【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

竜鳴躍

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新章 溺愛編

分岐点

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「お母様、お待ちください。」


みんなで紅茶を飲もうとしたら、アリスがいきなり現れた。


なんだろう。


「アリス、どうしたの?」「アリス!?」

思わず、ザオラルと一緒に首を傾げる。


「お母さまがショールをお忘れだったので、持ってきました。屋外のお茶会は、体が冷えますよ。」



「ああ、ありがとう。」

なんて、しっかり者で母親想いの長男なんだろう。




「みなさま、来たついで…といってはなんですが。お騒がせしたお詫びに、面白い余興をいたしましょう。

この魔法の紙に紅茶を1滴、振りかけてください。1枚だけ、違う色が出ます。失敗したらご愛敬、成功したら拍手喝さいをお願いしますね。」


アリスがニコニコと、俺たちに細長い紙を配る。

なんだろう、ドキドキするな!


俺たちは、小皿に紙をのせ、スプーンですくった1滴を、ゆっくりとふりかけた。


じわあっと、紅茶がしみこむ。


「あっ!俺の、色変わった!!」





「そうですか。 では、お母さまの紅茶には毒が入っています。絶対にのまないでください。」




えっ。



全員が固まった。










「この紙は、毒に反応して色を変える特殊な紙です。僕が開発しました。ぜひ、城でも採用してもらいたいものです。そして、この件をこの場限りの事件として扱ってほしくありません。完全解決のために、ここで犯人を特定します。」


そういった瞬間、明らかに顔色を変えた者がいた。

はっきりいってめぼしはついているけれど、証拠をつきつけたい。




「まず、毒はお茶やティーポットには入っていません。

なぜなら、盛られたのはお母さまだけだからです。

これは、お母さまを狙った犯行です。

思いつくのは、カップに塗られたか、もしくはお母さまだけ入れたものがあるのであれば、そちらかもしれません。

心当たりは?」


「公爵夫人だけ、お砂糖を入れましたわ。」
ミレニアさまが小さく挙手をする。


「砂糖ですか。」


この場にいる侍女は3人。






さあ、お前だよ。


お前。





追い詰めて。

お母さまが毒殺されるようなことがないよう、徹底的につぶす。



たぶん、ここが分岐点。







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