4 / 12
聖なる魔女の子孫
しおりを挟む
「俺が最初に異変を確信したのは、陛下たちや城の者たちのふるまいだった。いつもぼーっとして、話しかけても返事がない。そのくせ、宰相の言うことだけには反応し、言われるがままだった。陛下たち以外は、まだ自我が残っていたが、ことリチャードのこととなると、異様なほどお前を褒めちぎっていて、変だと思ったんだ。だから、様子が変わってしまったマリーンも、もしかしたら…。そう思った。」
お前には魔法はかかっていなかったのに、マリーンが変だって思わなかったんだな。
俺は、マリーンの手を握って、彼を見つめた。
「君は、もうリチャードの婚約者ではない。俺の婚約者に戻ってくれないか。」
「……はい。」
頬を赤らめ、潤んだ瞳でうなずく彼の細い指に、ダイヤモンドの指輪を嵌めた。
「…………グレイシャス侯爵!!!!!あなたって言う人は!私は、確かにリチャードの健康を願いました!立派な王子になってくれればと。ですが、こんな非道なことをしてまでかなえたかったわけではありません!!!」
王妃はマリーンの話を聞いて、怒り狂い、淑女のふるまいも忘れて公爵の襟首を縛り上げた。
「………くぅっ。」
「グレイシャス侯爵。あなたより俺の血筋の方が魔女として格が上だ。もう呪いのような魔法はかからないよう、みなを清めてありますので。」
トールは冷たい視線で侯爵を睨みつけた。
「トール!!!俺は信じないぞ! お前がマリーンを手に入れるためにこんな茶番を考えて、魔法をかけたのだろう!自分でかけたのなら、解くのもできるものな!」
「…リチャード、お前馬鹿か。ああ、バカだったな。お前の成績は魔法でYESマンになった教師が色を付けていただけだからな。」
トールは、自分から愛するマリーンを奪っておきながら、彼の窮地に気づかず、それどころか虐げて婚約破棄まで行った兄が許せなかった。
「黙れ黙れ!」
「リチャードさま、いいじゃないですか。リチャード様にはビビアンがおります!」
「お前なんかいらない、この偽物!」
「きゃあああ!」
リチャードはビビアンを手で振り払い、あまりにその扱いが乱暴だったため、ビビアンの顔に服の装飾で傷をつけてしまった。
顔面を抑えて流血し、うずくまる彼を気にも留めないリチャードは、衛兵から剣をぶんどると、トールに向かっていく。
「死ね!この悪しき魔女め!!!!!」
「……トール!」
マリーンの悲鳴にも、トールは落ち着いていた。
「全く分かってないな、身の程知らずだ。」
トールは落ち着いて、リチャードの剣先をいなすと、赤子の手をひねる様に彼の腕から剣を払い落とし、衛兵に向かって蹴って渡すと、腕を後ろ手に拘束して体を抑え込んだ。
「お前の剣の腕も、周りがほめていただけで、お前はそれほど腕がたつわけではないんだよ。全部侯爵の魔法のせいだ。魔法で、YESマンだらけにして、褒められるだけで叱られることはない。本当の実力が分からないまま、すごくなったと思い込んで、努力する機会を奪われたんだ。誰からも愛される、優秀でカリスマ性のある王太子はまやかし。自分で気づいて、自分を律するべきだったんだ。たとえお前が病弱でも、陛下はお前を次代の王にするつもりでいたんだから…。」
「そうだ。正妃の子が継ぐのが一番いい。私はお前たち二人とも同じように愛していたし、争いは嫌だった。トールはお前をよく支えるつもりでいたというのに。」
陛下が悔しそうに、ぐっと言葉を詰まらせた。
「うるさい!魔女!!!魔女めっ!」
「リチャード、もうやめなさい!」
「…母上。」
「亡くなったトールの母君はね、昔この国の王女が生まれたときに呪いをかけられたのを助けた魔女の子孫なのよ。
聞いたことがあるでしょう、ミシンの針に指をさして眠りにつく呪いをかけられた先祖の話を。彼女を救う魔法をかけた魔女。王女の誕生パーティに遅刻して、一番最後に祝福の魔法をかけた『聖女』の家系なのです。それを、貶めることは、貴方でも許されません!!」
正妃は、もう、自分の息子を見限っていた。
お前には魔法はかかっていなかったのに、マリーンが変だって思わなかったんだな。
俺は、マリーンの手を握って、彼を見つめた。
