笑うとリアルで花が咲き泣くと涙が宝石になる化け物の俺は、おひとり様を満喫しようと思っていたのに何故か溺愛されています。

竜鳴躍

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これは魂に刻まれた過去

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「なに?なんなの????」


ものすごい速度で、一生を体感する。

過去の聖女と第二王子の子孫が、ケイトだったんだ…。


俺は『リリアン』に戻る――――――と思ったら、ちがった。




慣れ親しんだ、榎木和哉の体。

だけど、これはたぶん、小学生の頃。



「わしたに~~~今日もくっせー!」

「給食費払えよー!」

「ハハハ」

子どもは残酷。

家庭の中で何とも言えない窮屈さを抱え、誰かの一言にもどう発露していいか分からない想いを抱えて来た俺。
彼が給食費を持ってこれないのも、彼の体が匂うというのも、全部彼のせいではないだろう。
そのことで彼に意地悪をするのはおかしい。
彼の価値がそんなことで決まりはしない。


ある時、誰かが騒いだ。



「あーっ!俺の月謝袋がない!遠足のバス代が入ってるのに!」

みんなが鷲谷君を見る。

「あっ…ち、ちがっ」

「貧乏だからって人の月謝を盗むなんて!」

「犯罪者!」


「ちょっと待って!田邊くんはいつも忘れ物が多いじゃないか。ランドセルにいつもぎっしり入れっぱなしだから、見つけられなくなっただけじゃない?まずはランドセルの中を全部出して、確認してみたら?」


「榎木がそういうなら…。—---------あ、」


「出てきてよかったじゃない。」


よかったね、と俺は鷲谷君の手を握った。

間近で見る彼の顔は優しくて、整っていて。なんで彼がこんな目にあわないといけないのかなと思った。

ネグレクト。
虐待。

彼は運動神経もいいし、成績もいい。
塾だって行けてないのに、元々の頭がいいんだ。

彼には幸せになって欲しい。


だから、児童相談署に通報した。

それっきり、会えなくなるなんて思っていなかったけど。



でも、この空の下で鷲谷君が幸せなら。
さみしくて、胸がぎゅってなるけど、あんな家にいたら彼はどうなるか分からない。

だから、そこよりはましだろうから、俺は飲み込んだ。






「なんで、こんな……。ここってカカオの意識の中だよね?」


まさか……まさか、カカオって………。






キィイイイイイイイ!!!!ガシャン!!!!!!!



大きな車が急に止まり、ぶつかる音。

トラックから青い顔で出てきたのは、大人になった鷲谷君。

筋肉質で背が高くて、髪も整えて、清潔感があって。
素敵になっている。


彼が泣き叫んだその先にいたのは―――――――いつかの俺。






暗転し、中央だけ明るい。

そこには檻に閉じ込められたカカオがいた。




カカオ。

グレーで、鷲谷君だったんだね。



そして俺は、ずっと、ずっと………貴方だけを愛していたんだ。
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