアイスティーの華やかな香りも極上で、真琴の胸は否応なくときめく。
しかし、残念ながら目の前にあるその幸せをじっくりと堪能する余裕はない。何を隠そう、目下五十嵐から依頼された失敗できない任務の最中なのだ。
「真琴ちゃん、ここはひとつ、思い切り楽しそうな笑顔でよろしくね」
いつもよりわかりやすい平板な笑顔を作りつつ、五十嵐は軽い世間話でもするような雰囲気で囁く。
「……わかりました。
で、その仲林さんっていう方、今この向かい側のビルにいるのは間違いないんですよね……?」
「うん。目の前の交差点を渡ってすぐのビルだ。
毎週日曜の午後2時から4時まで、彼女はそこの2階のクッキングスクールに通ってる。彼女から聞いたスクール名を検索したら、教室はここだけだったから確実だ。
少人数制のこじんまりとしたスクールらしく、窓から街の景色が見下ろせるのも楽しいって彼女言ってたから……このオープンテラスも間違いなく見えているはずだ。
さっき説明した通り、僕が知り合いから妹の東京見物の案内を頼まれた、という設定をイメージして……君はその妹っぽく、田舎から出てきた大学生というように物珍しげにはしゃいだ感じて振舞って欲しいんだ」
「了解です」
つまり二人は仲林美優の視界に敢えて入るべく、こうしてオープンテラスに座っているわけだ。
向かいのビルの2階を意識しつつ、二人はさも明るく楽しげにそんな会話を続けていく。
「はぁ……仲林さん、今私たちを見下ろしてるかもしれないんですね……実は内心、思いっきりドキドキしてます……
彼女、嫉妬で怒り狂ったりしませんかね?……一流商社の超美人なお嬢様が本気で怒るとか、なんか怖そう……」
「——本当にごめんね、真琴ちゃん。こんな面倒なことに付き合ってもらって。
君に何か影響が及ぶような事態には絶対にしないから、どうか安心してほしい」
深刻な空気を醸さないように注意を払いつつも、五十嵐の眼差しにいつにない真剣さが漂う。
「ただ——仲林さんに嫉妬心を抱かせるのが、今回の目的だからね……
僕を深く想ってくれている彼女には、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
けれど、いくら父親の力を借りて強引に想いを叶えようとしたって、こればかりは無理だ。
これ以上この関係を続けてもお互いのためにならない……彼女自身にそれをわかってもらうためには、こちらも少し強引に動くしかないと思う。
——それに、知り合いの妹に東京の街を案内してるっていうのは嘘じゃないしね」
五十嵐の言葉と微かに悪戯っぽい微笑が、真琴の心をふっと解す。
「——確かに、そうですね。……全然嘘言ってませんよね?
じゃあ、せっかくだからこの後も思い切り楽しんじゃおーっと。五十嵐さんの知ってる穴場スポット、まだいっぱいありそうですもんね」
「もちろん。今日は君が楽しんでくれそうな場所をどこでも案内するよ。夕食もとっておきの店がある」
「きゃーー! めちゃめちゃ楽しみですっっ!!」
「そうそう。そういう自然な笑顔が一番いい」
——「そういう笑顔が一番いい」なんて。
錯覚しちゃいそう。
五十嵐さんの言ってる「一番いい」の意味は、きっと——「今回の計画遂行のために最も有効だ」という、ただ単にそれだけなのに。
「……五十嵐さん、恋のためにこんな風に本気で頑張ったことって、もしかして初めてなんじゃないですか?
恋なんて、いつも難なくスムーズにこなしてきたようにしか見えないから」
なぜかちょっと意地の悪いことを言ってみたくて、真琴は五十嵐にそんな言葉を投げかける。
「——……うん。そうなんだ。
今まではいつも告白を受けるばかりだったし……まあいいかと思った相手と、ただ何気なく付き合っただけだった。
どの子も精一杯大切にはしたつもりだった。
けれど……ちょっと喧嘩なんかして面倒だと思った瞬間、すっと想いが冷めて……どんなに泣かれても、それ以上続ける気にはならなかった。
それが、まさかな。
自分でも訳のわからないうちに、君のお兄さんにどんどん惹きつけられて——よく知れば知るほど、可愛くて。
気づいたら、簡単に諦めたりあっさり後戻りなんて、できなくなってた。
本気で誰かを想うことが、こんなにもうまくいかなくて、もどかしくて、ジリジリと焼け付くように苦しいなんて——。
……今思えば、これまでの恋は、どれ一つとして恋じゃなかったんだ」
真琴の言葉を適当に逸らすでもなく、五十嵐は手の中のコーヒーカップを見つめ、どこかたどたどしいように本心を零す。
なんでもすんなりと楽勝に見える、完全無欠のいい男が……まるで少年のように危なっかしく、無我夢中で手探りをしている。
「——にいちゃんが羨ましい、ほんと」
「ん?」
「いえ。なんでもないです。
五十嵐さん、あんまり会話に真剣モード漂わすと仲林さんが変な勘違いするんじゃないですか?」
「はっ……そうだった……まずい」
そう呟くと、五十嵐は改めてわかりやすいビジネス風スマイルを浮かべ直す。
「真琴ちゃん、そのアイスティー飲み終わったらそろそろ出ようか。お茶して休憩は30分くらいで切り上げたほうがいいだろう」
「はい、そうですね♪」
——あー。変な嫉妬しかけた自分が、なんかくだらなくて笑えちゃう。
にいちゃんわかってる? にいちゃんのために、この人はこんなに本気で悪戦苦闘してんだからね?
