フルコンタクト!!

みそしょうゆ

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天才

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「私は村上佳歩!よろしくね!」

「え、よ、よろしく…」

2人は握手を交わした。心真の頭にはハテナが一杯だった。

「私はね、いわゆる空手ファンなの!だからちょっとだけ心真君のことを知ってたの!」
佳歩は握手していた手を上下に大きく振りながら言った。

「それでね、さっき石川君と話してたのを見て心真君が気になったんだけど…」

「は、はぁ…なんで?」

「えっと、あのぉー…」
佳歩はさっきまでの勢いを忘れ、またモジモジし始めた。

そして、大きな声でこう言った。
「石川君のサインをくださいーー!!!!!!」
佳歩はこれ以上下がらないほど頭を下げた。

「あぁ…拳太の…」
最近空手雑誌にも引っ張りだこの拳太。熱狂的ファンなら知っていてもおかしくないほど有名だ。しかし心真はサインを求める佳歩があまり気に入らなかった。

「空手のこと上辺でしか知らないお前に、そういうことしたくない。少なくとも僕はね。だから頼むんなら拳太本人をあたってくれ。」
心真は拳太がサインを求められてるのが気に入らないのか、それとも佳歩に言った通りに気に入らないのか、自分でもよく分からなかった。

「えー!お願いします!私に話しかける勇気無い!お願いします!元天才!」
佳歩はダメ元でさらに頼んだ。が、結果は決まっていた。

「ごめん、ほんとに無理。あと僕はもう天才じゃない。元でもない。」
そう言って心真は立ち上がって教室を出ようとした。

「ちょっと、心真君?どこ行くの?」

「…トイレだよ。」
パタンと教室のドアを閉め出ていった。

(怒らせちゃったかなー)
佳歩は教室を後にする心真を見て苦笑いを浮かべた。

(…でも諦めない!)
……そう。佳歩は一切諦めていなかった。




……次の日………
朝。この学校はダルいことに土曜日も短縮で授業がある。心真はイヤホンで音楽を聴きながら登校していた。

(昨日の投稿内容的に、盛り上げるとしたら次回だな…)
「元天才」の頭は小説の展開を考えるのでいっぱいいっぱいだ。
その心真に迫る人影の気配を、本人は察知していた。

「心真君、おはよ!サイン貰ってきた?」
頭が良いとはあまり言えない佳歩がとった作戦は「とにかくゴリ押し作戦。」本人が飽きるまでつけ回そうとしている。
それにとっくに気づいていた心真は小説のことを一旦頭の隅に置き、どうやって佳歩を突き放すかを考えていた。

「あ…そうだ……」

「ん?どうしたの?今なんか言った??」

「いや、村上…さん。今日の放課後空いてる?」

「へ?」

心真の対作戦が、幕を開けた。
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