28 / 40
熟年編
王太子の誕生パーティ
その日、王太子の誕生パーティが華やかに行われていた。
「王太子殿下、おめでとうございます。」
「ありがとう。」
招待客に礼をするデュランの隣でほほ笑み、ともに礼をするのは、妃のリリーナ。
その様子を遠巻きに見ながら、デュランの弟であるケヴィン=ノースとその妻のサン=ノース公爵夫人は、友人であるボヌールとトロワの父親であるゼロ=サンダルフォン様とシュヴァリエ様とともにワインを嗜んでいた。
友人の父親同士だが、二人は夫夫である。
ゼロに嫁ぐまでは、男側で出席していたシュヴァリエは、いつもピシッとしたスーツを着ていたが、今回は、ゼロの妻として、スーツの下はドレスシャツを着ていた。
「シュヴァリエ様、今日の装い素敵ですね。いつもの服も騎士様と言った感じでとてもカッコいいですけど、今日は麗しいです。」
黒髪黒目で、黒猫のような美しい青年が、目をキラキラ輝かせる。
「サン様、ありがとうございます。今日は私の『妻』としての社交界デビューのようなものですからね。ゼロ様におねだりしていいものを買っていただきました。」
「隠居の身とはいえ、そのぐらいの余裕はある。たとえ妻に資産があったとしても、社交界で身に着けるものを贈るのは、夫の義務であり、楽しみというものだよ。」
「うわぁ、ごちそうさまです。」
腕を絡める二人をみて、サンも同じようにケヴィンに腕を絡めた。
――――と、そこで。庭の方から何かが会場に入ってくるのが見えた。
「ちょっと…。今、庭から何かがサッと中に入ってくるのが見えた。人か獣か分からないけど…。」
「わかった。私が見てこよう。シュヴァリエ様、サンをよろしくお願いします。」
ケヴィンがその場を離れた。
「勘違いだったらいいんだけどね。」
ところが、それが。王家の陛下夫婦、王太子夫婦を巻き込んだ大騒動になるとは。
庭の方から周囲を窺ったケヴィンは、妖しい影を探した。
そして、上等の服を着てはいるが、正装ではない、そんな男がもぐもぐと飯を食べている姿を見て、目を見開いた。
都合が悪いことに、その場へ兄である王太子夫婦が休憩に現れる。
「あら、ケヴィン様。あなたも休憩?―――――え。えっ?何、その子。」
リリーナが笑顔から怪訝な表情になり、目の前の男と隣の夫の顔を見比べる。
「………ごめんなさい。お隣さんが楽しそうだったから、つい。ご飯もおいしそうで…。ちょっとくらいならいっぱいあるからいいかな、って思ったの。」
デュランと同じ顔をした少年がそこにいた。
「王太子殿下、おめでとうございます。」
「ありがとう。」
招待客に礼をするデュランの隣でほほ笑み、ともに礼をするのは、妃のリリーナ。
その様子を遠巻きに見ながら、デュランの弟であるケヴィン=ノースとその妻のサン=ノース公爵夫人は、友人であるボヌールとトロワの父親であるゼロ=サンダルフォン様とシュヴァリエ様とともにワインを嗜んでいた。
友人の父親同士だが、二人は夫夫である。
ゼロに嫁ぐまでは、男側で出席していたシュヴァリエは、いつもピシッとしたスーツを着ていたが、今回は、ゼロの妻として、スーツの下はドレスシャツを着ていた。
「シュヴァリエ様、今日の装い素敵ですね。いつもの服も騎士様と言った感じでとてもカッコいいですけど、今日は麗しいです。」
黒髪黒目で、黒猫のような美しい青年が、目をキラキラ輝かせる。
「サン様、ありがとうございます。今日は私の『妻』としての社交界デビューのようなものですからね。ゼロ様におねだりしていいものを買っていただきました。」
「隠居の身とはいえ、そのぐらいの余裕はある。たとえ妻に資産があったとしても、社交界で身に着けるものを贈るのは、夫の義務であり、楽しみというものだよ。」
「うわぁ、ごちそうさまです。」
腕を絡める二人をみて、サンも同じようにケヴィンに腕を絡めた。
――――と、そこで。庭の方から何かが会場に入ってくるのが見えた。
「ちょっと…。今、庭から何かがサッと中に入ってくるのが見えた。人か獣か分からないけど…。」
「わかった。私が見てこよう。シュヴァリエ様、サンをよろしくお願いします。」
ケヴィンがその場を離れた。
「勘違いだったらいいんだけどね。」
ところが、それが。王家の陛下夫婦、王太子夫婦を巻き込んだ大騒動になるとは。
庭の方から周囲を窺ったケヴィンは、妖しい影を探した。
そして、上等の服を着てはいるが、正装ではない、そんな男がもぐもぐと飯を食べている姿を見て、目を見開いた。
都合が悪いことに、その場へ兄である王太子夫婦が休憩に現れる。
「あら、ケヴィン様。あなたも休憩?―――――え。えっ?何、その子。」
リリーナが笑顔から怪訝な表情になり、目の前の男と隣の夫の顔を見比べる。
「………ごめんなさい。お隣さんが楽しそうだったから、つい。ご飯もおいしそうで…。ちょっとくらいならいっぱいあるからいいかな、って思ったの。」
デュランと同じ顔をした少年がそこにいた。
あなたにおすすめの小説
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
俺以外を見るのは許さないから
朝飛
BL
赤池凌平は、成瀬真介と出会い、緩やかに親交を深めてやがて恋人同士になるのだったが、時折違和感を抱いていた。
その違和感の正体が明らかになる時には、もう何もかも手遅れになってしまい……。
(女性と付き合うシーンもあります。)
※ネオページ、エブリスタにも同時掲載中。マイペースに更新します。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
王命で第二王子と婚姻だそうです(王子目線追加)
かのこkanoko
BL
第二王子と婚姻せよ。
はい?
自分、末端貴族の冴えない魔法使いですが?
しかも、男なんですが?
BL初挑戦!
ヌルイです。
王子目線追加しました。
沢山の方に読んでいただき、感謝します!!
6月3日、BL部門日間1位になりました。
ありがとうございます!!!
繋ぎの婚約を契約通り解消しようとしたら、王宮に溺愛軟禁されました
こたま
BL
エレンは子爵家のオメガ令息として産まれた。年上のアルファの王子殿下と年齢が釣り合うオメガ令息が少なく、他国との縁組も纏まらないため家格は低いが繋ぎとして一応婚約をしている。王子のことは兄のように慕っており、初恋の人ではあるけれど、契約終了時期か王子に想い人が現れた時には解消されるものと考えていた。ところが婚約解消時期の直前に王子宮に軟禁された。結婚を承諾するまでここから出さないと王子から溢れるほどの愛を与えられる。ハッピーエンドオメガバースBLです。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!