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番外編など
西野恵と愉快な陸と空
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「あぁああっ!俺の兄さんがッ!あんっな満面の笑みでッ!」
オペラグラスで隣の高等部の校舎の窓際を見ながら騒いでいる幼馴染に、西野恵は呆れた。
飾り気がないが、洗練された美貌の恵がため息をついて陸を見る。
「いい加減、兄貴離れしなよ。陸。」
「恵さん、兄さんはちょっと病気なんですよ。でも治らないと思います。兄さんは生まれてわりとすぐから海兄さんの面倒とか見てて、どっちが兄か分からなかったって母さんが言ってましたし。筋金入りですから。」
一学年下のはずの陸の弟は、ちょっとの休み時間の間も、兄の教室に入り浸っている。
「こんなところに上玉のオメガがいるって言うのに。全く。」
「えっ、どこに。」
ここ、ここ。と恵は自分を指さす。
「陸兄さんは海兄さんしか見えてないんですよ。海兄さん以外のオメガはきっと全員へのへのもへじにでも見えてるんじゃないかと。」
「ちぇっ。なんだかなー。俺だってモテるんだぞ?」
「ああ、豊さんが言ってましたね。言い寄るアルファを千切っては投げてるって。」
豊は、恵の双子の弟でアルファだ。マイペースな彼は、あまり自分たちとはつるまない。
母親同士仲がいいので幼い頃から知ってるし、仲が悪いわけではないけど、単純に豊がソロプレイヤーなのだ。
「こいつ、俺がセクシーアタックしても気づかねえ。」
「あんまりそういうことしてると、他のアルファに襲われますよ?」
「こいつと2人の時しかしてねえよ。」
上着をこれみよがしに脱いでみたり、それとなくベッドに誘ってみても無反応。
「僕にしとけばいいのに。」
「えっ、なんか言った?」
「いいえ、なにも?」
あぁ。尊い。兄さんは尊い。
兄さんはなぁ、いまだに夜にトイレに行くのが怖いんだぞ!
お魚大好き♡で多分、将来は海洋生物の研究者になるだろう。
海を愛し、海の生き物を愛する。海は、全ての生命の源。つまり、兄は聖母。
素直だし、頭はいいのにちょっとボケてるし、優しくて思いやりがあって。
今でも幼い日を思い出す。
『今日はお父さんとお母さんがお仕事で忙しいから、僕がごはんを作ってあげるね!』
小学校5年生になった兄は、既に簡単な料理なら作れるようになっていた。
『ちちんぷいぷい、おいしくなあれ!』
カレーを煮込んでいる鍋に最後の謎の呪文。
『…兄さん、何をやっているの?』
『陸、こうするとおいしくなるんだよ。』
目を離すとすぐラブレターをもらうし、痴漢されそうになるんだ。
だから、僕はおばあさま仕込みの剣道で追い払ってきたのだ。
それなのに、僕の目をかいくぐり、同学年なのをいいことにあの二人は…!
唇を読む。
「しゅ う ま つ う み に あ そ び に」
週末に海だと!?
「これはおしかけるぞ、空!俺たちも一緒に行かねば!」
「ねえ、陸。陸のブラコンはやっぱりおかしいと思う。」
「右に同じ。」
オペラグラスで隣の高等部の校舎の窓際を見ながら騒いでいる幼馴染に、西野恵は呆れた。
飾り気がないが、洗練された美貌の恵がため息をついて陸を見る。
「いい加減、兄貴離れしなよ。陸。」
「恵さん、兄さんはちょっと病気なんですよ。でも治らないと思います。兄さんは生まれてわりとすぐから海兄さんの面倒とか見てて、どっちが兄か分からなかったって母さんが言ってましたし。筋金入りですから。」
一学年下のはずの陸の弟は、ちょっとの休み時間の間も、兄の教室に入り浸っている。
「こんなところに上玉のオメガがいるって言うのに。全く。」
「えっ、どこに。」
ここ、ここ。と恵は自分を指さす。
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「ちぇっ。なんだかなー。俺だってモテるんだぞ?」
「ああ、豊さんが言ってましたね。言い寄るアルファを千切っては投げてるって。」
豊は、恵の双子の弟でアルファだ。マイペースな彼は、あまり自分たちとはつるまない。
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「こいつ、俺がセクシーアタックしても気づかねえ。」
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「こいつと2人の時しかしてねえよ。」
上着をこれみよがしに脱いでみたり、それとなくベッドに誘ってみても無反応。
「僕にしとけばいいのに。」
「えっ、なんか言った?」
「いいえ、なにも?」
あぁ。尊い。兄さんは尊い。
兄さんはなぁ、いまだに夜にトイレに行くのが怖いんだぞ!
お魚大好き♡で多分、将来は海洋生物の研究者になるだろう。
海を愛し、海の生き物を愛する。海は、全ての生命の源。つまり、兄は聖母。
素直だし、頭はいいのにちょっとボケてるし、優しくて思いやりがあって。
今でも幼い日を思い出す。
『今日はお父さんとお母さんがお仕事で忙しいから、僕がごはんを作ってあげるね!』
小学校5年生になった兄は、既に簡単な料理なら作れるようになっていた。
『ちちんぷいぷい、おいしくなあれ!』
カレーを煮込んでいる鍋に最後の謎の呪文。
『…兄さん、何をやっているの?』
『陸、こうするとおいしくなるんだよ。』
目を離すとすぐラブレターをもらうし、痴漢されそうになるんだ。
だから、僕はおばあさま仕込みの剣道で追い払ってきたのだ。
それなのに、僕の目をかいくぐり、同学年なのをいいことにあの二人は…!
唇を読む。
「しゅ う ま つ う み に あ そ び に」
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「これはおしかけるぞ、空!俺たちも一緒に行かねば!」
「ねえ、陸。陸のブラコンはやっぱりおかしいと思う。」
「右に同じ。」
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