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第2章
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今にも泣き出すんじゃないかというほど眉をしかめて、扉を塞いでいるエイレン。
それをマナーのなっていない子供でも見るような顔で、無関心そうに眺めるソエスト。
今更ながら、彼等がどういう原理で知人関係を保っていられるのかと、クロノは不可思議に思った。見た目から察するに年齢は案外近いのかもしれないが、腑に落ちないのは内面的な相性だ。ソエストはどこか人間味に欠けていて、機械もいいところだし、エイレンの言動ときたら、小、中学生のそれだ。もはや、何を間違って会話が成り立っているのかわからない。
とはいえ、何ひとつ相性の合わない同僚と、タッグを組んでいた彼が言えたことではないが。
エイレンとソエストが共有しているものといえば、この途方もない沈黙くらいのものだろう。
圧迫するように積み上げられた本の壁の所為で、部屋の静けさが息詰まる空間に感じられた。
先に静黙を破ったのは、機械の方だった。
「私にはやるべきことがあります。そのために、リラの毒が必要不可欠だと申し上げた筈です」
「だがセラはいなくなったぞ、ソエスト。お前はセラから紋章術を取り上げるために、リラの研究を続けていたんだろう? 今度はどうしたと言うんだ。さあ、お前が術師結社に居残りしてる理由を、洗いざらいこのオレに打ち明けてみろ!」
やはり、ソエストにとってセラの存在は、少なからず影響のあるものだったらしい。
エイレンもエイレンだ。自分で殺しておいて、いなくなった、というのはどうなのだろう。
それも、解し難いことに、彼は自身が恨まれている考えにすら及んでいないように見えた。
――どうしたらこんな能天気に育つんだよ。
ついつい蔑視の目を向けたクロノだったが、エイレンの横顔は思いの外、真剣だった。
質問に答える素振りすら見せないソエストに、彼は口を開く。
「……やっぱりヴィルフォート家が絡んでいるのか?」
セラのファミリーネーム。
どうしてここでその名前が出されるのか、クロノがそれを察するのに、そう時間はかからなかった。ソエストは、セラ達と同じ里親を持つと話していた。つまり、ヴィルフォートの名はソエストの姓でもあるということだ。
エイレンが口にしたその名に、彼の表情がかすかに動いたのがわかった。
不意に、クロノへと移されるレンズ越しの横目。
そいつをどうにかしろ、という要求が医者の目付きから感じ取れた。
だが、クロノは少しの迷いの後、気付かない振りをする。
彼にとっては納得のいかないことだが、クロノよりもエイレンの方が実験施設に対して博識と言える。このままエイレンを野放しにしておけば、上手い具合に、リラや実験施設についての情報や、ソエストの真意が暴けるかもしれない。
少年は、仮にも結社リーダーの身を案じる気がないのだ。
厳密に言えば、案じる必要がない、と思っていた。エイレンは紋章術の使い手であり、ソエストは恐らく一般人――彼ら流で言う、ジェネラル。いくら彼が紋章術に関わる技術者であろうと、使い手に対してそこまでの脅威になるとは考え難い。
逸らされた視線に、見込みがないと察したのだろう。
医者は諦めたようにエイレンに向き直った。
「なんと申しますか。貴方のデリカシーの欠如は、本当に感嘆に値するものがありますね」
「さてはソエスト、お前はヴィルフォート家のデカさをちゃんとわかっていないな? ヴィルフォートはグラールの司令塔と絡んでるという話だぞ。超ヘビー級、メガトン級のキングサイズなんだぞ?」
「……教えて頂くまでも御座いませんが」
「良いか、お前がやろうとしているのは、風車に向かって突撃するのと同じことだぞ。ドンキホーテ型の、パラシュートなしのスカイダイビングだ!」
喚くみたいに言い募るエイレンの横顔を、クロノはしげしげと見据えた。
彼は純粋に知り合いが危険にさらされるのを止めたいようだが、対するソエストは見るからに迷惑そうで、うっとうしげにため息を返した。
「善意の押し付けは結構。そんなことばかりなさっているから、セラに殺されたのでしょう」
