【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

竜鳴躍

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本編

公爵夫人の仕事2

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騎士団の仕事で国境の村でイナゴのモンスターが沸いたので、朝から俺の部隊で処理してきた。

隣国の農業は大打撃のようだ。
幸いうちは、俺達が察知してすぐに壊滅させたから問題ない。

俺の部隊は強いから、斥候してそのまま片付けて来れるのが強みだ。

団長に報告して領地に帰り、今年は豊作だけど減反しないよう触れを出すよう、家令に指示を出した。

他国で食糧不足になるはずだから、余っても輸出すればいい。
値崩れは起きない。

アイスの書斎を覗く。
真剣に仕事をしている。
優秀だし、仕事熱心だし、真面目なんだよな。

スッと通った鼻筋に青い瞳。
豊かな金髪。
眉を寄せて考え事をしている表情はセクシーだ。
俺と違って手も大きいし、がっしりしてて……

夜の事を思い出してしまって、ぶるぶると頭を振った。

今日は朝が早かったから、上がりも早い。
溜まってるうちの仕事をしようと、自分の部屋に戻った。

嫁いでから、家の雰囲気も変えた。
女主人がいなくなって、勝手もできず、無難にまとまってた室内は、四季でカーテンや花を変えたり、テーマカラーを変えるようにお願いした。
領民にそういうのを扱ってる店もあったからお金を落としたいし、こっちのほうが気分もあがるし。
庭も同じだ。

制服を脱いで、私服に着替え、ちらりと指輪を見た。
たまには、つけると喜ぶのかな。

一度はめて、眺めて、また置いた。

アイスに届いた贈り物の、相手の貴族に、同等の品を見繕って礼状を書く。

お断りする招待の断り状を書く。

アイスは中立を維持したいわけだから、どこかの派閥に与するような振る舞いはだめだ。

そういえば、今夜は王子の誕生パーティーか。
親戚なのだから、出席で手配したが。



「アイス様は良い方を選ばれましたね。」
家令が、お茶を出しながらクリスを褒めた。

「クリスが優秀だから、私も楽になったよ。」

「家の取り仕切りも完璧ですが、領地経営のセンスも高いと思います。
多分、言えばパーティーの仕切りもうまくやるのではないでしょうか。お披露目できないことと、男性なのが少し残念ですが。」

「パーティーなぁ…。今日も一人で行くのは辛いな。」
下心のある貴族や令嬢にまとわりつかれるのが、辛い。

「今日は上がりが早かったようですよ。妻としてでなくていいからと言ってみては? お部屋にいらっしゃいます。」

「いや…いいよ。」

「そうですか。」

私は、クリスの様子を覗いてから、そっとパーティー会場へ向った。
王子の13歳の誕生日プレゼントは、クリスが芦毛の仔馬を用意していた。15歳になる頃に、自分で育てた馬で駆けられるように、ということらしい。


窓からアイスが出掛けるのを見ていると、ノックして家令が入ってきた。
今までお渡しはしていませんでしたが、と渡された手紙の束。
釣書とかラブレターだ。

モテるだろうと思ってはいたけど…。

「表向きはまだご結婚なされていないことになっていますので、悪い虫が寄ってくるのです。虫退治をお願い致します。」

どんな方法でもよろしいですので。
と、告られる。

なんだ。

ムシャクシャする!


「ミカエルを呼んでくれないか?」

去る家令を呼び止めて、お願いをした。
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