38 / 42
生えた
しおりを挟む
「ふんふん、今日もクローバー王国を見守ってくださいね。」
妖精たちのお墓のお世話をして。
今日も一日が始まる。
「アミュレット!」
様付けはいい加減やめさせたシュナイダーから呼ばれて、お墓のそばの神葉樹のもとへいく。
かつて、アヴァロンがモルヒネに想いを馳せて植えたその樹は、すっかり大木になっている。
「あ。」
その樹の根元に、小さな芽が生えている。
「なんだろう、この樹の子どもかなあ。」
「ここにいると育たないだろう?植木鉢に分けておこうか。別のところに植えよう。」
「そうだね、そうしよう。」
―――――――と、いうのが昨日の出来事。
「ルシェルお兄様に相談しようと思って…。」
「ふむ。」
アミュレットとシュナイダーは、スズナ王国のルシェルの執務室を訪れていた。
2人の側には―――――――アミュレットによく似た貌の純粋な妖精の子ども。
2,3歳くらいに見える幼児は、桃色の髪に菫色の瞳で。
もしかしたら、この子は…。
「おかち、たべていい?」
「ああ、いいよ。ジュースも一緒にのむんだよ。」
「………彼は、『モルヒネ』の生まれ変わりです。間引くことも考えました。だけど…。」
「生かしたい、って思ったんだね。」
「はい…。」
「彼はもう『悪魔』じゃないし、前世の記憶だってない。それなのに、前世の罪を今世まで背負わされるのは違うと思うんです。」
「いいんじゃない?育てて。ハピネスたちにも伺っておくといいよ。三国は関係者だしね。」
「おかちおいちい。」
「そっか。」
お菓子に夢中な幼子をルシェルは抱き上げた。
「名前は?」
「おなまえ?まだない」
「じゃあ、リバイブってどうだ?再生するって意味だぞ。」
「りばいぶ!かっこいいおなまえ!」
「じゃあな、すくすく育て。」
アミュレットに渡そうとして、リバイブが腕にしがみついて離れない。
「リバイブ、お家に帰らないと。」
「やぁ、りばいぶ、おにいさんといるぅ。」
「お兄さんはルシェルって名前だぞ。」
「るしぇるすきー。」
なるほど、これが運命かな。
あと18年。長いなぁ。
困り果てるアミュレットたちを説き伏せて帰し、僕はリバイブの小さな体を抱っこして、自分の両親を説得する算段を頭に描く。
妖精たちのお墓のお世話をして。
今日も一日が始まる。
「アミュレット!」
様付けはいい加減やめさせたシュナイダーから呼ばれて、お墓のそばの神葉樹のもとへいく。
かつて、アヴァロンがモルヒネに想いを馳せて植えたその樹は、すっかり大木になっている。
「あ。」
その樹の根元に、小さな芽が生えている。
「なんだろう、この樹の子どもかなあ。」
「ここにいると育たないだろう?植木鉢に分けておこうか。別のところに植えよう。」
「そうだね、そうしよう。」
―――――――と、いうのが昨日の出来事。
「ルシェルお兄様に相談しようと思って…。」
「ふむ。」
アミュレットとシュナイダーは、スズナ王国のルシェルの執務室を訪れていた。
2人の側には―――――――アミュレットによく似た貌の純粋な妖精の子ども。
2,3歳くらいに見える幼児は、桃色の髪に菫色の瞳で。
もしかしたら、この子は…。
「おかち、たべていい?」
「ああ、いいよ。ジュースも一緒にのむんだよ。」
「………彼は、『モルヒネ』の生まれ変わりです。間引くことも考えました。だけど…。」
「生かしたい、って思ったんだね。」
「はい…。」
「彼はもう『悪魔』じゃないし、前世の記憶だってない。それなのに、前世の罪を今世まで背負わされるのは違うと思うんです。」
「いいんじゃない?育てて。ハピネスたちにも伺っておくといいよ。三国は関係者だしね。」
「おかちおいちい。」
「そっか。」
お菓子に夢中な幼子をルシェルは抱き上げた。
「名前は?」
「おなまえ?まだない」
「じゃあ、リバイブってどうだ?再生するって意味だぞ。」
「りばいぶ!かっこいいおなまえ!」
「じゃあな、すくすく育て。」
アミュレットに渡そうとして、リバイブが腕にしがみついて離れない。
「リバイブ、お家に帰らないと。」
「やぁ、りばいぶ、おにいさんといるぅ。」
「お兄さんはルシェルって名前だぞ。」
「るしぇるすきー。」
なるほど、これが運命かな。
あと18年。長いなぁ。
困り果てるアミュレットたちを説き伏せて帰し、僕はリバイブの小さな体を抱っこして、自分の両親を説得する算段を頭に描く。
26
あなたにおすすめの小説
氷の支配者と偽りのベータ。過労で倒れたら冷徹上司(銀狼)に拾われ、極上の溺愛生活が始まりました。
水凪しおん
BL
オメガであることを隠し、メガバンクで身を粉にして働く、水瀬湊。
※この作品には、性的描写の表現が含まれています。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。
過労と理不尽な扱いで、心身ともに限界を迎えた夜、彼を救ったのは、冷徹で知られる超エリートα、橘蓮だった。
「君はもう、頑張らなくていい」
――それは、運命の番との出会い。
圧倒的な庇護と、独占欲に戸惑いながらも、湊の凍てついた心は、次第に溶かされていく。
理不尽な会社への華麗なる逆転劇と、極上に甘いオメガバース・オフィスラブ!
