悪役令息は無自覚に有能です。

竜鳴躍

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飛竜国とタートル王国

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「私の番のブラウンは、完熟した色気があるんだ。鍛えられた筋肉が躍動する様は最高だ。低い声で甘えるのも、ギャップがあって可愛い。タイガーのアレックスにだって負けないぞ!」

「何を!私のアレクは上目遣いが可愛いんだぞ!小悪魔に私を誘うんだ!」

「こら、フェニックス!勝つとか負けるとかないだろ。」


3日後、クリムゾン公爵家に来た陛下は、神妙な面持ちで頭を下げた。


「あの女が望んだのが発端とはいえ、長年申し訳なかった……。」


「いいんです。俺、もう分かってますから。仕事、陛下もそれとなくフォローしてくれていたでしょう。あの国の貴族、無能すぎますよね。宰相補佐だけでは回らなかったですよ。それに、陛下は俺たちを本当に引き離しはしなかったし、慰謝料もたくさんくださったじゃないですか。」


「ありがとう。君は懐が深いな………。」



「王国はどうなさるのですか?」


「実は………腹に卵ができてな。生まれるまでにカタをつけてくる予定だ。無責任に放り出すことはできないからな。」

「赤ちゃんが!それはおめでとうございます。」

「お兄様、おめでとうございます!」

フェニックスは嬉しそうにブラウンの項に頭をコシコシする。
ビアンカ様も嬉しそう。


「いや、卵生の方が早くわかるだけで、君たちもかもしれないぞ。」

「だったら嬉しいです。」

「それでビアンカ………。少しだけ待っていてくれないか。クリムゾン公爵、お願いいただけるでしょうか。」


「いいでしょう。ビアンカ様は息子の姑ですからね。その代わり、冒険者に復帰したら、我々の依頼を優先してください。」

「もちろんです。」



「それから、アレックス、タイガー。残る飛龍国とタートル国には注意していてくれ。この2カ国は、20年前から神獣に関しては伝承があるだけで、今も生きているのか、生きていたとしてどう扱われているか分からない。開国記念日にはやつらも来ていただろう。タイガーが変装していたのは良かったが、俺達に何かしてくるかもしれない。気を付けるに越したことはないから。」



フェニックス様の背に乗って、タイガー王国に帰った陛下は、仕事の出来なさを一喝。
縁故採用の禁止、能力主義の採用、門地や性別による差別の禁止、平民の騎士団と議会を設立、教育の機会の付与をあっという間に押し進め、王国を民主制に変えてしまった。

「身分に胡座をかいた無能より、勤勉で優秀な平民がこの国には必要だ。だって、たった数日も無理だったのだろう。嫌なら平民と競争しなさい。」

そして、膨大な引き続き書を作ると、後のことは、ヒドイン公爵に押し付けて王冠を脱いだ。

「ヒドイン。娘を学ばせて、官吏にしてもいい。忙しさが癒すこともある。平民でもいいじゃないか。貴族を探すより、よほど良い婿がいるかもしれない。ともに仕事をすれば、愛情が芽ばえることもあろう。俺は自分の若い頃稼いだ個人資産があれば十分だから、あの女のため込んだ宝石を慰謝料にもらってくれ。」

自業自得とはいえ、傷物の娘に貴族の縁は望めない。

公爵は、頭を下げてブラウンを見送った。
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