エイレンは目を見開いた。
クロノが知る限り、殺されたのはセラの方の筈なのだが。
いや、それ以前にエイレンは一度死んでいるのだ。
龍牙という暗号名を持った、グラールの紋章術師。クロノは今の今まで忘れていたが、グラールの殉職者の一人には、確かにエイレンの暗号名があった。
「善意の何がいけないんだ! オレは、リラとセラが、ずぶ濡れの捨て猫のようにかわいそうだったんだ! だから、セラのオンリーワンのタッグ相手として説得して、グラールのいばらの森から抜け出そうと言ってたんだぞ」
「それで下手に嗅ぎ回りグラールの上層部に目を付けられた結果、タッグ相手に始末されたと」
「なっ?! そんな単純明快ストレートな経緯じゃなかったぞ!」
「要約するとそういうことでは? 貴方は初対面のその日の内に、ご自分の半生を教えて下さったでしょう」
次々と彼等の関係性が明らかになる。
クロノは、呆れはしても驚きはしなかった。
カリバーンリーダーの朱色を横目に、冷めた頭で考える。
――グラール時代から、ろくなことしてないんだな。
意外に思ったのは、エイレンとセラがタッグを組まされていたことぐらいだ。
ガンズとクロノのタッグ編成といい、ここまで来るとグラールは単なる人選ミスではなく、使い手に対して嫌がらせを吹っかけているのではないかと疑いたくもなる。
「では。何故あの時私が貴方をお助けすることが出来たか、ご存知ですか。崖下に使い手が転がっているだろうから、サンプルが欲しいならくれてやると、セラから連絡を頂いたのですよ」
「何を、言ってるんだ?」
「失礼ながら、貴方が散々切り裂かれた挙句、崖から蹴り落とされたのも頷けますね。貴方は主義主張が激しいので」
「ひどすぎるぞ……セラもソエストも、何を食ったらそんなに冷酷になるんだ?! だからリラをあのままにできるんだな! 実験モルモットにされて、いつまで経っても術師結社の囚われの姫で、リラがかわいそうだと思わないのかっ」
懸命に訴えかけながら、今にも掴みかかりそうにソエストに詰め寄るエイレン。
無機質な照明が差す資料室に、青年の声が響く。
しかし、ソエストは、嘲笑ともとれるような微々たる笑いを浮かべた。
「私は、せめてもの有効活用をして差し上げているだけですよ。使えるものを使わないでどうします? でなければ、彼女がなんの為に壊されたのか、わからないでしょう」
「だから! それがかわいそうだと言って――」
「では、リラを――初代を殺してみてはいかがですか? セラと同じように」
エイレンが表情をなくした。
返答が思い付かずにいるのか、答えることすら忘れてしまったのか。
全身を固めたまま、立ち尽くしている。
不穏な予感がした。
クロノは、ベルトのナイフにそっと手をやる。
凍て付いた空気の中で、医者はふと微笑すると眼鏡を押し上げた。
「冗談です。善意と同情で、あの方への対抗手段が奪われては、私の努力が報われませんよ」
予想に違う一言だった。
彼が存在自体を許せない相手というのは、エイレンではないのだろうか。
口を挟もうとしたクロノだったが、すんでの所で言葉を呑んだ。
何か、ただならぬ雰囲気を覚えたのだ。
ソエストが青年の横を素通りして、がら空きになった扉へと向かう。
だが、エイレンは彼に背中を向けたまま、後ろ手にその服の裾を掴んだ。
「……リラは道具じゃないんだ。セラだって、グラールのロボットじゃないんだぞ」
医者が何も答えない。
クロノは、まっさらな白紙を思わせるその顔付きに、得体の知れない焦りを感じた。
傍観を決め込んでいた立場をかなぐり捨てて、口を開く。
「もういいだろ。何も、今日全部決めなきゃいけない訳じゃないし――」
「ソエスト、お前もヴィルフォートの人形じゃないんだぞ! リラを連れて、術師結社から離れるんだ! オレはお前だって、かわいそうで仕方ないんだからなっ」
クロノを遮って、エイレンが漏らした懇願のような一言。
ややあって、ソエストはゆっくりと横顔だけで顧みた。
薄いレンズ越しに、凍結乾燥したみたいな眼差しが、朱色の後ろ髪へ向けられる。
と思うと、彼はおもむろに、上着の内ポケットへと片手をやった。
あまりしつこいから、連絡先の書かれた名刺でも渡すつもりなのか、と思わせるような、のんびりとした仕草。
