【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

竜鳴躍

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新章(アリスの結婚編)

アヴニールの婚約

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「アヴニール、話があるんだけど。お昼休みが終わったら、団長の執務室まで一緒に来てくれないだろうか?」


今日も騎士団の庭で二人でランチ。

事件の後、キャッツアイは考えていた。


愛しい彼を団長と同じ目には絶対にあわせたくない。


彼は団長ではないけれど、あまりにも似すぎていて不安だった。


彼も11歳。

顔は幼いけど発育は悪くないから、12,13くらいには見える。

今は自宅で家庭教師から習ったり、騎士団で見習いとして教わっているが、学園に通い始めれば、自分の目は行き届かないし、そろそろ、女側なら婚約の申込みが来る頃。


良からぬ輩も現れる頃だ。


「いいですよ?」


ケチャップを口の端にくっつけて、首を傾げるアヴニール。

本当に心配だ!


このまま学園に入った日には、どこかの禁書のように、集団に拉致られ、体育倉庫で輪姦されてしまう!


団長が女側だから、アヴニールも既に世間からはそう見られている。

彼の姉も人気があったが、入学前に婚約したから静かなものらしかった。



トントン。


ノックをして、執務室へ入る。

中では、団長と公爵がいて、公爵は領地の仕事を持ち込んでいた。


まだ、現場にはいけないが、こうして執務室で仕事ができるくらいにはなっていた。



「どうした?キャッツアイ。アヴニールを連れて。」


「部隊長としてではなく、キャッツアイ=ブライト伯爵令息として、クレイソン公爵夫妻にお話をしにまいりました。」


公爵が団長の後ろに立つ。



「早いかもしれませんが、正式にアヴニールと婚約させて下さい!」


アヴニールを守りたいのです!

成人するまでは、不埒なことは致しません!



「ぶたいちょ…」

アヴニールの瞳はうるうるしていて、両親を交互に眺めた。




フッと、キャッツアイの手に、剣だこはあるが滑らかな両手が触れる。


触らなければわからないくらいに微かに震える手で握りしめて、団長は笑った。


「アヴニールをたのむよ。ね、いいよね。アイス。」

「ああ。お前なら言うことはない。だが、約束は守れよ。」


「ありがとうございます!」



「お披露目はどうしようね。いつ頃がいいかな?俺たちの産後がいいかな? 半年後くらい?」

「アヴニールにかわいい服も着せないとな。」

クリスとアイスは、膨らみつつあるお腹を撫でながら、楽しそうに笑った。
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