暗殺者は王子に溺愛される

竜鳴躍

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社会復帰

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「サン様、行ってらっしゃいませ。」

侯爵家の馬車で、学園につくと、向こうから騒がしい声が聞こえてくる。

サンダルフォン公爵家の馬車。


「トロワ~!アン!デューク!!行ってらっしゃい!! あいしてるわあ!!」

あの声はリリーナ様。

ものすごく気まずそうに、二人の兄に挟まれるようにして、レッド……じゃない、トロワ。


お家に馴染んでいるようでよかった。


「おはよう、アン様、デューク様、トロワ様。」

「おはよう、サン様。」
「今日もお美しいですね。」

アン様はさっぱりした性格。
デューク様はちょっとだけキザったらしい。

「………よう。」

「本当だったら、サン様は同級生だったんですよね、残念だなあ。」

「デューク兄様、サンは王子の婚約者だぞ。」

「友だちになりたかったなあ、って言ってるだけだよ、やだなあ。」

「友だちなら学年が違ってもなれますよ。」
デューク様は苦手だなあ。
悪い人ではないけど。

だけど、もし俺がケヴィン殿下と本当に結婚したら、リリーナ様がデュラン様に嫁ぐから、彼らとも親戚になるんだな。

「ところで、学園には慣れた?」

「いや、なんだろう。違和感はあるな。」

そうだよね。

俺、トロワが学園に通うようになって嬉しい。

一人だけ異質って、なんだか拠り所がない。

「なんとか、社会復帰しないとね。お互い。」

「そうだな。」



「ブラッキー兄、レッド……」


ぽつんと呼ばれた、高い声。


振り返ると、俺より華奢で小柄に見える、オーロラ。

辺境伯の次男だったんだよな。
本名はボヌール。


「ボヌール! 今日から?」


「……うん、今日から編入。」

「馬車でこなかったの?」

「寮、入っているから。」

「そか。」

ボヌールは、顔が暗い。

彼も、傷ついてる。

娼婦の苦しみと暗殺の苦しみは違う。
知ったような慰めはかけられない。


俺は、彼を同じ学年のトロワに任せて、離れた。


彼の心の闇が、これから一騒動になるのだが。

まだ、何も気づいていなかった。
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