が、次の瞬間。
ポケットから取り出されたものが何であるか、それをクロノが理解するのと同時だった。
それをマナーのなっていない子供でも見るような顔で、無関心そうに眺めるソエスト。
今更ながら、彼等がどういう原理で知人関係を保っていられるのかと、クロノは不可思議に思った。見た目から察するに年齢は案外近いのかもしれないが、腑に落ちないのは内面的な相性だ。ソエストはどこか人間味に欠けていて、機械もいいところだし、エイレンの言動ときたら、小、中学生のそれだ。もはや、何を間違って会話が成り立っているのかわからない。
とはいえ、何ひとつ相性の合わない同僚と、タッグを組んでいた彼が言えたことではないが。
エイレンとソエストが共有しているものといえば、この途方もない沈黙くらいのものだろう。
圧迫するように積み上げられた本の壁の所為で、部屋の静けさが息詰まる空間に感じられた。
先に静黙を破ったのは、機械の方だった。
「私にはやるべきことがあります。そのために、リラの毒が必要不可欠だと申し上げた筈です」
「だがセラはいなくなったぞ、ソエスト。お前はセラから紋章術を取り上げるために、リラの研究を続けていたんだろう? 今度はどうしたと言うんだ。さあ、お前が術師結社に居残りしてる理由を、洗いざらいこのオレに打ち明けてみろ!」
やはり、ソエストにとってセラの存在は、少なからず影響のあるものだったらしい。
エイレンもエイレンだ。自分で殺しておいて、いなくなった、というのはどうなのだろう。
それも、解し難いことに、彼は自身が恨まれている考えにすら及んでいないように見えた。
――どうしたらこんな能天気に育つんだよ。
ついつい蔑視の目を向けたクロノだったが、エイレンの横顔は思いの外、真剣だった。
質問に答える素振りすら見せないソエストに、彼は口を開く。
「……やっぱりヴィルフォート家が絡んでいるのか?」
セラのファミリーネーム。
どうしてここでその名前が出されるのか、クロノがそれを察するのに、そう時間はかからなかった。ソエストは、セラ達と同じ里親を持つと話していた。つまり、ヴィルフォートの名はソエストの姓でもあるということだ。
エイレンが口にしたその名に、彼の表情がかすかに動いたのがわかった。
不意に、クロノへと移されるレンズ越しの横目。
そいつをどうにかしろ、という要求が医者の目付きから感じ取れた。
だが、クロノは少しの迷いの後、気付かない振りをする。
彼にとっては納得のいかないことだが、クロノよりもエイレンの方が実験施設に対して博識と言える。このままエイレンを野放しにしておけば、上手い具合に、リラや実験施設についての情報や、ソエストの真意が暴けるかもしれない。
少年は、仮にも結社リーダーの身を案じる気がないのだ。
厳密に言えば、案じる必要がない、と思っていた。エイレンは紋章術の使い手であり、ソエストは恐らく一般人――彼ら流で言う、ジェネラル。いくら彼が紋章術に関わる技術者であろうと、使い手に対してそこまでの脅威になるとは考え難い。
逸らされた視線に、見込みがないと察したのだろう。
医者は諦めたようにエイレンに向き直った。
「なんと申しますか。貴方のデリカシーの欠如は、本当に感嘆に値するものがありますね」
「さてはソエスト、お前はヴィルフォート家のデカさをちゃんとわかっていないな? ヴィルフォートはグラールの司令塔と絡んでるという話だぞ。超ヘビー級、メガトン級のキングサイズなんだぞ?」
「……教えて頂くまでも御座いませんが」
「良いか、お前がやろうとしているのは、風車に向かって突撃するのと同じことだぞ。ドンキホーテ型の、パラシュートなしのスカイダイビングだ!」
喚くみたいに言い募るエイレンの横顔を、クロノはしげしげと見据えた。
彼は純粋に知り合いが危険にさらされるのを止めたいようだが、対するソエストは見るからに迷惑そうで、うっとうしげにため息を返した。
「善意の押し付けは結構。そんなことばかりなさっているから、セラに殺されたのでしょう」
エイレンは目を見開いた。
クロノが知る限り、殺されたのはセラの方の筈なのだが。
いや、それ以前にエイレンは一度死んでいるのだ。
龍牙という暗号名を持った、グラールの紋章術師。クロノは今の今まで忘れていたが、グラールの殉職者の一人には、確かにエイレンの暗号名があった。
「善意の何がいけないんだ! オレは、リラとセラが、ずぶ濡れの捨て猫のようにかわいそうだったんだ! だから、セラのオンリーワンのタッグ相手として説得して、グラールのいばらの森から抜け出そうと言ってたんだぞ」
「それで下手に嗅ぎ回りグラールの上層部に目を付けられた結果、タッグ相手に始末されたと」
「なっ?! そんな単純明快ストレートな経緯じゃなかったぞ!」
「要約するとそういうことでは? 貴方は初対面のその日の内に、ご自分の半生を教えて下さったでしょう」
次々と彼等の関係性が明らかになる。
クロノは、呆れはしても驚きはしなかった。
カリバーンリーダーの朱色を横目に、冷めた頭で考える。
――グラール時代から、ろくなことしてないんだな。
意外に思ったのは、エイレンとセラがタッグを組まされていたことぐらいだ。
ガンズとクロノのタッグ編成といい、ここまで来るとグラールは単なる人選ミスではなく、使い手に対して嫌がらせを吹っかけているのではないかと疑いたくもなる。
「では。何故あの時私が貴方をお助けすることが出来たか、ご存知ですか。崖下に使い手が転がっているだろうから、サンプルが欲しいならくれてやると、セラから連絡を頂いたのですよ」
「何を、言ってるんだ?」
「失礼ながら、貴方が散々切り裂かれた挙句、崖から蹴り落とされたのも頷けますね。貴方は主義主張が激しいので」
「ひどすぎるぞ……セラもソエストも、何を食ったらそんなに冷酷になるんだ?! だからリラをあのままにできるんだな! 実験モルモットにされて、いつまで経っても術師結社の囚われの姫で、リラがかわいそうだと思わないのかっ」
懸命に訴えかけながら、今にも掴みかかりそうにソエストに詰め寄るエイレン。
無機質な照明が差す資料室に、青年の声が響く。
しかし、ソエストは、嘲笑ともとれるような微々たる笑いを浮かべた。
「私は、せめてもの有効活用をして差し上げているだけですよ。使えるものを使わないでどうします? でなければ、彼女がなんの為に壊されたのか、わからないでしょう」
「だから! それがかわいそうだと言って――」
「では、リラを――初代を殺してみてはいかがですか? セラと同じように」
エイレンが表情をなくした。
返答が思い付かずにいるのか、答えることすら忘れてしまったのか。
全身を固めたまま、立ち尽くしている。
不穏な予感がした。
クロノは、ベルトのナイフにそっと手をやる。
凍て付いた空気の中で、医者はふと微笑すると眼鏡を押し上げた。
「冗談です。善意と同情で、あの方への対抗手段が奪われては、私の努力が報われませんよ」
予想に違う一言だった。
彼が存在自体を許せない相手というのは、エイレンではないのだろうか。
口を挟もうとしたクロノだったが、すんでの所で言葉を呑んだ。
何か、ただならぬ雰囲気を覚えたのだ。
ソエストが青年の横を素通りして、がら空きになった扉へと向かう。
だが、エイレンは彼に背中を向けたまま、後ろ手にその服の裾を掴んだ。
「……リラは道具じゃないんだ。セラだって、グラールのロボットじゃないんだぞ」
医者が何も答えない。
クロノは、まっさらな白紙を思わせるその顔付きに、得体の知れない焦りを感じた。
傍観を決め込んでいた立場をかなぐり捨てて、口を開く。
「もういいだろ。何も、今日全部決めなきゃいけない訳じゃないし――」
「ソエスト、お前もヴィルフォートの人形じゃないんだぞ! リラを連れて、術師結社から離れるんだ! オレはお前だって、かわいそうで仕方ないんだからなっ」
クロノを遮って、エイレンが漏らした懇願のような一言。
ややあって、ソエストはゆっくりと横顔だけで顧みた。
薄いレンズ越しに、凍結乾燥したみたいな眼差しが、朱色の後ろ髪へ向けられる。
と思うと、彼はおもむろに、上着の内ポケットへと片手をやった。
あまりしつこいから、連絡先の書かれた名刺でも渡すつもりなのか、と思わせるような、のんびりとした仕草。
が、次の瞬間。
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