【完結】美貌のオメガは正体を隠す

番外編など

俺の海

「ごめんね。僕はグラビアの撮影があるから、後で合流するよ。」

京は大変だなあ。


でもお陰で人があんまりいないビーチに連れてきてもらっちゃった！


「うん、後で一緒に遊ぼうね！」


「兄さん！日焼け止め!!」

奥に設置したビーチパラソルの下で陸が叫んでる。

もう、陸ったらお母さんみたい。

構いたい次男に甘えてあげよう。





「ずいぶん綺麗な子だね。芸能人じゃないのに。」

「葵くん。」
氷室は、葵を見た。

アイドルグループSPLASHのリーダー、鹿島葵。
今日のグラビア撮影の相方。

背が高くスラッとして、切れ長の瞳。スッとした鼻筋の美形で流し目が色気があると人気の男だ。
最近、役者デビューしたけど、まあ筋は悪くない。

「氷室さんのオメガ？」

「まさか。友人だよ。」

「ふーん。そうは見えないけど。あの子はオメガとしてまだ未成熟だよね。でも、そろそろじゃないかな。彼が気づくのはその頃かな。」

僕は気づいてほしくないけど。


「僕ね、身長高いし強い薬飲んでるから皆気づかないけどオメガなんだよ。氷室さんがあの子を選ばないなら、僕を選んでほしいな。」

鹿島はウインクして、持ち場に戻った。


分かってる。

彼はたぶん自分の番。

だからこそ、縁ができても距離を置いている。

僕は僕の母親のことを考えたら、彼の手を取るわけにはいかないんだ。

犯罪者の息子だもの。

願わくは自分の手で、本当に良い人と彼を結んであげたい。

彼が、僕を認識する前に。