父親が持ってきた見合い話の、しかも自分にゾッコンのお嬢さんを、にいちゃんのために振り切ろうとしてんだからね!?
ふにゃふにゃしてないでちゃんとしろよコウヘイ!!!
心の中で兄へ向けてそんな言葉をぶつけつつ、真琴はグラスの底のアイスティを勢いよくストローに吸い込んだ。
*
彼女の囁きを聞いてしまった翌日、日曜の早朝。
俺は、静かな寝息を立てる彼女の横で、全く眠れぬ夜を明かしていた。
「ハルト」って……誰だ。
彼女を起こしてそう問いただしたい気持ちが湧き上がりつつも——それをさせない思いが、俺の中に蠢いていた。
——お前は、彼女を責めたりできるのか?
お前だって、これまで自分の心の中を彼女でいっぱいに満たしたことなど、一度もなかったくせに。
そう。
——俺も、彼女と全く一緒だ。
俺の心にも——彼女以外の人がいる。
それどころか、気づけばいつもその人のことばかりだ。
ただ、その名前をうっかり口にしてしまったか、ずる賢く黙っていたのか——それだけの違いなのだ。
ここで一方的に彼女だけを責めることなど、できない。
「——ん……」
彼女が、微かに身じろぎをする。
「——佐々木さん。
俺、帰るよ」
俺は起き上がると、これ以上は1秒ももたつきたくない気持ちで、脱ぎ散らかした自分の服を拾った。
まだ早朝だ。
一晩を過ごした恋人同士ならば、当然ゆっくりと二人で幸せを堪能しているはずの時間帯。
「……え?」
俺の呟きを聞いた彼女が、瞼を開けた。
「——なんだか、昨日飲み過ぎたみたいだ。
頭ガンガンするし、これから体調ますます急降下しそうだから……女の子の部屋で、二日酔いで悶えてる姿なんか晒せないよ」
「…………
いいのに。
ここで好きなだけかっこ悪いとこ晒しても」
俺の背に話しかけるその言葉に、寂しそうな気配が色濃く混じり込む。
昨夜自分が囁いた言葉のことは、完全に彼女の記憶から消えているのだろう。
「——……
ごめん。今日は帰る」
「——そっか」
彼女はセーターを拾い上げてするりと着ると、静かに身を起こした。
「……わかった。
じゃあ、また月曜ね」
「うん……じゃあ。
寒いから、そのまま寝てて」
俺はいつにない忙しなさで服を着て、リュックを掴むと玄関を出た。
やりきれない思いが、胸の中をこれでもかと占領する。
初めて夜を共にした人が——違う男のことを思っていた。
「……うるさい」
俺は頭を左右にぶんぶんと激しく振る。
昨夜俺の背を抱きしめた、心細げな両腕。
帰ると言った俺に見せた、今の寂しげな気配。
多分——あれはどれも、嘘じゃない。
それは、ひしひしと伝わってくる。
——なんとなく、わかる。
なぜなら……俺自身も、そうだから。
一緒にいると、温かい。
だから——温め合えるその相手を、大切にしたい。
なのに。
心の中に、どうしても消すことのできない人がいる。
俺も彼女も、全く同じなんだ。
きっと。
重い頭で必死に駅を目指しながら、まだ薄暗く冷たい外気を無理やり深呼吸する。
——五十嵐さんの声が、聞きたい。
「情けない」でも、「君らしいな」でも、何でもいいから——
彼の温かい言葉が、聞きたい。
気づけばただ、そう思った。
二人は、とあるカフェのオープンテラスに座っていた。
洗練されたテラスのテーブル席には明るい春の日差しが落ち、向かい側に座る男は正真正銘のハイクラス。喉を通るアイスティーの華やかな香りも極上で、真琴の胸は否応なくときめく。