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
年下幼馴染アルファの執着〜なかったことにはさせない〜
ひなた翠
BL
一年ぶりの再会。
成長した年下αは、もう"子ども"じゃなかった――。
「海ちゃんから距離を置きたかったのに――」
23歳のΩ・遥は、幼馴染のα・海斗への片思いを諦めるため、一人暮らしを始めた。
モテる海斗が自分なんかを選ぶはずがない。
そう思って逃げ出したのに、ある日突然、18歳になった海斗が「大学のオープンキャンパスに行くから泊めて」と転がり込んできて――。
「俺はずっと好きだったし、離れる気ないけど」
「十八歳になるまで我慢してた」
「なんのためにここから通える大学を探してると思ってるの?」
年下αの、計画的で一途な執着に、逃げ場をなくしていく遥。
夏休み限定の同居は、甘い溺愛の日々――。
年下αの執着は、想像以上に深くて、甘くて、重い。
これは、"なかったこと"にはできない恋だった――。
悪役令嬢の兄、閨の講義をする。
猫宮乾
BL
ある日前世の記憶がよみがえり、自分が悪役令嬢の兄だと気づいた僕(フェルナ)。断罪してくる王太子にはなるべく近づかないで過ごすと決め、万が一に備えて語学の勉強に励んでいたら、ある日閨の講義を頼まれる。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
炊き出しをしていただけなのに、大公閣下に溺愛されています
ぽんちゃん
BL
希望したのは、医療班だった。
それなのに、配属されたのはなぜか“炊事班”。
「役立たずの掃き溜め」と呼ばれるその場所で、僕は黙々と鍋をかき混ぜる。
誰にも褒められなくても、誰かが「おいしい」と笑ってくれるなら、それだけでいいと思っていた。
……けれど、婚約者に裏切られていた。
軍から逃げ出した先で、炊き出しをすることに。
そんな僕を追いかけてきたのは、王国軍の最高司令官――
“雲の上の存在”カイゼル・ルクスフォルト大公閣下だった。
「君の料理が、兵の士気を支えていた」
「君を愛している」
まさか、ただの炊事兵だった僕に、こんな言葉を向けてくるなんて……!?
さらに、裏切ったはずの元婚約者まで現れて――!?
「出来損ない」オメガと幼馴染の王弟アルファの、発情初夜
鳥羽ミワ
BL
ウィリアムは王族の傍系に当たる貴族の長男で、オメガ。発情期が二十歳を過ぎても来ないことから、家族からは「欠陥品」の烙印を押されている。
そんなウィリアムは、政略結婚の駒として国内の有力貴族へ嫁ぐことが決まっていた。しかしその予定が一転し、幼馴染で王弟であるセドリックとの結婚が決まる。
あれよあれよと結婚式当日になり、戸惑いながらも結婚を誓うウィリアムに、セドリックは優しいキスをして……。
そして迎えた初夜。わけもわからず悲しくなって泣くウィリアムを、セドリックはたくましい力で抱きしめる。
「お前がずっと、好きだ」
甘い言葉に、これまで熱を知らなかったウィリアムの身体が潤み、火照りはじめる。
※ムーンライトノベルズ、アルファポリス、pixivへ掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる