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僕、いや、お、おれ!は強くなり、なる!!
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「うわあああ!」
馬車を降りると、風が心地よい。
もうすぐ冬が来るから、ちょっと冷たい。
僕たちは王都から少し離れた港町に来た。
この国の冬は早いから。
今は10月で、木は赤や黄に染まり、美しい。
「もうすぐ冬が来ます。冬が深くなる前にあちこち回りましょう。雪が降っている間は一つのところに留まることになります。」
シュナイダーと馬車を降りて、周りを見渡す。
街にはいろんな人たちがいて。
城の中の狭い空間とは違う。
潮の香り。
塩を含んだしっとりした空気。
魚の匂い。
「ぼ、いや、お、俺!!は強くなり、なる!!!」
大地をしっかり踏みしめ、シュナイダーに宣言すると、シュナイダーは首を傾げていた。
「アミュレット様は今のままでいいんですよ?」
「ううん!ダメ!いつまでもシュナイダーにおんぶにだっこじゃいけない!だってもう16歳になるんだし!!そもそも、ぼ、俺が弱かったからいけないんだし!デブスでもいいじゃない!見た目だけが人の価値じゃないでしょ!俺は男らしくなりたい!シュナイダーみたいになりたい!俺は変わるから!心の中でうじうじするのもうやめる!下は向かない!前に進む!今度何かきたら俺が自分でやっつけてやる!」
「アミュレット様はデブスじゃないですよ、でもまあ、見た目だけがすべてではないというのは確かです。ふくよかでも魅力的な人はいるし、美人でもアクセル様やミレルダ様みたいなのは下の下ですからね。じゃあ、旅をしながら戦い方の修業もしましょうね。きっとすぐ強くなれますよ。今度は一緒に戦いましょう。」
シュナイダーが僕、いや俺の手を引こうとしたけど、さっと手を引いた。
強くなるんだから!
「じゃあ、私の前を歩いてください。すぐ前ですよ。」
「どこへ行くの?行くんだ?」
「冒険者ギルドです。大体酒場と一緒になっていて、看板が出てます。でもその前に、アミュレット様の装備を買いましょう。」
冒険者!
「(報告の際に王妃様から少しはお金をいただいたけど)ほとんど何も持たないで出ましたからね。生活費を稼がないと。旅をするにもお金がないと。それに、冒険者をしていれば少しずつ強くなれますよ。実戦で学んでいきましょう。」
わーい!!!冒険者!
ふふふ。目がキラキラしている。かわいい。かわいすぎる。
アミュレット様も年頃の男だ。
やっぱりワクワクするのだろう。
自分が一人で冒険者になって当面の生活費を工面しようと思っていたが、二人で冒険者活動をしても楽しいかもしれない。
それに、アミュレット様は全く気付いていないが、周りの人間たちが老若男女、見惚れている。
いや、アミュレット様は妖精の血を濃く引く。
そのへんの草や花、動物たちや虫たちだって見惚れている!
