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ドゥーブル王太子
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「ほほほほほ!いい気味だわ~!マーガレット!公爵出だからって偉そうで!私の優秀で可愛いドゥーブルが王太子になったおかげで、ずーっと保留だった正妃の座も私のもの!!!ふふふふ、ははははははは!」
「王妃殿下、商人が来ました。」
「中に入れて頂戴!私は正妃ですもの!恥ずかしくない宝飾を身につけないとね!」
目の前のババァは上機嫌。
コテコテの派手なドレス、厚い化粧。
小麦粉はたいて固めた髪をがちがちに盛って、恥ずかしいったらない。
だがしかし………っ。
やった!やったぞっ!
頭が良いだか魔術に優れてるか知らないが、あのお綺麗な顔も血筋も何もかもが気に入らなかった!
年齢は同じ、いつだっていつだって比べられているようで…。
マーガレット妃とよく似た柔らかい陽ざしのようなプラチナブロンドは薄く黄色が乗って、その瞳の色は父上と同じアイスブルー。
対して、俺は栗色の髪に瞳の地味王子…。
そして、同胎の弟であるトロンは金髪にアイスブルーの瞳。
悔しいことに俺よりよほど出来がよく、5つも年下なのに仕事を押し付けてみたら俺より早く上手に片づけた。
分かっていた。
王子の中で俺が一番出来が悪い。
だから俺が魔王のイレモノとして、このままでは生贄になる運命だと。
………だから…………俺は……。
成績優秀で様々な魔法を駆使し、将来が嘱望されていたアンリ…。
魔王のイレモノとなっていた大叔父が余命いくばくもない今、幼すぎるトロンは選ばれることはない。
スタンピードが起き、兵を率いて俺たちは南の森へ入った。
「ドゥーブル、私がみんなを守るからね。心配しないで。」
ケッ。
……………そんなふうにしていられるのも今のうちだ…。
どすぐらい感情が沸く。
アンリ。お前は確かに優秀だ。
だが、お前は甘すぎた。
俺を疑うことをしなかった。
王になるには少々お綺麗すぎると俺は思う。
魔法の研究と執務に追われ、引きこもりで他者との交流が最小限だったアンリ。
お前の陣営は限られている。
その間に俺は根回しを済ませているんだよ。
綺麗なお前の綺麗な御代は生きにくいだろうって考える者たちは結構いてね…。
「みんな下がって!」
アンリが無詠唱で魔法を繰り出し、魔物の群れを削る。
相変わらずバカみたいな威力。
「ドゥーブル、とどめを刺すんだ!」
「はい、兄さん!」
「キャア!」
「しまった!」
位置取りに失敗させた女剣士の援護でアンリは離れ、そして俺の剣が、奴らのボスの核を打ち抜いた。
女剣士は致命傷はないものの、気を失っている。
「ドゥーブル、魔物のドロップを持って先に戻ってくれ。私と私の隊はこの地を清めて、彼女の手当てをして戻るから。」
「わかりました。」
魔物の死骸を焼却しなければ、次の魔物がすぐに沸く。
かつていた聖女や勇者の浄化でなくても、焼却は必要で。
だから、残るというだろうとわかっていた。
フフフ………。
俺は先に戻って、全てを俺の手柄とした。
書類仕事は弟が完璧に済ませてくれる。
討伐の手柄はアンリから奪う…。
アンリは勉強ばかりできるだけの役立たず。
戦地でも何の役にも立たない上にどんくさく遅れて帰ってくる。
「アンリ、お前には失望した。お前は出来の良い王子だと将来を楽しみにしていたというのに…。」
「………え?」
自分のしてきた公務も、サインを俺に書き換えられているなんて思っていないアンリ。
お前が以前、治水のために計画したダムもこの俺の計画になったことも知らない。
国民のためにしてきたことはなかったことになって、魔王の次のイレモノになるのだと言われたお前の顔といったら!
イレモノになって、髪や肌から色が抜けて、目の色も変わって。
少数の人間と辺境に押し込められるのをみて、俺は愉快でたまらない。
アンリは初めからいなかったことになり、俺が第一王子で王太子。
婚約者には一番美しい公爵令嬢。
ははは、最高の人生だ!
