あなたがいい~妖精王子は意地悪な婚約者を捨てて強くなり、幼馴染の護衛騎士を選びます~

竜鳴躍

文字の大きさ
6 / 42

ブレーキ王子の憂鬱

しおりを挟む
ペールグリーンのさらさらした髪にアイスブルーの瞳の麗しき君。

妖精王アヴァロンの血を引く、高貴な方。

ハピネス王子は、愚兄の行いを詫びに来た僕を温かく迎えてくれた。

「ほんとうに……本当に、兄が申し訳…ありません…っ。父も母も処分をする方向で動いております。ただ、その…、兄は外面がいいものですから、支持している派閥も多く…、すぐには…。せめて、アミュレット様が健やかに生活できるよう、兄から切り離し、一丸となってお守りしておりますのでっ…。」


「………ありがとう、自ら状況を伝えに来てくれて。座って?君は苦労するね…。」


「ハピネス殿下…。」

「うふふ、僕たち親戚で幼馴染じゃない。ハピネス、でいいからね。でも親族だからこそ、アレがそんな男だと見抜けなかったのが悔しいな。まだ君の方がよかった。2つくらい年上の妃でも問題ないだろうに。」

「………いえ、僕なんか。」


僕は、ハピネス殿下が好き。


だけど、クローバー王国の人と違って、僕は赤ちゃん産めないし。

それに――――――


「なんか、だなんて言ってはいけないよ。君があの国を継ぐのでしょう?」


そうですね…。

そうですよね…。


兄がどうしようもない以上、僕が継がなきゃ。


「はい…。おそらくそうなると思います。」

「少なくても、あれよりは、よっぽど素晴らしい王になれるだろう。自信を持ちなさい。大人になるまで時間もたくさんある。」

「あの、ハピネス様は時機に王位を継がれるのですよね?」


「ああ、王太子として執務もしているしね。」


「……僕に、心得を教えていただけますか。」


「もちろんだとも。その代わりと言ってはなんだけど、込み入ったことを聞かせてもらってもいいかな?」

「もちろんです。」


「ふふ、何を聞きたいか聞く前に即答しちゃだめだよ?たとえ相手が誰でも、ね。」

「あっ…。」


「ゆっくり、王らしさを身に着けていこうね。なんでアレはあんな風になったのか、わかる?」

「多分ですけど…。支援者のゴウマン侯爵……。彼の影響ではないかと思っています。」



「ゴウマン、ね。オオバコ王国の軍需産業を支える一大商会を持っていたっけ。」

「ええ、野心家で国の要職からは遠ざけていましたが、いつの間にか国防に大きな影響力を持つに至り。元々、ゴウマン侯爵家は父の妃に一族の令嬢を押していました。しかし、ライバルを出し抜くため、いじめを繰り返したり、母に冤罪をしかけようとしたそうです。令嬢の単独行動ということで侯爵家はその娘を廃嫡し、修道院送りにし、多額の賠償金を支払って終わりましたが、今度は兄の妃の座を狙っているのだと思っています。侯爵家には丁度娘がいますから。証拠、がありませんけどね。」


「アクセルはその家の令嬢と懇意なのだな。全く愚かな。」

「僕もそう思います。」



アミュレット様に向かい合ってくれたら。
行動を思い直してくれたら。

父も母も僕も、そう思っていますが、破滅に一直線に向かっています。



もう、兄に未来はない。

気付いていないのは、本人とその周りの者たちだけ。




しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

「出来損ない」オメガと幼馴染の王弟アルファの、発情初夜

鳥羽ミワ
BL
ウィリアムは王族の傍系に当たる貴族の長男で、オメガ。発情期が二十歳を過ぎても来ないことから、家族からは「欠陥品」の烙印を押されている。 そんなウィリアムは、政略結婚の駒として国内の有力貴族へ嫁ぐことが決まっていた。しかしその予定が一転し、幼馴染で王弟であるセドリックとの結婚が決まる。 あれよあれよと結婚式当日になり、戸惑いながらも結婚を誓うウィリアムに、セドリックは優しいキスをして……。 そして迎えた初夜。わけもわからず悲しくなって泣くウィリアムを、セドリックはたくましい力で抱きしめる。 「お前がずっと、好きだ」 甘い言葉に、これまで熱を知らなかったウィリアムの身体が潤み、火照りはじめる。 ※ムーンライトノベルズ、アルファポリス、pixivへ掲載しています

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後

結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。 ※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。 全5話完結。予約更新します。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

愛する公爵と番になりましたが、大切な人がいるようなので身を引きます

まんまる
BL
メルン伯爵家の次男ナーシュは、10歳の時Ωだと分かる。 するとすぐに18歳のタザキル公爵家の嫡男アランから求婚があり、あっという間に婚約が整う。 初めて会った時からお互い惹かれ合っていると思っていた。 しかしアランにはナーシュが知らない愛する人がいて、それを知ったナーシュはアランに離婚を申し出る。 でもナーシュがアランの愛人だと思っていたのは⋯。 執着系α×天然Ω 年の差夫夫のすれ違い(?)からのハッピーエンドのお話です。 Rシーンは※付けます ※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。 ※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。 Xアカウント(@wawawa_o_o_)

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

悪役令嬢のモブ兄に転生したら、攻略対象から溺愛されてしまいました

藍沢真啓/庚あき
BL
俺──ルシアン・イベリスは学園の卒業パーティで起こった、妹ルシアが我が国の王子で婚約者で友人でもあるジュリアンから断罪される光景を見て思い出す。 (あ、これ乙女ゲームの悪役令嬢断罪シーンだ)と。 ちなみに、普通だったら攻略対象の立ち位置にあるべき筈なのに、予算の関係かモブ兄の俺。 しかし、うちの可愛い妹は、ゲームとは別の展開をして、会場から立ち去るのを追いかけようとしたら、攻略対象の一人で親友のリュカ・チューベローズに引き止められ、そして……。 気づけば、親友にでろっでろに溺愛されてしまったモブ兄の運命は── 異世界転生ラブラブコメディです。 ご都合主義な展開が多いので、苦手な方はお気を付けください。

処理中です...