85 / 97
第2章
084
しおりを挟む
「あらあら。大変なことになっちゃったのね」
リアフェール本部の応接間を抜けて階段へ向かう廊下の途中にある、リビング。
この部屋のソファも足の低いテーブルを囲むように並べられているが、応接間のものと比べると使い込まれており、またクッションがおかれていて生活感がある。三人掛けエル字型ワイドソファに寝かされているエイレンと、その向かい側の二人掛けワイドソファでぐったりした様子のクロノを見ながら、エプロン姿をいう家庭的な格好をしたリアフェール社長――ワズサはのんびりとした様子だ。
「あらあら、じゃないですよ」
背もたれに寄り掛かって天井を仰いだまま、クロノは力なく呟いた。
少年の隣では、同じように力無くソファに体を預ける少女がいる。
今から数十分前。
自称〝ただの医者〟の研究員が聖剣リーダーへと放った一撃。
少しとは言え、とばっちり万歳にその被害を受けたクロノは、膝を付いたまま遠ざかる足音を聞いていた。この状態では部屋に充満している毒をどうすることも出来ない。
意地でも倒れてやるかとクロノが意気込んだ矢先。
血相を変えたミントが駆けこんで来た。かと思えば、彼女はクロノの忠告も聞かずに部屋へと足を踏み入れた。
案の定、まだ充満する毒にあてられたミントは、クロノと言うよりもエイレンの二の舞よろしくふらりと体を揺らした。
咄嗟に、クロノは床に倒れそうになる少女を間一髪で受け止めるも、それ以上動くことは難しく、彼女の体を支えたまま崩れるように座り込んだ。軽率な行動を咎めようとした瞬間、余計な心配を増やした少女に大丈夫かと声を掛けられ、本日何度目かのため息を零した少年。
そして、ミラノの首根っこを掴んだシグドと言う助っ人がようやく来てくれたことで、クロノたちは無事部屋を出ることが出来たのだ。
「まさに『ミイラ取りがミイラになる』だねー」
相変わらずナツメは他人事のように楽しそうに声を上げる。
「してやられたわね。治療ついでに戦力を三つも使い物にならなくさせられるなんて」
深いため息をつくわりに、ビビアンは自身がグラールから追い出された時ほど困っている様子はない。
「……その医者はどこ行ったんですか?」
「お医者さんなら、クロノくんの診察が終わったので帰りますって挨拶して帰ったわよ。何かあったら病院へどうぞって薦められたわ。あと、これももらったのよ」
なんて能天気に言いながらワズサはにこにこと微笑む。
彼女の手元には、特別待遇診察券、と書かれたカードがあり、どうやらソエストから名刺代わりに渡されたらしい。
「これじゃあ、しばらく仕事はナツメ一人に任せることになるわね」
「えー」
「ちょっと待ってください」
社長と対照的に困った声音のビビアンに、ナツメとクロノが同時に抗議を上げる。
「勝手に役立たず扱いしないでくれませんか」
「あら、事実でしょ」
クロノの言い分をあっさりと切り捨てるビビアン。
「今にも倒れそうな人を仕事に出すわけにはいかないでしょ。まずは体調を治しなさい」
ここはグラールじゃないのよ。
続けられたビビアンの言葉に、クロノは口を噤んだ。
「それはそうと。カリバーンのみなさんは、いつまでこちらにいらっしゃる予定ですか?」
穏やかな笑みと共にワズサが問い掛けた。
ナツメとビビアンが顔を見合わせ、クロノは怪訝そうに顔を曇らせる。
「そうね。もうひとつ、リアフェールには用事があるの」
好き勝手に掻き乱して自爆しておきながら、まだ厄介事を残していたのだろうか。
クロノは倒れている赤毛へ、無遠慮に冷たい目を向ける。
「本当はリーダーから頼むべきなんだけど、こんな状況だから私からお願いさせてもらうわ」
「あら。何のお願いかしら」
「リアフェールと、私たちカリバーンの間で、同盟を結んでもらえませんか?」
ビビアンの言葉が理解出来なかった。
深く下げられた彼女の後頭部を眺めていたクロノだったが、その意味を理解したと同時に、乱暴に立ち上がっていた。
「どういうつもりなんだ」
少年にしては珍しく、不躾な威圧的な声だった。
冗談ではない。
同盟と一言で表したそれは、簡単に言うならば、使い手や情報を共有することである。公で認められている、争奪戦を有利に進めるための方法のひとつではあるが、本来それは弱い結社同士が強い結社に対抗するためにあるものだ。カリバーンのような強い結社が弱い結社に持ち掛ける同盟など、かつてグラールが持ち掛けてきた合併と大差ない。
「そんな――」
「クロノくん」
少年の冷たい言葉を制止させたのは、ワズサの一言だった。
穏やかな彼女の声に、彼の怒りを鎮めるだけの抑止力はなかったが、クロノはハッと口を噤むとソファに座り直す。
それを見届けてからビビアンに向き直ったワズサは微笑みなど浮かべておらず、とても真剣な面構えをしていた。
「理由を教えてくださるかしら」
社長の声に凄みはない。
それでも、淡々とした口調には有無を言わせぬ迫力があった。
「こちらにいる使い手がひとり、そちらの所属ですので、この争奪戦が終わったらそちらに戻れるようにと、エイレンが考えていたようです」
なるほどエイレンの考えそうなことだ。
それを大義名分にしてリアフェールに取り入るつもりか、とクロノの頭は冷ややかだった。
自身が話題の中心になることは予想外だったが、クロノと言うパイプがあった方が、リアフェールと友好的な関係が築けるのも事実だ。特にリアフェールには、仲間同士の関係を大事にするきらいがあるのだから。
「あらあら。それじゃあ、わたくしたちは、クロノくんを人質に同盟を脅されているのね」
「それは……」
「ふふ、冗談よ。エイレンさんがそんな人柄じゃないのは理解しているもの」
悪戯っ子のように笑うワズサだったが、この場にいる誰もが、彼女の言葉は冗談ではなかったと理解していた。
だからこそ、ビビアンは返答に困ったのだろう。
「素直な感想としては、おもしろい提案だと思ってるのよ」
「社長……!」
「でも、わたくしたちは多くのものを失っているわ。本部も情報も、……仲間も」
「…………」
「これ以上失うわけにはいかないのも事実。仮に同盟を組んだとして、こちらから提供出来るものは情報くらいですし、おそらく貴方たちもほしいものは情報でしょう?」
ワズサの問いに、無言ではあったが、ビビアンは頷いた。
珍しく空気を読んでいるらしく、ナツメは口を挟まない
「だから、貴方たちがリアフェールを守ってくださるのなら、同盟を結びましょう」
ワズサが言葉と共に浮かべたたおやかな笑顔は、まさに戦う主婦そのもので。
クロノは、リアフェールに入った時のことを思い出していた。
中学を卒業したばかりの自分たちの所属を受け入れてくれた社長から、石柱のエンブレムをもらう時に、「今日からここが家だと思って、気兼ねしなくて良いのよ」と言われた。
社長にとってリアフェールは大事な家庭なのだ。
ビビアンは、ソファに転がっているエイレンを一瞥する。
「ええ、全力で。……こちらのお誘いに応じてくださって、ありがとうございます」
リアフェール本部の応接間を抜けて階段へ向かう廊下の途中にある、リビング。
この部屋のソファも足の低いテーブルを囲むように並べられているが、応接間のものと比べると使い込まれており、またクッションがおかれていて生活感がある。三人掛けエル字型ワイドソファに寝かされているエイレンと、その向かい側の二人掛けワイドソファでぐったりした様子のクロノを見ながら、エプロン姿をいう家庭的な格好をしたリアフェール社長――ワズサはのんびりとした様子だ。
「あらあら、じゃないですよ」
背もたれに寄り掛かって天井を仰いだまま、クロノは力なく呟いた。
少年の隣では、同じように力無くソファに体を預ける少女がいる。
今から数十分前。
自称〝ただの医者〟の研究員が聖剣リーダーへと放った一撃。
少しとは言え、とばっちり万歳にその被害を受けたクロノは、膝を付いたまま遠ざかる足音を聞いていた。この状態では部屋に充満している毒をどうすることも出来ない。
意地でも倒れてやるかとクロノが意気込んだ矢先。
血相を変えたミントが駆けこんで来た。かと思えば、彼女はクロノの忠告も聞かずに部屋へと足を踏み入れた。
案の定、まだ充満する毒にあてられたミントは、クロノと言うよりもエイレンの二の舞よろしくふらりと体を揺らした。
咄嗟に、クロノは床に倒れそうになる少女を間一髪で受け止めるも、それ以上動くことは難しく、彼女の体を支えたまま崩れるように座り込んだ。軽率な行動を咎めようとした瞬間、余計な心配を増やした少女に大丈夫かと声を掛けられ、本日何度目かのため息を零した少年。
そして、ミラノの首根っこを掴んだシグドと言う助っ人がようやく来てくれたことで、クロノたちは無事部屋を出ることが出来たのだ。
「まさに『ミイラ取りがミイラになる』だねー」
相変わらずナツメは他人事のように楽しそうに声を上げる。
「してやられたわね。治療ついでに戦力を三つも使い物にならなくさせられるなんて」
深いため息をつくわりに、ビビアンは自身がグラールから追い出された時ほど困っている様子はない。
「……その医者はどこ行ったんですか?」
「お医者さんなら、クロノくんの診察が終わったので帰りますって挨拶して帰ったわよ。何かあったら病院へどうぞって薦められたわ。あと、これももらったのよ」
なんて能天気に言いながらワズサはにこにこと微笑む。
彼女の手元には、特別待遇診察券、と書かれたカードがあり、どうやらソエストから名刺代わりに渡されたらしい。
「これじゃあ、しばらく仕事はナツメ一人に任せることになるわね」
「えー」
「ちょっと待ってください」
社長と対照的に困った声音のビビアンに、ナツメとクロノが同時に抗議を上げる。
「勝手に役立たず扱いしないでくれませんか」
「あら、事実でしょ」
クロノの言い分をあっさりと切り捨てるビビアン。
「今にも倒れそうな人を仕事に出すわけにはいかないでしょ。まずは体調を治しなさい」
ここはグラールじゃないのよ。
続けられたビビアンの言葉に、クロノは口を噤んだ。
「それはそうと。カリバーンのみなさんは、いつまでこちらにいらっしゃる予定ですか?」
穏やかな笑みと共にワズサが問い掛けた。
ナツメとビビアンが顔を見合わせ、クロノは怪訝そうに顔を曇らせる。
「そうね。もうひとつ、リアフェールには用事があるの」
好き勝手に掻き乱して自爆しておきながら、まだ厄介事を残していたのだろうか。
クロノは倒れている赤毛へ、無遠慮に冷たい目を向ける。
「本当はリーダーから頼むべきなんだけど、こんな状況だから私からお願いさせてもらうわ」
「あら。何のお願いかしら」
「リアフェールと、私たちカリバーンの間で、同盟を結んでもらえませんか?」
ビビアンの言葉が理解出来なかった。
深く下げられた彼女の後頭部を眺めていたクロノだったが、その意味を理解したと同時に、乱暴に立ち上がっていた。
「どういうつもりなんだ」
少年にしては珍しく、不躾な威圧的な声だった。
冗談ではない。
同盟と一言で表したそれは、簡単に言うならば、使い手や情報を共有することである。公で認められている、争奪戦を有利に進めるための方法のひとつではあるが、本来それは弱い結社同士が強い結社に対抗するためにあるものだ。カリバーンのような強い結社が弱い結社に持ち掛ける同盟など、かつてグラールが持ち掛けてきた合併と大差ない。
「そんな――」
「クロノくん」
少年の冷たい言葉を制止させたのは、ワズサの一言だった。
穏やかな彼女の声に、彼の怒りを鎮めるだけの抑止力はなかったが、クロノはハッと口を噤むとソファに座り直す。
それを見届けてからビビアンに向き直ったワズサは微笑みなど浮かべておらず、とても真剣な面構えをしていた。
「理由を教えてくださるかしら」
社長の声に凄みはない。
それでも、淡々とした口調には有無を言わせぬ迫力があった。
「こちらにいる使い手がひとり、そちらの所属ですので、この争奪戦が終わったらそちらに戻れるようにと、エイレンが考えていたようです」
なるほどエイレンの考えそうなことだ。
それを大義名分にしてリアフェールに取り入るつもりか、とクロノの頭は冷ややかだった。
自身が話題の中心になることは予想外だったが、クロノと言うパイプがあった方が、リアフェールと友好的な関係が築けるのも事実だ。特にリアフェールには、仲間同士の関係を大事にするきらいがあるのだから。
「あらあら。それじゃあ、わたくしたちは、クロノくんを人質に同盟を脅されているのね」
「それは……」
「ふふ、冗談よ。エイレンさんがそんな人柄じゃないのは理解しているもの」
悪戯っ子のように笑うワズサだったが、この場にいる誰もが、彼女の言葉は冗談ではなかったと理解していた。
だからこそ、ビビアンは返答に困ったのだろう。
「素直な感想としては、おもしろい提案だと思ってるのよ」
「社長……!」
「でも、わたくしたちは多くのものを失っているわ。本部も情報も、……仲間も」
「…………」
「これ以上失うわけにはいかないのも事実。仮に同盟を組んだとして、こちらから提供出来るものは情報くらいですし、おそらく貴方たちもほしいものは情報でしょう?」
ワズサの問いに、無言ではあったが、ビビアンは頷いた。
珍しく空気を読んでいるらしく、ナツメは口を挟まない
「だから、貴方たちがリアフェールを守ってくださるのなら、同盟を結びましょう」
ワズサが言葉と共に浮かべたたおやかな笑顔は、まさに戦う主婦そのもので。
クロノは、リアフェールに入った時のことを思い出していた。
中学を卒業したばかりの自分たちの所属を受け入れてくれた社長から、石柱のエンブレムをもらう時に、「今日からここが家だと思って、気兼ねしなくて良いのよ」と言われた。
社長にとってリアフェールは大事な家庭なのだ。
ビビアンは、ソファに転がっているエイレンを一瞥する。
「ええ、全力で。……こちらのお誘いに応じてくださって、ありがとうございます」
0
あなたにおすすめの小説
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
白き魔女と黄金の林檎
みみぞう
ファンタジー
【カクヨム・エブリスタで特集していただきました。カクヨムで先行完結】
https://kakuyomu.jp/works/16816927860645480806
「”火の魔女”を一週間以内に駆逐せよ」
それが審問官見習いアルヴィンに下された、最初の使命だった。
人の世に災いをもたらす魔女と、駆逐する使命を帯びた審問官。
連続殺焼事件を解決できなきれば、破門である。
先輩審問官達が、半年かかって解決できなかった事件を、果たして駆け出しの彼が解決できるのか――
悪しき魔女との戦いの中で、彼はやがて教会に蠢く闇と対峙する……!
不死をめぐる、ダークファンタジー!
※カクヨム・エブリスタ・なろうにも投稿しております。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる