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無双2

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「ひゃあああはははははははは!!!!!!!!!!!!!!!!!!もうっ、どうにでもなあれ!私は幸せにはっ、けっして、なれないッ!!!!みんないなくなれ!こんな世界ッ、お前の世界なんか、メチャクチャにしてやるウッ!!」


美しい顔を歪め、赤い髪を振り乱し、マルティナが叫びながら、その腕を広げた。


空が裂け。

暴風が吹き荒れ。

天からいかずちが落ち。

地鳴りがして大地が揺れ、波が高く上がって、陸まで押し寄せる―――――――。



「ははははは!!!」


「アースレッド様。」
「うん。」

外の方では、荒れ狂う中、うまく二人は避けながら魔物を討ち取っているようだ。
城の中にいて使われていた者たちは、最初で他の国に転移させている。

僕を抱きしめたまま、マークは攻撃を避ける。
その腕のぬくもりは心地いい。
マークにしっかり守られながら、僕は息を深く吸って叫んだ。


無効化ディセーブルもとに戻れレスティトゥーション!」

「なっ!」

高波は陸に到達する前に穏やかになり引き返し、
地鳴りは止んで大地は落ち着き、
天は晴天となって風も止む。


荒れた城と割れた地面が被害を物語るが、動植物のダメージはさほどない。

むしろ、マルティナが必死に集めた軍勢に大ダメージがあった。



「な!嘘、嘘よ!」


?」

マルティナの身をこれでもかと飾り立てていた魔道具が、いっせいに腐り落ちて消えた。


「ひ、ひぃいい!」


「さあ、君はこの世界に存在してはいけない者。僕の世界を滅ぼす魔女。消去するよ。」
「いけません、アースレッド様。貴方の手を煩わせる必要はありません。」

「マーク?」



「魔王は勇者が討ち取らなければ。」


ふと見ると、二人が来ている。
魔物は全て屠ってきたようだ。


「わ、わたしは魔王じゃ…。」


戦う力を失い、戦意喪失して座り込むただの女。だが、もう魔王そのもの。

僕の目の前で勇者カナタが魔王マルティナを討ち取り、その躰は消えた。


「アースレッド様。」

「マーク!?!」

マークがきつく僕を抱きしめる。

力を入れても振りほどけない。


「マーク?痛いよ。」



その瞬間。

少しばかりの衝撃がして。
痛み。

体から血が流れる。



えっ。



どういうこと?



目の前にいるマークに唇を貪られて、回復魔法を唱えることが出来ない。
ハルトもただ悲しそうにみているだけ。

僕を斬ったのはカナタ?



「すみません。さようなら、アースレッド様。元居た世界へ―――――――。」

愛しています。







その声を聴きながら、僕の意識は沈んだ。

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