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初夜です、初夜だったんです。

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ムダ毛なし!

どこにも隙は無し!


俺は風呂場で手鏡を持ちながら自分で自分の体をチェックする。


―――――今日こそは


男らしく!


完璧に!


抱かれてみせる!



大体俺だって同じものついてるんだ。
サイズは小ぶりかもしれないけど、ちゃんと男性機能だってある。

男がどうやれば快感を得られるか、よく分かってる。


このデリケートな花芯を俺の体の奥まで引き込んで、腹筋とか肛門括約筋使ってきゅっきゅっきゅって緩急漬けながら適度に絞めつけていけばいいんだろ!

ぎゅーってしすぎると痛いからな。



待ってろよ!アーサー。

今夜こそお前のアーサーを俺の中で暴れさせてやるぜ!





ドキドキしながら俺は寝室に入り、内扉からアーサーが来るのを期待しながら紐パンのスケスケつけて布団をかぶって待機していた。

季節は冬。

ふっかふかのおふとん…。

あったかぁい…。









(1,3,5,7…)

素数を数えながら寝室へ向かう。

会議が長引き、だいぶ遅くなってしまった。


(まずは風呂に入って…。それから。風呂場で無駄打ちしないようにしないと…。)


……ん?


月明りの下。

長い長い廊下の窓辺に騎士団で事務長をしているスミスがいる。

スミスは亡き母の実家であるスワン公爵家の次男。

当主であるルイード様には長男で次期当主で宰相に就任したばかりのエアロと家を継がないため騎士団へ入ったスミスがいた。

すっかりイスリスと側妃のせいでスワン公爵家とは疎遠になってしまっていたが、従弟にあたる。
当主のルイードもエアロもスミスも黒髪だ。
どことなく幼い日にみた自分の母親の面影がある。



「まだ残っていたんですか。従兄弟といえどここは王族のプライベートエリアが近い。気を付けてください。」


「あっ!すみません…。」

スミスは眼鏡を外し、それをふいた。

その瞳には涙が浮かんでいる。

潤んだ瞳はアーサーを見た。









「うわ、やばい。寝ちゃってたわ。」

ばっと布団から飛び起きる。


部屋は暗く、アーサーが来た気配がない。


(ううむ。またアーサーは仕事が忙しいのか。こんなに帰れないくらいならもう少し仕事を振ってくれたらいいのに。仕方ない、手伝ってくるか。)

スケスケの衣類では肌寒いので、上からコートを羽織る。

はしたないかもしれないが、まあ大丈夫でしょう!


(それに…もしかしたら執務室で事に及ぶことになるかもしれないし…。)フフッ。


護衛や侍従に気付かれないように気配を完全に消して、廊下へ出る。

勇者として鍛えたスキルの無駄遣いである。



「…………。」
「…。」


人気のない廊下で話声が聞こえる。

何か内緒話をしているような…。



「……――――――あ。」

そこにいたのは、アーサーと。
確かアーサーの従弟で騎士団事務長のスミス。





俺は部屋に戻って、寝た。

アーサーは来なかった。





信じてる。

信じてるけど。



「夕べはごめん。仕事が長引いちゃって。」


どうしてそんなウソつくんだ、正直に言えよ。


「いいよ。今忙しいんだったら………。その、もう少し先でも。」


「ありがとう。」




ばか。
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