35 / 77
ザイン商会
しおりを挟む
「馬鹿もんっ!!!!」
ザイン商会を営むザイン子爵家では、かつて土建業でならした剛腕が、息子を殴り飛ばしていた。
「ひぃぃっ!」
大柄な息子よりもさらに大きく体格の良い父親は激怒した。
両腕を包帯塗れにして帰ってきた息子は、日常生活には支障はないものの、騎士になることは難しい。
冒険者になったところで、碌に剣も触れない腕では、すぐに野垂れ死ぬだろう。
父親は新興貴族で商売人だ。
だから、貴族のマナーはよく分からないが、誰より『信用』を大事にしている。
子爵の子は男の子ばかりで三人。
長男は立派に商会を営み、次男は他国へ買い付けに行っている。
三男は商売に大事な算術が苦手だが、学園で学んで、それなりの男になって欲しいと願っていたのに。
それがどうだ?
自分より立場の弱い者をいいように扱い、好きなように他家の子女に乱暴を働いていたとは。
傷物にされた子女の名が一切公に出ないようにせねばならないが、まともな結婚は望めないだろう。
そして、息子がこんなことをやらかした家に、今後うまい商売はないだろう――――――――。
国を捨てて、一からやり直すか。
幸い財はある。息子に代わりをし、他国で爵位を買って、コツコツとやっていこう。
そのためにも。
「お前を廃嫡するが、腕の怪我が治るまではうちにおいてやる。腕が治ったら出ていけ。精力が強いようだから、そういう店で働けばいいんじゃないか?お前はごついが、顔は見られる方だし、ヤサ男よりお前のようなのが需要があるらしいぞ。」
「……そっ、そんなぁ…っ。」
母親も、女性として、息子がしでかしたことに嫌悪感を感じていた。
誰も、彼に救いの手を差し伸べる者はいない。
「―――――と、いうわけで。2-Cの癌は全て退学となり、それぞれ廃嫡されたようです。」
スタンリーからの報告を聞いて、ブラウン王子は口の端を曲げた。
ザイン達には、ブラウン王子も目を光らせていた。
風の噂でチャーリーとリリーを狙っていたらしいから、スタンリーを時々向かわせていた。
お兄様が助けたので姿を出さなかったが、あと少し遅ければ、スタンリーが片づけていた。
「かわいそうなのは、これまでの被害者たちだ。本当は助けてあげたかったんだけどね…。」
「女性の処女膜は暫く使わなければ元に戻ると聞きましたよ。」
「スタンリー、そういうもんじゃないでしょ。心の傷ってものがあるの。男でも女でも処女性を重んじるからね、貴族社会は。」
「すみません…。」
「かわいそうなのは、生徒会長もか。」
「チャールズ様とリリー様のクラスの学級委員長ですか。」
「あの子は真面目過ぎるんだよね。だから煙たがられて、仲間がいないんだよ。いくら彼女が頑張っても、仲間がいなきゃ厳しいよね。」
ベッドですぅすぅ眠っている聖女様を見る。
「いっそ、生徒会に入ってもらおうかな。」
あの子とリリー様は仲良しになれると思う。
ザイン商会を営むザイン子爵家では、かつて土建業でならした剛腕が、息子を殴り飛ばしていた。
「ひぃぃっ!」
大柄な息子よりもさらに大きく体格の良い父親は激怒した。
両腕を包帯塗れにして帰ってきた息子は、日常生活には支障はないものの、騎士になることは難しい。
冒険者になったところで、碌に剣も触れない腕では、すぐに野垂れ死ぬだろう。
父親は新興貴族で商売人だ。
だから、貴族のマナーはよく分からないが、誰より『信用』を大事にしている。
子爵の子は男の子ばかりで三人。
長男は立派に商会を営み、次男は他国へ買い付けに行っている。
三男は商売に大事な算術が苦手だが、学園で学んで、それなりの男になって欲しいと願っていたのに。
それがどうだ?
