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ハニートラップ
娘を保護した一行は、やむを得ず近くの宿に泊まった。
巡回をしながら各地に泊まるのも、国内の状況を知る手立てにもなるし、お金を落とすことで経済も回せるので、大事なことだ。
「じゃあ、貴方はご友人と一緒に旅をしていたんですね。あなたのお名前は?」
女性が気づき、暖かいジンジャーティーを飲ませながら、オーロラが優しく質問していく。
「私は……ローザ=ヴェールと申します。グラス王国の伯爵令嬢、ですわ…。恥ずかしながら家が没落しまして、誰も私を知らないローメン王国の修道院に身を寄せようかと思ってたのですけれど、ステラ=ミレニアムという方と出会って、それならばいっそブリザード王国で二人でやり直せないかと…。」
「女性が二人で一からやり直すには、我が国は厳しい国だと思いますが。」
「厳しいからこそです。ステラさんは、悪い男に騙されて娼婦にさせられていました。足ぬけは大変なことです。厳しい国にまさか逃げたとは誰も思わないでしょう?それに、私たちは元々、自分を鍛え直したいと思ってたのです。私は我儘で、誰からも望まれず…。もう、これ以上は話したくありませんわ。」
「一緒にいたはずのステラという女性は……。」
「船から降りて、途中で迷子になってしまって。山道で足を滑らせて…気が付いたら。あの大熊もいました。きっともう…ステラさんは!!」
わぁっ、と顔を伏せる。
この話を聞きながら、僕は血の気が引く思いだった。
あの女性は、あのローザの名をかたった。
僕という縁者がいなかったら、あの女性はローザとして扱われただろう。
リーゼロッテ様が、あの女性をステラだと言っても、証拠がない。
スノー王子を誘惑して、リーゼロッテ様を嫉妬ゆえに嵌めようとした悪女と罵るつもりだ。
そして………ここにいないローザは…。
「ロイ、僕、行ってきます。」
「俺も行こう。お姉さまはどうする?」
「………私は暫くここで様子を見ているわ。」
「迂闊なことはしないでくださいよ。」
「分かってるわ。」
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