【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

本編

女って怖い

「本日はお招きいただき、ありがとうございます。」


黄色の花の飾りがついた爽やかな青いドレスを身に包み、侍女を連れて、お茶会へ参加してみた。

キャサリン=グレイス侯爵夫人とアレクサンドラ=ブライト伯爵夫人は、カーテンシーで迎えてくれた。

俺の方が立場が上だから、ふるまいにはちょっと気を遣うな、これ。

それにしても、二人とも変わらず綺麗だ。
グレイス夫人は薄い茶色の髪を結い上げ、名馬の毛並みのように艷やかで、涼しい目元がクールビューティー!
ブライト夫人はふわふわの金髪が柔らかそうで、愛されかわいい系!
どっち派かって争いあったなあ。
でも、やっぱこのクラスは高位貴族が持って行くんだな。

「こちらよろしかったら、どうぞ。うちのパティシエのショコラです。」

「まあかわいい!　お花が乗っているのですね!」

「食べられる花ですので、そのままいただけますわ。」

よっしゃあ!うちの新しい特産品売り込み成功!!



学生時代からライバルだったアレクサンドラと手を組んだ。
クレイソン公爵の妻として、急に現れた彼女。
私たちと同じくらいだと思うけれど、学園で彼女をみた気がしない!
何者なの?
貴族ではないのでは？
彼女の正体を見極め、中立の立場の公爵を引き寄せる足がかりとしたい。
これは、女の戦い。


キャサリンと手を組んだ。
中立の公爵夫人を引っ張り出すためだ。
日の光の下、近くでみても、この女性は綺麗だ。
肌のキメが細い。まつげ長い。
ニコニコとお土産を渡してくれた。
少し遅れて現れ、手土産にショコラ。
貴族のマナーを知ってる？
確かにこの顔、どっかで見た気はするのよ。
でも、思い出せない。
お茶会が始まり、私は観察を続ける。
サンドイッチ、スコーン、ケーキの順に少しずつ食べている。
食べ方も綺麗だ。
これは、即興で身につけたものでも、最近身につけたものでもない。
この人は絶対貴族だわ。
でも、誰なの?


なんかごめん。
憧れの彼女たちに会える!
ヒャッハーくらいに気軽に考えてた!
目線とか言葉の端々が怖いよ！
助けて!アイス!!