自分より立場の弱い者をいいように扱い、好きなように他家の子女に乱暴を働いていたとは。
傷物にされた子女の名が一切公に出ないようにせねばならないが、まともな結婚は望めないだろう。
そして、息子がこんなことをやらかした家に、今後うまい商売はないだろう――――――――。
国を捨てて、一からやり直すか。
幸い財はある。息子に代わりをし、他国で爵位を買って、コツコツとやっていこう。
そのためにも。
「お前を廃嫡するが、腕の怪我が治るまではうちにおいてやる。腕が治ったら出ていけ。精力が強いようだから、そういう店で働けばいいんじゃないか?お前はごついが、顔は見られる方だし、ヤサ男よりお前のようなのが需要があるらしいぞ。」
「……そっ、そんなぁ…っ。」
母親も、女性として、息子がしでかしたことに嫌悪感を感じていた。
誰も、彼に救いの手を差し伸べる者はいない。
「―――――と、いうわけで。2-Cの癌は全て退学となり、それぞれ廃嫡されたようです。」
スタンリーからの報告を聞いて、ブラウン王子は口の端を曲げた。
ザイン達には、ブラウン王子も目を光らせていた。
風の噂でチャーリーとリリーを狙っていたらしいから、スタンリーを時々向かわせていた。
お兄様が助けたので姿を出さなかったが、あと少し遅ければ、スタンリーが片づけていた。
「かわいそうなのは、これまでの被害者たちだ。本当は助けてあげたかったんだけどね…。」
「女性の処女膜は暫く使わなければ元に戻ると聞きましたよ。」
「スタンリー、そういうもんじゃないでしょ。心の傷ってものがあるの。男でも女でも処女性を重んじるからね、貴族社会は。」
「すみません…。」
「かわいそうなのは、生徒会長もか。」
「チャールズ様とリリー様のクラスの学級委員長ですか。」
「あの子は真面目過ぎるんだよね。だから煙たがられて、仲間がいないんだよ。いくら彼女が頑張っても、仲間がいなきゃ厳しいよね。」
ベッドですぅすぅ眠っている聖女様を見る。
「いっそ、生徒会に入ってもらおうかな。」
あの子とリリー様は仲良しになれると思う。
34
あなたにおすすめの小説
専属【ガイド】になりませんか?!〜異世界で溺愛されました
sora
BL
会社員の佐久間 秋都(さくま あきと)は、気がつくと異世界憑依転生していた。名前はアルフィ。その世界には【エスパー】という能力を持った者たちが魔物と戦い、世界を守っていた。エスパーを癒し助けるのが【ガイド】。アルフィにもガイド能力が…!?
【本編完結】最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!
天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。
なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____
過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定
要所要所シリアスが入ります。
のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした
こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。
佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。
【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました
ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。
タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。
魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!
松原硝子
BL
これは魔法とバース性のある異世界でのおはなし――。
15歳の魔力&バース判定で、神官から「魔力のほとんどないオメガ」と言い渡されたエリス・ラムズデール。
その途端、それまで可愛がってくれた両親や兄弟から「無能」「家の恥」と罵られて使用人のように扱われ、虐げられる生活を送ることに。
そんな中、エリスが21歳を迎える年に隣国の軍事大国ベリンガム帝国のヴァンダービルト公爵家の令息とアイルズベリー王国のラムズデール家の婚姻の話が持ち上がる。
だがヴァンダービルト公爵家の令息レヴィはベリンガム帝国の軍事のトップにしてその冷酷さと恐ろしいほどの頭脳から常勝の氷の狼と恐れられる騎士団長。しかもレヴィは戦場や公的な場でも常に顔をマスクで覆っているため、「傷で顔が崩れている」「二目と見ることができないほど醜い」という恐ろしい噂の持ち主だった。
そんな恐ろしい相手に子どもを嫁がせるわけにはいかない。ラムズデール公爵夫妻は無能のオメガであるエリスを差し出すことに決める。
「自分の使い道があるなら嬉しい」と考え、婚姻を大人しく受け入れたエリスだが、ベリンガム帝国へ嫁ぐ1週間前に階段から転げ落ち、前世――23年前に大陸の大戦で命を落とした帝国の第五王子、アラン・ベリンガムとしての記憶――を取り戻す。
前世では戦いに明け暮れ、今世では虐げられて生きてきたエリスは前世の祖国で平和でのんびりした幸せな人生を手に入れることを目標にする。
だが結婚相手のレヴィには驚きの秘密があった――!?
「きみとの結婚は数年で解消する。俺には心に決めた人がいるから」
初めて顔を合わせた日にレヴィにそう言い渡されたエリスは彼の「心に決めた人」を知り、自分の正体を知られてはいけないと誓うのだが……!?
銀髪×碧眼(33歳)の超絶美形の執着騎士団長に気が強いけど鈍感なピンク髪×蜂蜜色の目(20歳)が執着されて溺愛されるお話です。
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる