悪役令息は無自覚に有能です。

竜鳴躍

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オペラ座の怪人

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バックステージツアーから数ヶ月。
ハスティアお嬢様は惜しまれながら女優を引退し、フェニックス帝国に嫁いで行った。

グリーン=グローリー様も、神獣であり、ダブリス王太子殿下の最側近、侯爵令息でもあるレックス=ガーネット様のもとへと嫁いだと聞く。

あの日案内をした人たちは、雲の上の人たち。


だって、将来の王様や神様だよ。



僕にも何か、ご利益があるんじゃないかと思ったけど、相変わらず僕は雑用だ。


「ららら~いつか~夢はかなう~なんて、おとぎばなしかもしれない。誰もが自分は主人公だって信じてるけど~」

現実は、大抵の人はエキストラなんだ。

誰もいない深夜の劇場で歌う。


「僕ももう、ふんぎりをつけるべきなのかな。だけど……一度でいいから、役名付きで舞台に立ちたいな。」


「僕がチャンスを作ろうか。」

「だれ!?」

急に響いた声。

上からふわりと誰かが降りる。



「あ、ノワールさま!」


「マルチたん。僕、ちょっと早いけど、留学したんだ。舞台を勉強してて、脚本家、してるんだ。」

「脚本家なんだ、すごいね。」

「僕、頑張って採用される脚本書くよ。だから、オーディション頑張って。それでもし、僕の本で君がやれたら、僕と結婚してください。」

もちろん、君は結婚しても役者を続けていいし、実家の劇場をここみたいな劇場にするし。


「ちょ、ちょっと待って!そんなにすぐに決められない!」


「分かった。いつまでも待つ。強制しない。でも、僕は君にやってほしいから、がんばる。」





不思議な人。




僕が、性別不詳の天使の役でスターダムにのし上がるのはすぐのこと。

ノワは僕のためにって身を引こうとした。

バカなんだから…………。

だから追いかけた。


僕は帝国にある劇団タートルの看板役者。

ノワールは本当にオペラハウスを建てた。
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