「王妃殿下、商人が来ました。」
「中に入れて頂戴!私は正妃ですもの!恥ずかしくない宝飾を身につけないとね!」
目の前のババァは上機嫌。
コテコテの派手なドレス、厚い化粧。
小麦粉はたいて固めた髪をがちがちに盛って、恥ずかしいったらない。
だがしかし………っ。
やった!やったぞっ!
頭が良いだか魔術に優れてるか知らないが、あのお綺麗な顔も血筋も何もかもが気に入らなかった!
年齢は同じ、いつだっていつだって比べられているようで…。
マーガレット妃とよく似た柔らかい陽ざしのようなプラチナブロンドは薄く黄色が乗って、その瞳の色は父上と同じアイスブルー。
対して、俺は栗色の髪に瞳の地味王子…。
そして、同胎の弟であるトロンは金髪にアイスブルーの瞳。
悔しいことに俺よりよほど出来がよく、5つも年下なのに仕事を押し付けてみたら俺より早く上手に片づけた。
分かっていた。
王子の中で俺が一番出来が悪い。
だから俺が魔王のイレモノとして、このままでは生贄になる運命だと。
………だから…………俺は……。
成績優秀で様々な魔法を駆使し、将来が嘱望されていたアンリ…。
魔王のイレモノとなっていた大叔父が余命いくばくもない今、幼すぎるトロンは選ばれることはない。
スタンピードが起き、兵を率いて俺たちは南の森へ入った。
「ドゥーブル、私がみんなを守るからね。心配しないで。」
ケッ。
……………そんなふうにしていられるのも今のうちだ…。
どすぐらい感情が沸く。
アンリ。お前は確かに優秀だ。
だが、お前は甘すぎた。
俺を疑うことをしなかった。
王になるには少々お綺麗すぎると俺は思う。
魔法の研究と執務に追われ、引きこもりで他者との交流が最小限だったアンリ。
お前の陣営は限られている。
その間に俺は根回しを済ませているんだよ。
綺麗なお前の綺麗な御代は生きにくいだろうって考える者たちは結構いてね…。
「みんな下がって!」
アンリが無詠唱で魔法を繰り出し、魔物の群れを削る。
相変わらずバカみたいな威力。
「ドゥーブル、とどめを刺すんだ!」
「はい、兄さん!」
「キャア!」
「しまった!」
位置取りに失敗させた女剣士の援護でアンリは離れ、そして俺の剣が、奴らのボスの核を打ち抜いた。
女剣士は致命傷はないものの、気を失っている。
「ドゥーブル、魔物のドロップを持って先に戻ってくれ。私と私の隊はこの地を清めて、彼女の手当てをして戻るから。」
「わかりました。」
魔物の死骸を焼却しなければ、次の魔物がすぐに沸く。
かつていた聖女や勇者の浄化でなくても、焼却は必要で。
だから、残るというだろうとわかっていた。
フフフ………。
俺は先に戻って、全てを俺の手柄とした。
書類仕事は弟が完璧に済ませてくれる。
討伐の手柄はアンリから奪う…。
アンリは勉強ばかりできるだけの役立たず。
戦地でも何の役にも立たない上にどんくさく遅れて帰ってくる。
「アンリ、お前には失望した。お前は出来の良い王子だと将来を楽しみにしていたというのに…。」
「………え?」
自分のしてきた公務も、サインを俺に書き換えられているなんて思っていないアンリ。
お前が以前、治水のために計画したダムもこの俺の計画になったことも知らない。
国民のためにしてきたことはなかったことになって、魔王の次のイレモノになるのだと言われたお前の顔といったら!
イレモノになって、髪や肌から色が抜けて、目の色も変わって。
少数の人間と辺境に押し込められるのをみて、俺は愉快でたまらない。
アンリは初めからいなかったことになり、俺が第一王子で王太子。
婚約者には一番美しい公爵令嬢。
ははは、最高の人生だ!
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