義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍

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全てお見通し

「わぁぁ!私のせいで、ステラさんが…!」

潤んだ瞳でスノー王子に抱き着き、胸を密着させて見上げるあざとさ。

私にはあんな破廉恥なことはできないわ…。


それにしても……。


密着しすぎじゃないかしら。


スノーも……。あんなふうに女の子に迫られたら、コロっていくんじゃないかしら。


じっと二人を見ていると、スノーと目があった。



こちらを見て、にやりと笑っている。





えっ……。

私、今、兜に鎧を着ているのよ。
まさか気づいているなんてことは…。



「お嬢さん。」

「…はい?」


「悪いんだけど、俺には大事な大事な可愛い可愛い奥さんがいるからさ。誘惑しても無駄だから。」


「…えっ?」
ステラの顔がこわばる。

「ちっ、ちがいますわ!誘惑なんか…っ、そんなつもりじゃ…っ。ただ……。心細くてっ。」


「そぉかい?わざわざでかい胸これみよがしに押し付けてくるのに?フツーに抱き着けば胸だけみっちり密着しねぇだろ?態と胸を押し付けてるんじゃなければ。」


「………ひどいっ。」


「都合が悪くなればウソ泣きする。お前さ、ローザ=ヴェール伯爵令嬢じゃないよな?お前が娼婦のステラだろう。」

スノーはステラの手を握った。

「修道院に行こうとしているような伯爵令嬢は、いくら元が我儘令嬢だとしても、こんな下品な真っ赤なマニキュアはしない。どんな出来の悪い令嬢でも、伯爵令嬢は伯爵令嬢、高位貴族としての教養がある程度は備わっているものだ。香りだって、どこか花のような品のいい香りを漂わせているものさ。お前は化粧臭いし、香料もきつい。夜の女だ。」


スノーは見事にステラを拒絶した。

私が選んだ人は、あんな女に騙されるような人じゃない。

リーゼロッテは、嬉しくて兜の下で目を潤ませた。



そこへ、転移でシンとロイが駆けつけた。

ロイがお姫様抱っこで抱える女性は傷だらけで、ドレスが破れ、そして……片足がぐちゃぐちゃになっている。


「ここには医者が従軍しているでしょう!?回復魔導士も…。お願いします、助けてください!彼女が本物のローザ=ヴェール、僕の従妹なんです!」

シンが叫ぶ。


回復魔導士と医師が駆けつけ、処置を行う。

「傷を負って時間が経っていますし、この傷です。完全には復元はできないかも…。」



「さあ、ステラ。あとの話は城で聞こうか。」




妖精のように美しいだけじゃない。

スノー王子の凄みに、ステラは観念した。




後で思えば、まだ場末の娼婦の方がマシだったこと。

まだ『底』があったことを、彼女はまだ知らない。
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