あなたがいい~妖精王子は意地悪な婚約者を捨てて強くなり、幼馴染の護衛騎士を選びます~

竜鳴躍

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生えた

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「ふんふん、今日もクローバー王国を見守ってくださいね。」

妖精たちのお墓のお世話をして。
今日も一日が始まる。


「アミュレット!」
様付けはいい加減やめさせたシュナイダーから呼ばれて、お墓のそばの神葉樹のもとへいく。


かつて、アヴァロンがモルヒネに想いを馳せて植えたその樹は、すっかり大木になっている。


「あ。」


その樹の根元に、小さな芽が生えている。


「なんだろう、この樹の子どもかなあ。」

「ここにいると育たないだろう?植木鉢に分けておこうか。別のところに植えよう。」

「そうだね、そうしよう。」




―――――――と、いうのが昨日の出来事。



「ルシェルお兄様に相談しようと思って…。」

「ふむ。」


アミュレットとシュナイダーは、スズナ王国のルシェルの執務室を訪れていた。


2人の側には―――――――アミュレットによく似た貌の純粋な妖精の子ども。

2,3歳くらいに見える幼児は、桃色の髪に菫色の瞳で。


もしかしたら、この子は…。


「おかち、たべていい?」


「ああ、いいよ。ジュースも一緒にのむんだよ。」


「………彼は、『モルヒネ』の生まれ変わりです。間引くことも考えました。だけど…。」

「生かしたい、って思ったんだね。」

「はい…。」

「彼はもう『悪魔』じゃないし、前世の記憶だってない。それなのに、前世の罪を今世まで背負わされるのは違うと思うんです。」


「いいんじゃない?育てて。ハピネスたちにも伺っておくといいよ。三国は関係者だしね。」



「おかちおいちい。」


「そっか。」


お菓子に夢中な幼子をルシェルは抱き上げた。

「名前は?」

「おなまえ?まだない」


「じゃあ、リバイブってどうだ?再生するって意味だぞ。」


「りばいぶ!かっこいいおなまえ!」

「じゃあな、すくすく育て。」


アミュレットに渡そうとして、リバイブが腕にしがみついて離れない。


「リバイブ、お家に帰らないと。」


「やぁ、りばいぶ、おにいさんといるぅ。」

「お兄さんはルシェルって名前だぞ。」

「るしぇるすきー。」





なるほど、これが運命かな。

あと18年。長いなぁ。



困り果てるアミュレットたちを説き伏せて帰し、僕はリバイブの小さな体を抱っこして、自分の両親を説得する算段を頭に描く。
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感想 17

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