しかし、残念ながら目の前にあるその幸せをじっくりと堪能する余裕はない。何を隠そう、目下五十嵐から依頼された失敗できない任務の最中なのだ。
「真琴ちゃん、ここはひとつ、思い切り楽しそうな笑顔でよろしくね」
いつもよりわかりやすい平板な笑顔を作りつつ、五十嵐は軽い世間話でもするような雰囲気で囁く。
「……わかりました。
で、その仲林さんっていう方、今この向かい側のビルにいるのは間違いないんですよね……?」
「うん。目の前の交差点を渡ってすぐのビルだ。
毎週日曜の午後2時から4時まで、彼女はそこの2階のクッキングスクールに通ってる。彼女から聞いたスクール名を検索したら、教室はここだけだったから確実だ。
少人数制のこじんまりとしたスクールらしく、窓から街の景色が見下ろせるのも楽しいって彼女言ってたから……このオープンテラスも間違いなく見えているはずだ。
さっき説明した通り、僕が知り合いから妹の東京見物の案内を頼まれた、という設定をイメージして……君はその妹っぽく、田舎から出てきた大学生というように物珍しげにはしゃいだ感じて振舞って欲しいんだ」
「了解です」
つまり二人は仲林美優の視界に敢えて入るべく、こうしてオープンテラスに座っているわけだ。
向かいのビルの2階を意識しつつ、二人はさも明るく楽しげにそんな会話を続けていく。
「はぁ……仲林さん、今私たちを見下ろしてるかもしれないんですね……実は内心、思いっきりドキドキしてます……
彼女、嫉妬で怒り狂ったりしませんかね?……一流商社の超美人なお嬢様が本気で怒るとか、なんか怖そう……」
「——本当にごめんね、真琴ちゃん。こんな面倒なことに付き合ってもらって。
君に何か影響が及ぶような事態には絶対にしないから、どうか安心してほしい」
深刻な空気を醸さないように注意を払いつつも、五十嵐の眼差しにいつにない真剣さが漂う。
「ただ——仲林さんに嫉妬心を抱かせるのが、今回の目的だからね……
僕を深く想ってくれている彼女には、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
けれど、いくら父親の力を借りて強引に想いを叶えようとしたって、こればかりは無理だ。
これ以上この関係を続けてもお互いのためにならない……彼女自身にそれをわかってもらうためには、こちらも少し強引に動くしかないと思う。
——それに、知り合いの妹に東京の街を案内してるっていうのは嘘じゃないしね」
五十嵐の言葉と微かに悪戯っぽい微笑が、真琴の心をふっと解す。
「——確かに、そうですね。……全然嘘言ってませんよね?
じゃあ、せっかくだからこの後も思い切り楽しんじゃおーっと。五十嵐さんの知ってる穴場スポット、まだいっぱいありそうですもんね」
「もちろん。今日は君が楽しんでくれそうな場所をどこでも案内するよ。夕食もとっておきの店がある」
「きゃーー! めちゃめちゃ楽しみですっっ!!」
「そうそう。そういう自然な笑顔が一番いい」
——「そういう笑顔が一番いい」なんて。
錯覚しちゃいそう。
五十嵐さんの言ってる「一番いい」の意味は、きっと——「今回の計画遂行のために最も有効だ」という、ただ単にそれだけなのに。
「……五十嵐さん、恋のためにこんな風に本気で頑張ったことって、もしかして初めてなんじゃないですか?