一人にしておく方が心配だ。
強くなりたい、かぁ~。
願いをかなえてあげたい。
例え筋骨隆々なアミュレット様でも私は大好きだ。
だって、見た目で彼に惚れているわけじゃないのだから。
私はスズナ王国の第二王子。
オオバコ王国の王家の血が濃いと母国では国民に望まれていないが、それでも然るべき爵位を賜ることはできる。
ハピネスと一緒に王族としての教育は受けたし、剣の腕だけでなく、頭の出来にも自信がある。
だけど、私は。
アミュレット様が生まれたときから、なんだか運命めいたものを感じ。
ともに育つうちに心の中に芽生えたもの。
彼が幼い頃は、それは弟に対する親愛だと思っていた。
だがそれは違う。
アミュレット様が縁談でこちらに来ているというのに、そんな想いに今更気が付いて…。
彼を手に入れるなら、『王子』でいた方がよかったのだろうか。
いや、彼の守りを誰に任せられるというんだ。
私は、一生彼の騎士でいたい。
お守りしたい。
いつか彼が本当に愛する人と一緒になる日が来たとしても。
騎士ならば、一番そばにいられるから。
馬車を降りると、風が心地よい。
もうすぐ冬が来るから、ちょっと冷たい。
僕たちは王都から少し離れた港町に来た。
この国の冬は早いから。
今は10月で、木は赤や黄に染まり、美しい。
「もうすぐ冬が来ます。冬が深くなる前にあちこち回りましょう。雪が降っている間は一つのところに留まることになります。」
シュナイダーと馬車を降りて、周りを見渡す。
街にはいろんな人たちがいて。
城の中の狭い空間とは違う。
潮の香り。
塩を含んだしっとりした空気。
魚の匂い。
「ぼ、いや、お、俺!!は強くなり、なる!!!」
大地をしっかり踏みしめ、シュナイダーに宣言すると、シュナイダーは首を傾げていた。
「アミュレット様は今のままでいいんですよ?」
「ううん!ダメ!いつまでもシュナイダーにおんぶにだっこじゃいけない!だってもう16歳になるんだし!!そもそも、ぼ、俺が弱かったからいけないんだし!デブスでもいいじゃない!見た目だけが人の価値じゃないでしょ!俺は男らしくなりたい!シュナイダーみたいになりたい!俺は変わるから!心の中でうじうじするのもうやめる!下は向かない!前に進む!今度何かきたら俺が自分でやっつけてやる!」
「アミュレット様はデブスじゃないですよ、でもまあ、見た目だけがすべてではないというのは確かです。ふくよかでも魅力的な人はいるし、美人でもアクセル様やミレルダ様みたいなのは下の下ですからね。じゃあ、旅をしながら戦い方の修業もしましょうね。きっとすぐ強くなれますよ。今度は一緒に戦いましょう。」
シュナイダーが僕、いや俺の手を引こうとしたけど、さっと手を引いた。
強くなるんだから!
「じゃあ、私の前を歩いてください。すぐ前ですよ。」
「どこへ行くの?行くんだ?」
「冒険者ギルドです。大体酒場と一緒になっていて、看板が出てます。でもその前に、アミュレット様の装備を買いましょう。」
冒険者!
「(報告の際に王妃様から少しはお金をいただいたけど)ほとんど何も持たないで出ましたからね。生活費を稼がないと。旅をするにもお金がないと。それに、冒険者をしていれば少しずつ強くなれますよ。実戦で学んでいきましょう。」
わーい!!!冒険者!
ふふふ。目がキラキラしている。かわいい。かわいすぎる。
アミュレット様も年頃の男だ。
やっぱりワクワクするのだろう。
自分が一人で冒険者になって当面の生活費を工面しようと思っていたが、二人で冒険者活動をしても楽しいかもしれない。
それに、アミュレット様は全く気付いていないが、周りの人間たちが老若男女、見惚れている。
いや、アミュレット様は妖精の血を濃く引く。
そのへんの草や花、動物たちや虫たちだって見惚れている!
一人にしておく方が心配だ。
強くなりたい、かぁ~。
願いをかなえてあげたい。
例え筋骨隆々なアミュレット様でも私は大好きだ。
だって、見た目で彼に惚れているわけじゃないのだから。
私はスズナ王国の第二王子。
オオバコ王国の王家の血が濃いと母国では国民に望まれていないが、それでも然るべき爵位を賜ることはできる。
ハピネスと一緒に王族としての教育は受けたし、剣の腕だけでなく、頭の出来にも自信がある。
だけど、私は。
アミュレット様が生まれたときから、なんだか運命めいたものを感じ。
ともに育つうちに心の中に芽生えたもの。
彼が幼い頃は、それは弟に対する親愛だと思っていた。
だがそれは違う。
アミュレット様が縁談でこちらに来ているというのに、そんな想いに今更気が付いて…。
彼を手に入れるなら、『王子』でいた方がよかったのだろうか。
いや、彼の守りを誰に任せられるというんだ。
私は、一生彼の騎士でいたい。
お守りしたい。
いつか彼が本当に愛する人と一緒になる日が来たとしても。
騎士ならば、一番そばにいられるから。
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