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決意
しおりを挟む「ケヴィンをとって父親を見捨てるか、ケヴィンを殺して父親をとるか、選べ?」
「…………!」
頭の中で反芻する。
本当の子どもではないのに、愛してくれたお父様。
いつも助けてくれて、温かい笑顔で俺を包み込んでくれる、ケヴィン。
「ちなみに、騎士団長はお前の本当の父親だよ。アッチが気づいているかは分からんがね。お前らは孤児じゃない。俺たちが貴族の家から攫ってきたんだ…。くくくっ……。」
………えっ!?
「面白かったぜぇ?本来は幸せに、汚いことも知らずに生きていくような高潔な貴族のお坊ちゃんお嬢ちゃんを、穢すのは!さぁ!さぁ、どうする?」
頭が混乱する。
本当の、お父様だったの?
俺が、本当のサンだったの?
動揺する俺の肩を、ケヴィン王子が支えた。
「動揺するな。私たちは、知っていた。」
そうか、俺が混乱すると思って、みんな黙って見守っていてくれていたのか…。
「ーーーーー俺は、ケヴィンを殺さない。」
「ほう、父親を見捨てるか。薄情なことだ。」
「お父様が、やられるわけない!!俺はお父様を信じる!俺がいま、やるべきことは!」
ここで、ジェネシスとゲネスを倒すこと!
俺は、剣を握りしめ、愛するケヴィン王子とともに、立ち向かう。
その頃、ノース侯爵家では。
「へっへっへ、見せしめに皆殺しだ!」
ジェネシスの部下たちが主不在中に乗り込んでいた。
「……やれるモンならやってみな!」
「ウチに集中してくれるなら、好都合だ!」
「俺たちはな、18年前のあの日。悔しくて、悔しくて。18年間、旦那様の下で鍛え上げてきたんだ!」
料理長は、包丁を片手に、蹴りを入れながら、賊の腕を切り裂いた。
「なっ!」
「それなら、女だっ!」
慌てた賊の一人がサマンサに近寄る。
「二度もサン様を攫うなんて許せません!あなたたちこそ、皆殺し、ですよ?」
サマンサが体を回転させ、回し蹴りをきめた。
「馬鹿なっ!」
18年前のリベンジ。
侯爵家使用人一同。もはや、騎士団と遜色ない武闘派だった。
逆蹂躙が始まる。
その頃、別の場所では……。
赤毛の親子が対峙していた。
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