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悪女現る
結婚式とパレードが無事終わり、スノー殿下は国境に獣害が出ていないか、兵を連れて見回りに出かけて行った。
何事もなければその日のうちに帰るらしいが、魔獣が出ていれば、巣ごと駆除をしなければいけないため泊まりになることもあるらしい。
「じゃあ、行ってくる。ロッテ。」
リーゼロッテお姉さまにキスをして、スノー殿下は出かけて行った。
「………ねえ、ロイ。」
笑顔で夫を見送ったはずの姉が、貼り付けた笑顔のまま振り返った。
「あなたが無事に『できた』のは誰のお陰?」
「はい、スノーお義兄様のお陰です。」
「もう、すこし、この国にいてくれるわよね?帰りは転移でひとっとびだもの。」
「……はい。」
「私、夫の働きぶりをどうしてもみておきたいの。そりゃあ、内を守るのが私の役目なのは分かっていてよ?でも、百聞は一見に如かず、って言うじゃない?本当の意味で大変さを知っておきたいのよ。」
つまり?
「シンの転移で私をあの兵団に紛れ込ませてほしいの!大丈夫、危険な目にあいそうならすぐ離脱して構わないし、満足したら帰るから!」
言い出したら、聞かないんですよね。わかってます。
「シン、ごめんね。」
「いいえ、僕もスノー殿下たちの活躍は気になるので!」
リーゼロッテはいそいそと鎧を3人分持ってきた。
髪をまとめ、兜の中に入れると男の子に見える。
「さあ!行くわよ!」
きゃあああああああああ!!!!!!
どこからか悲鳴が聞こえてくる。
城から降りた、町との境目にある森の中だ。
「害獣か!」
スノーは剣を握り、部隊に指揮を出した。
「オーロラは俺を援護、遠距離部隊は弓と魔法で撃て!ただし、炎や雷属性は避けろ!」
見れば凶暴な大熊が娘を襲っていた。
「悪いが、始末させてもらうっ!」
獣を脳天から切り裂き、血しぶきがスノーを染めた。
妖精のような美しい男が返り血を浴びて、雄々しく立っている。
(素敵…!私の旦那様、素敵だわ!)
(さすがですね。この分だと大丈夫そうですね。そもそも春ですし、森に食べ物はあります。めったなことで害獣は人里に下りないでしょうし、もう帰りましょう、お姉さま。)
(いえ……ちょっと、待って。)
「ありがとうございます。あなたは命の恩人だわ…!」
黒い髪がサラリと揺れ、白い肌に濡れた黒い瞳。赤い唇。
そして、胸が大きい。
とても。
あの女、見覚えがあるわ。
女はスノーの手を取って、あぁ、と意識を手放した。(ふりをした)
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「もう、すこし、この国にいてくれるわよね?帰りは転移でひとっとびだもの。」
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つまり?
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言い出したら、聞かないんですよね。わかってます。
「シン、ごめんね。」
「いいえ、僕もスノー殿下たちの活躍は気になるので!」
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きゃあああああああああ!!!!!!
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