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侯爵家の天使
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たまに会いに来るお母さまの親友。
女侯爵のマリー=ホワイト侯爵は、一見気難しそうな方だけど、とても優しい人だった。
母が亡くなり、悲しんでいたあの日。
俺は、聞いてしまった。
もとより、なんとなく。腹違いの子のように愛されていないことは気づいてはいた。
だが、血縁のある父の口から出た言葉は残酷で、それは俺が聞いていないと思ってのことだろうが、胸を抉った。
「あの女、死んじゃったわね。せっかくの帝国の王妹だったのに、何の役にも立たないで。何のために私があなたの正妻の座を譲ったというのかしら。」
「まあ、帝国の人質ならチャールズさえいればいいだろう。いざとなれば、担ぐなり、差し出すなり。いずれにしても金のなる木だ。」
女侯爵の手引きで家を捨て、養子になった。
一緒に生活していても、目をあわせてもらえない。
話を聞いてもらえない。
そんな生活をしていた俺は、目の前の天使に夢中になった。
リリー。
君は、初めて見た俺に花をくれたんだ。
「はじめまして、ぼく、リリー。君の誕生日はいつ?」
「7月…。」
「うわあ、僕6月なの!じゃあ、僕の方がちょっとだけだけど、お兄ちゃんだね!お兄様、って呼んでくれると嬉しいな。」
「リリーおにいさま?」
目の前の美少年は頬を染めて、笑ってくれた。
その時から、俺は…。
女侯爵のマリー=ホワイト侯爵は、一見気難しそうな方だけど、とても優しい人だった。
母が亡くなり、悲しんでいたあの日。
俺は、聞いてしまった。
もとより、なんとなく。腹違いの子のように愛されていないことは気づいてはいた。
だが、血縁のある父の口から出た言葉は残酷で、それは俺が聞いていないと思ってのことだろうが、胸を抉った。
「あの女、死んじゃったわね。せっかくの帝国の王妹だったのに、何の役にも立たないで。何のために私があなたの正妻の座を譲ったというのかしら。」
「まあ、帝国の人質ならチャールズさえいればいいだろう。いざとなれば、担ぐなり、差し出すなり。いずれにしても金のなる木だ。」
女侯爵の手引きで家を捨て、養子になった。
一緒に生活していても、目をあわせてもらえない。
話を聞いてもらえない。
そんな生活をしていた俺は、目の前の天使に夢中になった。
リリー。
君は、初めて見た俺に花をくれたんだ。
「はじめまして、ぼく、リリー。君の誕生日はいつ?」
「7月…。」
「うわあ、僕6月なの!じゃあ、僕の方がちょっとだけだけど、お兄ちゃんだね!お兄様、って呼んでくれると嬉しいな。」
「リリーおにいさま?」
目の前の美少年は頬を染めて、笑ってくれた。
その時から、俺は…。
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