恋なんて、いつも難なくスムーズにこなしてきたようにしか見えないから」
なぜかちょっと意地の悪いことを言ってみたくて、真琴は五十嵐にそんな言葉を投げかける。
「——……うん。そうなんだ。
今まではいつも告白を受けるばかりだったし……まあいいかと思った相手と、ただ何気なく付き合っただけだった。
どの子も精一杯大切にはしたつもりだった。
けれど……ちょっと喧嘩なんかして面倒だと思った瞬間、すっと想いが冷めて……どんなに泣かれても、それ以上続ける気にはならなかった。
それが、まさかな。
自分でも訳のわからないうちに、君のお兄さんにどんどん惹きつけられて——よく知れば知るほど、可愛くて。
気づいたら、簡単に諦めたりあっさり後戻りなんて、できなくなってた。
本気で誰かを想うことが、こんなにもうまくいかなくて、もどかしくて、ジリジリと焼け付くように苦しいなんて——。
……今思えば、これまでの恋は、どれ一つとして恋じゃなかったんだ」
真琴の言葉を適当に逸らすでもなく、五十嵐は手の中のコーヒーカップを見つめ、どこかたどたどしいように本心を零す。
なんでもすんなりと楽勝に見える、完全無欠のいい男が……まるで少年のように危なっかしく、無我夢中で手探りをしている。
「——にいちゃんが羨ましい、ほんと」
「ん?」
「いえ。なんでもないです。
五十嵐さん、あんまり会話に真剣モード漂わすと仲林さんが変な勘違いするんじゃないですか?」
「はっ……そうだった……まずい」
そう呟くと、五十嵐は改めてわかりやすいビジネス風スマイルを浮かべ直す。
「真琴ちゃん、そのアイスティー飲み終わったらそろそろ出ようか。お茶して休憩は30分くらいで切り上げたほうがいいだろう」
「はい、そうですね♪」
——あー。変な嫉妬しかけた自分が、なんかくだらなくて笑えちゃう。
にいちゃんわかってる? にいちゃんのために、この人はこんなに本気で悪戦苦闘してんだからね?
父親が持ってきた見合い話の、しかも自分にゾッコンのお嬢さんを、にいちゃんのために振り切ろうとしてんだからね!?
ふにゃふにゃしてないでちゃんとしろよコウヘイ!!!
心の中で兄へ向けてそんな言葉をぶつけつつ、真琴はグラスの底のアイスティを勢いよくストローに吸い込んだ。
*
彼女の囁きを聞いてしまった翌日、日曜の早朝。
俺は、静かな寝息を立てる彼女の横で、全く眠れぬ夜を明かしていた。
「ハルト」って……誰だ。
彼女を起こしてそう問いただしたい気持ちが湧き上がりつつも——それをさせない思いが、俺の中に蠢いていた。
——お前は、彼女を責めたりできるのか?
お前だって、これまで自分の心の中を彼女でいっぱいに満たしたことなど、一度もなかったくせに。
そう。
——俺も、彼女と全く一緒だ。
俺の心にも——彼女以外の人がいる。
それどころか、気づけばいつもその人のことばかりだ。
ただ、その名前をうっかり口にしてしまったか、ずる賢く黙っていたのか——それだけの違いなのだ。
ここで一方的に彼女だけを責めることなど、できない。
「——ん……」
彼女が、微かに身じろぎをする。
「——佐々木さん。
俺、帰るよ」
俺は起き上がると、これ以上は1秒ももたつきたくない気持ちで、脱ぎ散らかした自分の服を拾った。
まだ早朝だ。
一晩を過ごした恋人同士ならば、当然ゆっくりと二人で幸せを堪能しているはずの時間帯。
「……え?」
俺の呟きを聞いた彼女が、瞼を開けた。
「——なんだか、昨日飲み過ぎたみたいだ。
頭ガンガンするし、これから体調ますます急降下しそうだから……女の子の部屋で、二日酔いで悶えてる姿なんか晒せないよ」
「…………
いいのに。
ここで好きなだけかっこ悪いとこ晒しても」
俺の背に話しかけるその言葉に、寂しそうな気配が色濃く混じり込む。
昨夜自分が囁いた言葉のことは、完全に彼女の記憶から消えているのだろう。
「——……
ごめん。今日は帰る」
「——そっか」
彼女はセーターを拾い上げてするりと着ると、静かに身を起こした。
「……わかった。
じゃあ、また月曜ね」
「うん……じゃあ。
寒いから、そのまま寝てて」
俺はいつにない忙しなさで服を着て、リュックを掴むと玄関を出た。
やりきれない思いが、胸の中をこれでもかと占領する。
初めて夜を共にした人が——違う男のことを思っていた。
「……うるさい」
俺は頭を左右にぶんぶんと激しく振る。
昨夜俺の背を抱きしめた、心細げな両腕。
帰ると言った俺に見せた、今の寂しげな気配。
多分——あれはどれも、嘘じゃない。
それは、ひしひしと伝わってくる。
——なんとなく、わかる。
なぜなら……俺自身も、そうだから。
一緒にいると、温かい。
だから——温め合えるその相手を、大切にしたい。
なのに。
心の中に、どうしても消すことのできない人がいる。
俺も彼女も、全く同じなんだ。
きっと。
重い頭で必死に駅を目指しながら、まだ薄暗く冷たい外気を無理やり深呼吸する。
——五十嵐さんの声が、聞きたい。
「情けない」でも、「君らしいな」でも、何でもいいから——
彼の温かい言葉が、聞きたい。
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