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ユリウス元王子と孤児のハル

お医者さまと新しい生活

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ユリウスさまは素晴らしい人だ。

どうして、こんな僕のためなんかに優しくしてくださるのだろう。



ユリウスさまは、毎晩毎朝、僕の髪や体を洗ってくれる。

何も言わないけれど、きっと路上生活で僕の体はとても汚れていたのだと思う。

頭も痒かったし、体も痒かったし…。

一人では綺麗にできないくらいに汚れているから、洗ってくれるのだ。


僕も貴族だったから分かるけれど、きっとユリウスさまは僕よりうんと高貴なお方だと思う。

だけど、今は一人でお店の二階で御過ごしだから、何か事情があってお家を出た方なんだろう。

それでも、自分の足でしっかりと生活されている。


すごいなぁ。



ユリウスさまは、僕がこのお店に来た次の日に、お医者様を呼んでくださっていた。



お医者様のサバンナ先生は、おばあちゃん先生で、僕の体や頭に塗るお薬を処方してくれた。

幸い感染症にはかかっていないことが分かってよかった。

変なウイルスを持ち込んでしまっていたら、申し訳なかった。


だけど、栄養失調だからいっぱいご飯を食べなさい、って言われた。


僕の生殖機能が不全なのは、遺伝子疾患という生まれつきのものだから、どうしようもないって。

残念だけど、気にしなくていいってユリウスさまに言われたから、気にしないようにしたい。



「ハル、少しふっくらしてきたね。まだまだ痩せすぎだから、いっぱい食べよう。今度のお休みの日に市場に行こうと思うから、いっぱい食材を買ってこよう。」


そういって、ユリウスさまはいつも僕の手を握って、僕の指の肉を確かめる。

手羽先みたいだった指が、少しだけお肉がついた。

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