188 / 415
新章 溺愛編
分岐点
しおりを挟む
「お母様、お待ちください。」
みんなで紅茶を飲もうとしたら、アリスがいきなり現れた。
なんだろう。
「アリス、どうしたの?」「アリス!?」
思わず、ザオラルと一緒に首を傾げる。
「お母さまがショールをお忘れだったので、持ってきました。屋外のお茶会は、体が冷えますよ。」
「ああ、ありがとう。」
なんて、しっかり者で母親想いの長男なんだろう。
「みなさま、来たついで…といってはなんですが。お騒がせしたお詫びに、面白い余興をいたしましょう。
この魔法の紙に紅茶を1滴、振りかけてください。1枚だけ、違う色が出ます。失敗したらご愛敬、成功したら拍手喝さいをお願いしますね。」
アリスがニコニコと、俺たちに細長い紙を配る。
なんだろう、ドキドキするな!
俺たちは、小皿に紙をのせ、スプーンですくった1滴を、ゆっくりとふりかけた。
じわあっと、紅茶がしみこむ。
「あっ!俺の、色変わった!!」
「そうですか。 では、お母さまの紅茶には毒が入っています。絶対にのまないでください。」
えっ。
全員が固まった。
「この紙は、毒に反応して色を変える特殊な紙です。僕が開発しました。ぜひ、城でも採用してもらいたいものです。そして、この件をこの場限りの事件として扱ってほしくありません。完全解決のために、ここで犯人を特定します。」
そういった瞬間、明らかに顔色を変えた者がいた。
はっきりいってめぼしはついているけれど、証拠をつきつけたい。
「まず、毒はお茶やティーポットには入っていません。
なぜなら、盛られたのはお母さまだけだからです。
これは、お母さまを狙った犯行です。
思いつくのは、カップに塗られたか、もしくはお母さまだけ入れたものがあるのであれば、そちらかもしれません。
心当たりは?」
「公爵夫人だけ、お砂糖を入れましたわ。」
ミレニアさまが小さく挙手をする。
「砂糖ですか。」
この場にいる侍女は3人。
さあ、お前だよ。
お前。
追い詰めて。
お母さまが毒殺されるようなことがないよう、徹底的につぶす。
たぶん、ここが分岐点。
みんなで紅茶を飲もうとしたら、アリスがいきなり現れた。
なんだろう。
「アリス、どうしたの?」「アリス!?」
思わず、ザオラルと一緒に首を傾げる。
「お母さまがショールをお忘れだったので、持ってきました。屋外のお茶会は、体が冷えますよ。」
「ああ、ありがとう。」
なんて、しっかり者で母親想いの長男なんだろう。
「みなさま、来たついで…といってはなんですが。お騒がせしたお詫びに、面白い余興をいたしましょう。
この魔法の紙に紅茶を1滴、振りかけてください。1枚だけ、違う色が出ます。失敗したらご愛敬、成功したら拍手喝さいをお願いしますね。」
アリスがニコニコと、俺たちに細長い紙を配る。
なんだろう、ドキドキするな!
俺たちは、小皿に紙をのせ、スプーンですくった1滴を、ゆっくりとふりかけた。
じわあっと、紅茶がしみこむ。
「あっ!俺の、色変わった!!」
「そうですか。 では、お母さまの紅茶には毒が入っています。絶対にのまないでください。」
えっ。
全員が固まった。
「この紙は、毒に反応して色を変える特殊な紙です。僕が開発しました。ぜひ、城でも採用してもらいたいものです。そして、この件をこの場限りの事件として扱ってほしくありません。完全解決のために、ここで犯人を特定します。」
そういった瞬間、明らかに顔色を変えた者がいた。
はっきりいってめぼしはついているけれど、証拠をつきつけたい。
「まず、毒はお茶やティーポットには入っていません。
なぜなら、盛られたのはお母さまだけだからです。
これは、お母さまを狙った犯行です。
思いつくのは、カップに塗られたか、もしくはお母さまだけ入れたものがあるのであれば、そちらかもしれません。
心当たりは?」
「公爵夫人だけ、お砂糖を入れましたわ。」
ミレニアさまが小さく挙手をする。
「砂糖ですか。」
この場にいる侍女は3人。
さあ、お前だよ。
お前。
追い詰めて。
お母さまが毒殺されるようなことがないよう、徹底的につぶす。
たぶん、ここが分岐点。
0
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。
佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる