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第2章
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「あらあら。大変なことになっちゃったのね」
リアフェール本部の応接間を抜けて階段へ向かう廊下の途中にある、リビング。
この部屋のソファも足の低いテーブルを囲むように並べられているが、応接間のものと比べると使い込まれており、またクッションがおかれていて生活感がある。三人掛けエル字型ワイドソファに寝かされているエイレンと、その向かい側の二人掛けワイドソファでぐったりした様子のクロノを見ながら、エプロン姿をいう家庭的な格好をしたリアフェール社長――ワズサはのんびりとした様子だ。
「あらあら、じゃないですよ」
背もたれに寄り掛かって天井を仰いだまま、クロノは力なく呟いた。
少年の隣では、同じように力無くソファに体を預ける少女がいる。
今から数十分前。
自称〝ただの医者〟の研究員が聖剣リーダーへと放った一撃。
少しとは言え、とばっちり万歳にその被害を受けたクロノは、膝を付いたまま遠ざかる足音を聞いていた。この状態では部屋に充満している毒をどうすることも出来ない。
意地でも倒れてやるかとクロノが意気込んだ矢先。
血相を変えたミントが駆けこんで来た。かと思えば、彼女はクロノの忠告も聞かずに部屋へと足を踏み入れた。
案の定、まだ充満する毒にあてられたミントは、クロノと言うよりもエイレンの二の舞よろしくふらりと体を揺らした。
咄嗟に、クロノは床に倒れそうになる少女を間一髪で受け止めるも、それ以上動くことは難しく、彼女の体を支えたまま崩れるように座り込んだ。軽率な行動を咎めようとした瞬間、余計な心配を増やした少女に大丈夫かと声を掛けられ、本日何度目かのため息を零した少年。
そして、ミラノの首根っこを掴んだシグドと言う助っ人がようやく来てくれたことで、クロノたちは無事部屋を出ることが出来たのだ。
「まさに『ミイラ取りがミイラになる』だねー」
相変わらずナツメは他人事のように楽しそうに声を上げる。
「してやられたわね。治療ついでに戦力を三つも使い物にならなくさせられるなんて」
深いため息をつくわりに、ビビアンは自身がグラールから追い出された時ほど困っている様子はない。
「……その医者はどこ行ったんですか?」
「お医者さんなら、クロノくんの診察が終わったので帰りますって挨拶して帰ったわよ。何かあったら病院へどうぞって薦められたわ。あと、これももらったのよ」
なんて能天気に言いながらワズサはにこにこと微笑む。
彼女の手元には、特別待遇診察券、と書かれたカードがあり、どうやらソエストから名刺代わりに渡されたらしい。
「これじゃあ、しばらく仕事はナツメ一人に任せることになるわね」
「えー」
「ちょっと待ってください」
社長と対照的に困った声音のビビアンに、ナツメとクロノが同時に抗議を上げる。
「勝手に役立たず扱いしないでくれませんか」
「あら、事実でしょ」
クロノの言い分をあっさりと切り捨てるビビアン。
「今にも倒れそうな人を仕事に出すわけにはいかないでしょ。まずは体調を治しなさい」
ここはグラールじゃないのよ。
続けられたビビアンの言葉に、クロノは口を噤んだ。
「それはそうと。カリバーンのみなさんは、いつまでこちらにいらっしゃる予定ですか?」
穏やかな笑みと共にワズサが問い掛けた。
ナツメとビビアンが顔を見合わせ、クロノは怪訝そうに顔を曇らせる。
「そうね。もうひとつ、リアフェールには用事があるの」
好き勝手に掻き乱して自爆しておきながら、まだ厄介事を残していたのだろうか。
クロノは倒れている赤毛へ、無遠慮に冷たい目を向ける。
「本当はリーダーから頼むべきなんだけど、こんな状況だから私からお願いさせてもらうわ」
「あら。何のお願いかしら」
「リアフェールと、私たちカリバーンの間で、同盟を結んでもらえませんか?」
ビビアンの言葉が理解出来なかった。
深く下げられた彼女の後頭部を眺めていたクロノだったが、その意味を理解したと同時に、乱暴に立ち上がっていた。
「どういうつもりなんだ」
少年にしては珍しく、不躾な威圧的な声だった。
冗談ではない。
同盟と一言で表したそれは、簡単に言うならば、使い手や情報を共有することである。公で認められている、争奪戦を有利に進めるための方法のひとつではあるが、本来それは弱い結社同士が強い結社に対抗するためにあるものだ。カリバーンのような強い結社が弱い結社に持ち掛ける同盟など、かつてグラールが持ち掛けてきた合併と大差ない。
「そんな――」
「クロノくん」
少年の冷たい言葉を制止させたのは、ワズサの一言だった。
穏やかな彼女の声に、彼の怒りを鎮めるだけの抑止力はなかったが、クロノはハッと口を噤むとソファに座り直す。
それを見届けてからビビアンに向き直ったワズサは微笑みなど浮かべておらず、とても真剣な面構えをしていた。
「理由を教えてくださるかしら」
社長の声に凄みはない。
それでも、淡々とした口調には有無を言わせぬ迫力があった。
「こちらにいる使い手がひとり、そちらの所属ですので、この争奪戦が終わったらそちらに戻れるようにと、エイレンが考えていたようです」
なるほどエイレンの考えそうなことだ。
それを大義名分にしてリアフェールに取り入るつもりか、とクロノの頭は冷ややかだった。
自身が話題の中心になることは予想外だったが、クロノと言うパイプがあった方が、リアフェールと友好的な関係が築けるのも事実だ。特にリアフェールには、仲間同士の関係を大事にするきらいがあるのだから。
「あらあら。それじゃあ、わたくしたちは、クロノくんを人質に同盟を脅されているのね」
「それは……」
「ふふ、冗談よ。エイレンさんがそんな人柄じゃないのは理解しているもの」
悪戯っ子のように笑うワズサだったが、この場にいる誰もが、彼女の言葉は冗談ではなかったと理解していた。
だからこそ、ビビアンは返答に困ったのだろう。
「素直な感想としては、おもしろい提案だと思ってるのよ」
「社長……!」
「でも、わたくしたちは多くのものを失っているわ。本部も情報も、……仲間も」
「…………」
「これ以上失うわけにはいかないのも事実。仮に同盟を組んだとして、こちらから提供出来るものは情報くらいですし、おそらく貴方たちもほしいものは情報でしょう?」
ワズサの問いに、無言ではあったが、ビビアンは頷いた。
珍しく空気を読んでいるらしく、ナツメは口を挟まない
「だから、貴方たちがリアフェールを守ってくださるのなら、同盟を結びましょう」
ワズサが言葉と共に浮かべたたおやかな笑顔は、まさに戦う主婦そのもので。
クロノは、リアフェールに入った時のことを思い出していた。
中学を卒業したばかりの自分たちの所属を受け入れてくれた社長から、石柱のエンブレムをもらう時に、「今日からここが家だと思って、気兼ねしなくて良いのよ」と言われた。
社長にとってリアフェールは大事な家庭なのだ。
ビビアンは、ソファに転がっているエイレンを一瞥する。
「ええ、全力で。……こちらのお誘いに応じてくださって、ありがとうございます」
リアフェール本部の応接間を抜けて階段へ向かう廊下の途中にある、リビング。
この部屋のソファも足の低いテーブルを囲むように並べられているが、応接間のものと比べると使い込まれており、またクッションがおかれていて生活感がある。三人掛けエル字型ワイドソファに寝かされているエイレンと、その向かい側の二人掛けワイドソファでぐったりした様子のクロノを見ながら、エプロン姿をいう家庭的な格好をしたリアフェール社長――ワズサはのんびりとした様子だ。
「あらあら、じゃないですよ」
背もたれに寄り掛かって天井を仰いだまま、クロノは力なく呟いた。
少年の隣では、同じように力無くソファに体を預ける少女がいる。
今から数十分前。
自称〝ただの医者〟の研究員が聖剣リーダーへと放った一撃。
少しとは言え、とばっちり万歳にその被害を受けたクロノは、膝を付いたまま遠ざかる足音を聞いていた。この状態では部屋に充満している毒をどうすることも出来ない。
意地でも倒れてやるかとクロノが意気込んだ矢先。
血相を変えたミントが駆けこんで来た。かと思えば、彼女はクロノの忠告も聞かずに部屋へと足を踏み入れた。
案の定、まだ充満する毒にあてられたミントは、クロノと言うよりもエイレンの二の舞よろしくふらりと体を揺らした。
咄嗟に、クロノは床に倒れそうになる少女を間一髪で受け止めるも、それ以上動くことは難しく、彼女の体を支えたまま崩れるように座り込んだ。軽率な行動を咎めようとした瞬間、余計な心配を増やした少女に大丈夫かと声を掛けられ、本日何度目かのため息を零した少年。
そして、ミラノの首根っこを掴んだシグドと言う助っ人がようやく来てくれたことで、クロノたちは無事部屋を出ることが出来たのだ。
「まさに『ミイラ取りがミイラになる』だねー」
相変わらずナツメは他人事のように楽しそうに声を上げる。
「してやられたわね。治療ついでに戦力を三つも使い物にならなくさせられるなんて」
深いため息をつくわりに、ビビアンは自身がグラールから追い出された時ほど困っている様子はない。
「……その医者はどこ行ったんですか?」
「お医者さんなら、クロノくんの診察が終わったので帰りますって挨拶して帰ったわよ。何かあったら病院へどうぞって薦められたわ。あと、これももらったのよ」
なんて能天気に言いながらワズサはにこにこと微笑む。
彼女の手元には、特別待遇診察券、と書かれたカードがあり、どうやらソエストから名刺代わりに渡されたらしい。
「これじゃあ、しばらく仕事はナツメ一人に任せることになるわね」
「えー」
「ちょっと待ってください」
社長と対照的に困った声音のビビアンに、ナツメとクロノが同時に抗議を上げる。
「勝手に役立たず扱いしないでくれませんか」
「あら、事実でしょ」
クロノの言い分をあっさりと切り捨てるビビアン。
「今にも倒れそうな人を仕事に出すわけにはいかないでしょ。まずは体調を治しなさい」
ここはグラールじゃないのよ。
続けられたビビアンの言葉に、クロノは口を噤んだ。
「それはそうと。カリバーンのみなさんは、いつまでこちらにいらっしゃる予定ですか?」
穏やかな笑みと共にワズサが問い掛けた。
ナツメとビビアンが顔を見合わせ、クロノは怪訝そうに顔を曇らせる。
「そうね。もうひとつ、リアフェールには用事があるの」
好き勝手に掻き乱して自爆しておきながら、まだ厄介事を残していたのだろうか。
クロノは倒れている赤毛へ、無遠慮に冷たい目を向ける。
「本当はリーダーから頼むべきなんだけど、こんな状況だから私からお願いさせてもらうわ」
「あら。何のお願いかしら」
「リアフェールと、私たちカリバーンの間で、同盟を結んでもらえませんか?」
ビビアンの言葉が理解出来なかった。
深く下げられた彼女の後頭部を眺めていたクロノだったが、その意味を理解したと同時に、乱暴に立ち上がっていた。
「どういうつもりなんだ」
少年にしては珍しく、不躾な威圧的な声だった。
冗談ではない。
同盟と一言で表したそれは、簡単に言うならば、使い手や情報を共有することである。公で認められている、争奪戦を有利に進めるための方法のひとつではあるが、本来それは弱い結社同士が強い結社に対抗するためにあるものだ。カリバーンのような強い結社が弱い結社に持ち掛ける同盟など、かつてグラールが持ち掛けてきた合併と大差ない。
「そんな――」
「クロノくん」
少年の冷たい言葉を制止させたのは、ワズサの一言だった。
穏やかな彼女の声に、彼の怒りを鎮めるだけの抑止力はなかったが、クロノはハッと口を噤むとソファに座り直す。
それを見届けてからビビアンに向き直ったワズサは微笑みなど浮かべておらず、とても真剣な面構えをしていた。
「理由を教えてくださるかしら」
社長の声に凄みはない。
それでも、淡々とした口調には有無を言わせぬ迫力があった。
「こちらにいる使い手がひとり、そちらの所属ですので、この争奪戦が終わったらそちらに戻れるようにと、エイレンが考えていたようです」
なるほどエイレンの考えそうなことだ。
それを大義名分にしてリアフェールに取り入るつもりか、とクロノの頭は冷ややかだった。
自身が話題の中心になることは予想外だったが、クロノと言うパイプがあった方が、リアフェールと友好的な関係が築けるのも事実だ。特にリアフェールには、仲間同士の関係を大事にするきらいがあるのだから。
「あらあら。それじゃあ、わたくしたちは、クロノくんを人質に同盟を脅されているのね」
「それは……」
「ふふ、冗談よ。エイレンさんがそんな人柄じゃないのは理解しているもの」
悪戯っ子のように笑うワズサだったが、この場にいる誰もが、彼女の言葉は冗談ではなかったと理解していた。
だからこそ、ビビアンは返答に困ったのだろう。
「素直な感想としては、おもしろい提案だと思ってるのよ」
「社長……!」
「でも、わたくしたちは多くのものを失っているわ。本部も情報も、……仲間も」
「…………」
「これ以上失うわけにはいかないのも事実。仮に同盟を組んだとして、こちらから提供出来るものは情報くらいですし、おそらく貴方たちもほしいものは情報でしょう?」
ワズサの問いに、無言ではあったが、ビビアンは頷いた。
珍しく空気を読んでいるらしく、ナツメは口を挟まない
「だから、貴方たちがリアフェールを守ってくださるのなら、同盟を結びましょう」
ワズサが言葉と共に浮かべたたおやかな笑顔は、まさに戦う主婦そのもので。
クロノは、リアフェールに入った時のことを思い出していた。
中学を卒業したばかりの自分たちの所属を受け入れてくれた社長から、石柱のエンブレムをもらう時に、「今日からここが家だと思って、気兼ねしなくて良いのよ」と言われた。
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