「君は、もうリチャードの婚約者ではない。俺の婚約者に戻ってくれないか。」
「……はい。」
頬を赤らめ、潤んだ瞳でうなずく彼の細い指に、ダイヤモンドの指輪を嵌めた。
「…………グレイシャス侯爵!!!!!あなたって言う人は!私は、確かにリチャードの健康を願いました!立派な王子になってくれればと。ですが、こんな非道なことをしてまでかなえたかったわけではありません!!!」
王妃はマリーンの話を聞いて、怒り狂い、淑女のふるまいも忘れて公爵の襟首を縛り上げた。
「………くぅっ。」
「グレイシャス侯爵。あなたより俺の血筋の方が魔女として格が上だ。もう呪いのような魔法はかからないよう、みなを清めてありますので。」
トールは冷たい視線で侯爵を睨みつけた。
「トール!!!俺は信じないぞ! お前がマリーンを手に入れるためにこんな茶番を考えて、魔法をかけたのだろう!自分でかけたのなら、解くのもできるものな!」
「…リチャード、お前馬鹿か。ああ、バカだったな。お前の成績は魔法でYESマンになった教師が色を付けていただけだからな。」
トールは、自分から愛するマリーンを奪っておきながら、彼の窮地に気づかず、それどころか虐げて婚約破棄まで行った兄が許せなかった。
「黙れ黙れ!」
「リチャードさま、いいじゃないですか。リチャード様にはビビアンがおります!」
「お前なんかいらない、この偽物!」
「きゃあああ!」
リチャードはビビアンを手で振り払い、あまりにその扱いが乱暴だったため、ビビアンの顔に服の装飾で傷をつけてしまった。
顔面を抑えて流血し、うずくまる彼を気にも留めないリチャードは、衛兵から剣をぶんどると、トールに向かっていく。
「死ね!この悪しき魔女め!!!!!」
「……トール!」
マリーンの悲鳴にも、トールは落ち着いていた。
「全く分かってないな、身の程知らずだ。」
トールは落ち着いて、リチャードの剣先をいなすと、赤子の手をひねる様に彼の腕から剣を払い落とし、衛兵に向かって蹴って渡すと、腕を後ろ手に拘束して体を抑え込んだ。
「お前の剣の腕も、周りがほめていただけで、お前はそれほど腕がたつわけではないんだよ。全部侯爵の魔法のせいだ。魔法で、YESマンだらけにして、褒められるだけで叱られることはない。本当の実力が分からないまま、すごくなったと思い込んで、努力する機会を奪われたんだ。誰からも愛される、優秀でカリスマ性のある王太子はまやかし。自分で気づいて、自分を律するべきだったんだ。たとえお前が病弱でも、陛下はお前を次代の王にするつもりでいたんだから…。」
「そうだ。正妃の子が継ぐのが一番いい。私はお前たち二人とも同じように愛していたし、争いは嫌だった。トールはお前をよく支えるつもりでいたというのに。」
陛下が悔しそうに、ぐっと言葉を詰まらせた。
「うるさい!魔女!!!魔女めっ!」
「リチャード、もうやめなさい!」
「…母上。」
「亡くなったトールの母君はね、昔この国の王女が生まれたときに呪いをかけられたのを助けた魔女の子孫なのよ。
聞いたことがあるでしょう、ミシンの針に指をさして眠りにつく呪いをかけられた先祖の話を。彼女を救う魔法をかけた魔女。王女の誕生パーティに遅刻して、一番最後に祝福の魔法をかけた『聖女』の家系なのです。それを、貶めることは、貴方でも許されません!!」
正妃は、もう、自分の息子を見限っていた。
59
あなたにおすすめの小説
遊び人殿下に嫌われている僕は、幼馴染が羨ましい。
月湖
BL
「心配だから一緒に行く!」
幼馴染の侯爵子息アディニーが遊び人と噂のある大公殿下の家に呼ばれたと知った僕はそう言ったのだが、悪い噂のある一方でとても優秀で方々に伝手を持つ彼の方の下に侍れれば将来は安泰だとも言われている大公の屋敷に初めて行くのに、招待されていない者を連れて行くのは心象が悪いとド正論で断られてしまう。
「あのね、デュオニーソスは連れて行けないの」
何度目かの呼び出しの時、アディニーは僕にそう言った。
「殿下は、今はデュオニーソスに会いたくないって」
そんな・・・昔はあんなに優しかったのに・・・。
僕、殿下に嫌われちゃったの?
実は粘着系殿下×健気系貴族子息のファンタジーBLです。
勇者様への片思いを拗らせていた僕は勇者様から溺愛される
八朔バニラ
BL
蓮とリアムは共に孤児院育ちの幼馴染。
蓮とリアムは切磋琢磨しながら成長し、リアムは村の勇者として祭り上げられた。
リアムは勇者として村に入ってくる魔物退治をしていたが、だんだんと疲れが見えてきた。
ある日、蓮は何者かに誘拐されてしまい……
スパダリ勇者×ツンデレ陰陽師(忘却の術熟練者)
アプリで元カノを気にしなくなるくらい魅力的になろうとした結果、彼氏がフリーズしました
あと
BL
「目指せ!!魅力的な彼氏!!」
誰にでも優しいように見えて重い…?攻め×天然な受け
⚠️攻めの元カノが出て来ます。
⚠️強い執着・ストーカー的表現があります。
⚠️細かいことが気になる人には向いてません。
合わないと感じた方は自衛をお願いします。
受けは、恋人が元カノと同級生と過去の付き合いについて話している場面に出くわしてしまう。失意の中、人生相談アプリの存在を知る。実は、なぜか苗字呼び、家に入れてもらえない、手を出さないといった不思議がある。こうして、元カノなんか気にしなくなるほど魅力的になろうとするための受けの戦いが始まった…。
攻め:進藤郁也
受け:天野翔
※誤字脱字・表現の修正はサイレントで行う場合があります。
※タグは定期的に整理します。
※批判・中傷コメントはご遠慮ください。
王様の恋
うりぼう
BL
「惚れ薬は手に入るか?」
突然王に言われた一言。
王は惚れ薬を使ってでも手に入れたい人間がいるらしい。
ずっと王を見つめてきた幼馴染の側近と王の話。
※エセ王国
※エセファンタジー
※惚れ薬
※異世界トリップ表現が少しあります
姉の婚約者の心を読んだら俺への愛で溢れてました
天埜鳩愛
BL
魔法学校の卒業を控えたユーディアは、親友で姉の婚約者であるエドゥアルドとの関係がある日を境に疎遠になったことに悩んでいた。
そんな折、我儘な姉から、魔法を使ってそっけないエドゥアルドの心を読み、卒業の舞踏会に自分を誘うように仕向けろと命令される。
はじめは気が進まなかったユーディアだが、エドゥアルドの心を読めばなぜ距離をとられたのか理由がわかると思いなおして……。
優秀だけど不器用な、両片思いの二人と魔法が織りなすモダキュン物語。
「許されざる恋BLアンソロジー 」収録作品。
happy dead end
瑞原唯子
BL
「それでも俺に一生を捧げる覚悟はあるか?」
シルヴィオは幼いころに第一王子の遊び相手として抜擢され、初めて会ったときから彼の美しさに心を奪われた。そして彼もシルヴィオだけに心を開いていた。しかし中等部に上がると、彼はとある女子生徒に興味を示すようになり——。
失恋したと思ってたのになぜか失恋相手にプロポーズされた
胡桃めめこ
BL
俺が片思いしていた幼なじみ、セオドアが結婚するらしい。
失恋には新しい恋で解決!有休をとってハッテン場に行ったエレンは、隣に座ったランスロットに酒を飲みながら事情を全て話していた。すると、エレンの片思い相手であり、失恋相手でもあるセオドアがやってきて……?
「俺たち付き合ってたないだろ」
「……本気で言ってるのか?」
不器用すぎてアプローチしても気づかれなかった攻め×叶わない恋を諦めようと他の男抱かれようとした受け
※受けが酔っ払ってるシーンではひらがな表記や子供のような発言をします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる