89 / 97
第2章
088
しおりを挟む
目的面でも行動面でも、衝突は避けられないだろうと思っていたベギーネルがあっさりと手を引き、想像以上にすんなりと『赤頭巾』の保護に成功した。あっさりと遠ざかって行く彼女たちの気配に、こちらの隙を窺って奇襲をしてくることはないだろうが、帰還するまで油断するわけにはいかないだろう。
「……今度は聖槍か」
「俺も理由が知りたいよ」
呆れ気味の銀髪の呟きに、少年は苦笑いでぼやき返した。
二人は示し合わせたように『赤頭巾』へ視線を向ける。
「で、『茨姫』は」
「もうここにはいないって話だ」
クロノの言葉にシグドは自身の連れを見やる。
深紫色の視線を受けて、ミラノは同意するように頷いた。
だが突然彼女は空へと視線を投げる。
「でも、音が聞こえる。多分、飛行艇かそれに似た航空機。……こっちに真っ直ぐ来てる」
ミラノが続けた言葉に、シグドとミントがクロノを見た。
二人の視線を受けながらも少年は、どこか青ざめた表情で頷く。
飛行艇か、それに似た航空機。
最先端現代技術の道具を使うのは誰か、など、今更考える必要はない。
そんなものを、これみよがしに利用できるのはグラールしかいないのだから。
「気付かれる前に撤退する。……お前も、今は大人しくついて来い」
ミントたちに伝えた後、クロノは有無を言わさぬ口調で『赤頭巾』へ言葉を放った。
文句も愚痴も、それこそ説明欲求も、今はそんなことを聞いている余裕はない。聖槍が素直に引き下がってくれたからと言って他もそうすんなり行くとは限らない。それこそ、上手くことが運ぶ方が珍しいことなのだ。
ならば、下手ないざこざが起こる前に逃げ出すべきだろう。
「え。ま、待てよ。何がどうなって、え、てか、誰?」
少年は動揺と驚きを露わに、クロノを、そしてミントやシグドたちを見やる。
クロノたちを信用しているわけではないようだが、あの辺境の町でクロノとミントと戦った時のことは覚えてないらしく、武器を構えられることはなかった。
そんな問答している余裕はないと言わんばかりにクロノはガリガリと自身の髪を掻いたが、同時に、久しぶり目の当たりにした〝普通の反応〟に、安堵感も覚えていた。
――まあ、それが普通だよな。
状況のせいが大半の理由でもあっただろうが、脱出騒動時からやけに素直で協力的だった少女を思い出し、クロノは萌葱色の髪の少女を見やる。
だが、今はそれどころではない。のんびりしている暇などないのだ。
「ええと、とりあえず後でいくらでも説明してやるから、今はとにかくだな――」
「見えたよ」
手っ取り早い説得の言葉を探すクロノの言葉を遮って、ミラノが空を指さした。
彼女が言っていた音は全く聞こえない。さすが最先端技術と言ったところだろうか。
クロノたちの足元を影が通り抜けていく。
「シグド、その異空間はどうするつもりなんだ」
「閉じたらダメ。もう見つかってる」
こんな魔力垂れ流しの真っ白な場所に、対照的な黒を身に纏っている人間が三人もいては遭難者よろしく見つけてくれと言っているようなものだ。逃げることが第一ではあるが、戦いが避けられない以上、紋章術を使えないこの空間で敵を迎え撃つ方が生存率は上がる。
何より、シグドを制止するミラノがクロノの身を案じているのがわかった。
シグドは何も言わない。
だが、吹き荒れていた吹雪が止み、視界が鮮明になっていく。
足元の積雪はそのまま残して、青年は魔力を少しだけ抑えたようだ。
やがて敵が上空から落下してくるのが目視出来た。
落ちてきた影は二つ。
「やっぱり。無理言ってお願いして正解だった」
聞こえてきたのは、少し幼さの残る声。
色鮮やかなオレンジ色のツインテールが冷たい風に揺れる。
足元の白と対照的な黒いスーツ姿は、刀の切っ先をクロノに向けた。
「この間の借りを返す時が来たみたいだね!」
カルナは、雪景色など気にも留めず、勝気な笑顔を浮かべた。
幾分冷めた様子のクロノはそっとナイフに触れる。
この銀世界は吹雪が止んでいるとはいえ、まだ『人魚姫』の領域だ。鍵以外が紋章術を使うことはできない。一体彼女は、何をどうやって借りを返そうというのか。
『赤頭巾』を守ろうとしているミントを、その背に庇うようにクロノは一歩前に出た。
ややあって。彼女の隣、と言うか斜め後ろへ追い掛けるように降り立ったのは、白衣に身を包む眼鏡の男。こんな戦場のど真ん中に裏方の人間が姿を見せるのは意外だが、その服装から察するに施設の人間かもしれない。男は季節外れの雪化粧にギョッとした様子を見せた。
だが、カルナは男のことなど気にせず、懐から数枚の資料を取り出した。
「でも驚いだ。相性の良さそうな血液結晶を投与しただけの個体が、新たな能力を発現させちゃうなんてね。しかも、初代の毒と同じような効果があるみたいだし」
それは、どこかやかましいツインテールの独り言だったのかもしれない。
けれど独り言で済ますには情報を……そして地雷を含み過ぎていた。
「こっちの要求は鍵だけど、イルエは人口使い手でも構わないってさ」
意味理解出来るよね。
念を押すカルナの言葉に答えるように、剣が空を切る音が聞こえた。
クロノがそちらを見れば、重剣を構え戦闘態勢のシグドの姿が映る。
眼前の橙色を睨むシグドの後ろには、口を噤み視線を落とすミラノ。
青年のそれは事実上の拒絶だ。
しかし。感情に任せて武器を敵へ向けたにしては、シグドは冷静だった。
構えた剣で一気に攻め上がることも、また、紋章術を使うこともしない。得意の力ずくで黙らせることはせず、どこか慎重に敵の出方を窺っている。それはまるで、ミラノを守ることを最優先にしている、ようにクロノには思えた。
どうやら、彼女の言う「人口使い手」とはミラノのことらしい。
少年の中で、あの時のダリアの花の理由が繋がった。
ならば、先程カルナが呟いた内容は実験体に――強いてはミラノに対することだったのか。
「カルナ、あの」
おずおずと声を掛けるミント。
そんな少女へカルナは〝敵〟と呼ぶにはあまりにも無邪気な笑みを返した。
その笑顔は友だちに向けるそれだ。
「気にしないで。今回は見逃してあげるから。次会った時に返してよ」
「でもわたし……」
「お礼も謝罪もいらないよ。結局、カルナもベギーネルも間に合わなかったから、ミントを助け出せなかったわけだし、そのせいでこうなっちゃったんだしね」
不意にクロノは、ソエストがミントに向けた言葉を思い出した。
実験の最終段階で友人が妨害した。
彼女たちの言葉、そしてミントに向けた何らかの感情。それらを考慮すれば、妨害をした友人と言うのが、敵結社に所属する紋章術の使い手たちなのは間違いないだろう。
カルナとベギーネル。
一方は少女を守ろうとし、もう一方は少女の持つ〝何か〟を奪おうとしている。
かつては、共に少女を助けようと行動していたはずなのに。
「なら。あんたにこいつを襲う理由はないだろ」
「……っ」
カルナはたじろぐように言葉を失った。
クロノの言葉は図星だったのか、それとも何か思う部分でもあったのか。彼女は表情を歪めると、まるで親の仇だと言わんばかりにクロノを睨んだ。
「〝銀狼〟だけじゃなく〝黒羽〟まで、他人事に首を突っ込むのが好きなのね!」
カルナは噛み付くように怒鳴ると、持っていた資料を乱暴に白衣の男へ押し付けた。そして男の持っていた何かを奪うように受け取る。
「思い通りにいかないことだってあるんだよ!」
ツインテールを揺らして、カルナは研究員から奪った何かを投げるように振りかぶった。
その何かが、中に〝不可視の物〟を閉じ込めた球状のクリスタルだと確認できたと同時、シグドとミラノが青ざめた。
――あれは確かガンズを……。
クロノが記憶の片隅に追いやったガンズのことを引っ張り出そうとした直後、カルナはそれを雪原へと叩き付けた。クリスタルが割れた瞬間、例の耳鳴りに似た、それでも本物より質の劣る耳障りな音が直接頭に響く。
これは、そう。ガンズが戦闘中にうっかり味方を全滅させた時に、グラールの人間が彼へ制裁として与えていたものだ。
まだ鮮明に覚えている。
クロノ自身がガンズに直接説教じみたことをしていた時に、その事故の話を聞いた一人の紋章術師が白衣の人間達を連れて割り込んで来たのだ。白衣の人間は、ガンズを孤立無援状態に追い込むとクリスタルを投げつけた。それが割れたと同時に響いた耳障りな音は完全に彼の魔力を他と隔離させた状態にし、部屋には青年の叫び声、そして空気が燃え上がり爆ぜる音だけが聞こえていた。
途中で追い出された為、結末がどうだったのかは知らない。ただ、後日共に仕事をした時に、味方識別だけは慎重になっていたし、滅多に紋章術を使わなくなっていたことが印象的だったのは覚えている。
「うあぁぁああっ!」
あの時と同じように響いた叫び声。
青年よりも幾分トーンの高い悲鳴が聞こえた瞬間、世界がひっくり返ったような気がした。
遠ざかっていく意識の向こうで、親友が誰かの名前を呼ぶ声と、世界が割れる音が聞こえた。
「……今度は聖槍か」
「俺も理由が知りたいよ」
呆れ気味の銀髪の呟きに、少年は苦笑いでぼやき返した。
二人は示し合わせたように『赤頭巾』へ視線を向ける。
「で、『茨姫』は」
「もうここにはいないって話だ」
クロノの言葉にシグドは自身の連れを見やる。
深紫色の視線を受けて、ミラノは同意するように頷いた。
だが突然彼女は空へと視線を投げる。
「でも、音が聞こえる。多分、飛行艇かそれに似た航空機。……こっちに真っ直ぐ来てる」
ミラノが続けた言葉に、シグドとミントがクロノを見た。
二人の視線を受けながらも少年は、どこか青ざめた表情で頷く。
飛行艇か、それに似た航空機。
最先端現代技術の道具を使うのは誰か、など、今更考える必要はない。
そんなものを、これみよがしに利用できるのはグラールしかいないのだから。
「気付かれる前に撤退する。……お前も、今は大人しくついて来い」
ミントたちに伝えた後、クロノは有無を言わさぬ口調で『赤頭巾』へ言葉を放った。
文句も愚痴も、それこそ説明欲求も、今はそんなことを聞いている余裕はない。聖槍が素直に引き下がってくれたからと言って他もそうすんなり行くとは限らない。それこそ、上手くことが運ぶ方が珍しいことなのだ。
ならば、下手ないざこざが起こる前に逃げ出すべきだろう。
「え。ま、待てよ。何がどうなって、え、てか、誰?」
少年は動揺と驚きを露わに、クロノを、そしてミントやシグドたちを見やる。
クロノたちを信用しているわけではないようだが、あの辺境の町でクロノとミントと戦った時のことは覚えてないらしく、武器を構えられることはなかった。
そんな問答している余裕はないと言わんばかりにクロノはガリガリと自身の髪を掻いたが、同時に、久しぶり目の当たりにした〝普通の反応〟に、安堵感も覚えていた。
――まあ、それが普通だよな。
状況のせいが大半の理由でもあっただろうが、脱出騒動時からやけに素直で協力的だった少女を思い出し、クロノは萌葱色の髪の少女を見やる。
だが、今はそれどころではない。のんびりしている暇などないのだ。
「ええと、とりあえず後でいくらでも説明してやるから、今はとにかくだな――」
「見えたよ」
手っ取り早い説得の言葉を探すクロノの言葉を遮って、ミラノが空を指さした。
彼女が言っていた音は全く聞こえない。さすが最先端技術と言ったところだろうか。
クロノたちの足元を影が通り抜けていく。
「シグド、その異空間はどうするつもりなんだ」
「閉じたらダメ。もう見つかってる」
こんな魔力垂れ流しの真っ白な場所に、対照的な黒を身に纏っている人間が三人もいては遭難者よろしく見つけてくれと言っているようなものだ。逃げることが第一ではあるが、戦いが避けられない以上、紋章術を使えないこの空間で敵を迎え撃つ方が生存率は上がる。
何より、シグドを制止するミラノがクロノの身を案じているのがわかった。
シグドは何も言わない。
だが、吹き荒れていた吹雪が止み、視界が鮮明になっていく。
足元の積雪はそのまま残して、青年は魔力を少しだけ抑えたようだ。
やがて敵が上空から落下してくるのが目視出来た。
落ちてきた影は二つ。
「やっぱり。無理言ってお願いして正解だった」
聞こえてきたのは、少し幼さの残る声。
色鮮やかなオレンジ色のツインテールが冷たい風に揺れる。
足元の白と対照的な黒いスーツ姿は、刀の切っ先をクロノに向けた。
「この間の借りを返す時が来たみたいだね!」
カルナは、雪景色など気にも留めず、勝気な笑顔を浮かべた。
幾分冷めた様子のクロノはそっとナイフに触れる。
この銀世界は吹雪が止んでいるとはいえ、まだ『人魚姫』の領域だ。鍵以外が紋章術を使うことはできない。一体彼女は、何をどうやって借りを返そうというのか。
『赤頭巾』を守ろうとしているミントを、その背に庇うようにクロノは一歩前に出た。
ややあって。彼女の隣、と言うか斜め後ろへ追い掛けるように降り立ったのは、白衣に身を包む眼鏡の男。こんな戦場のど真ん中に裏方の人間が姿を見せるのは意外だが、その服装から察するに施設の人間かもしれない。男は季節外れの雪化粧にギョッとした様子を見せた。
だが、カルナは男のことなど気にせず、懐から数枚の資料を取り出した。
「でも驚いだ。相性の良さそうな血液結晶を投与しただけの個体が、新たな能力を発現させちゃうなんてね。しかも、初代の毒と同じような効果があるみたいだし」
それは、どこかやかましいツインテールの独り言だったのかもしれない。
けれど独り言で済ますには情報を……そして地雷を含み過ぎていた。
「こっちの要求は鍵だけど、イルエは人口使い手でも構わないってさ」
意味理解出来るよね。
念を押すカルナの言葉に答えるように、剣が空を切る音が聞こえた。
クロノがそちらを見れば、重剣を構え戦闘態勢のシグドの姿が映る。
眼前の橙色を睨むシグドの後ろには、口を噤み視線を落とすミラノ。
青年のそれは事実上の拒絶だ。
しかし。感情に任せて武器を敵へ向けたにしては、シグドは冷静だった。
構えた剣で一気に攻め上がることも、また、紋章術を使うこともしない。得意の力ずくで黙らせることはせず、どこか慎重に敵の出方を窺っている。それはまるで、ミラノを守ることを最優先にしている、ようにクロノには思えた。
どうやら、彼女の言う「人口使い手」とはミラノのことらしい。
少年の中で、あの時のダリアの花の理由が繋がった。
ならば、先程カルナが呟いた内容は実験体に――強いてはミラノに対することだったのか。
「カルナ、あの」
おずおずと声を掛けるミント。
そんな少女へカルナは〝敵〟と呼ぶにはあまりにも無邪気な笑みを返した。
その笑顔は友だちに向けるそれだ。
「気にしないで。今回は見逃してあげるから。次会った時に返してよ」
「でもわたし……」
「お礼も謝罪もいらないよ。結局、カルナもベギーネルも間に合わなかったから、ミントを助け出せなかったわけだし、そのせいでこうなっちゃったんだしね」
不意にクロノは、ソエストがミントに向けた言葉を思い出した。
実験の最終段階で友人が妨害した。
彼女たちの言葉、そしてミントに向けた何らかの感情。それらを考慮すれば、妨害をした友人と言うのが、敵結社に所属する紋章術の使い手たちなのは間違いないだろう。
カルナとベギーネル。
一方は少女を守ろうとし、もう一方は少女の持つ〝何か〟を奪おうとしている。
かつては、共に少女を助けようと行動していたはずなのに。
「なら。あんたにこいつを襲う理由はないだろ」
「……っ」
カルナはたじろぐように言葉を失った。
クロノの言葉は図星だったのか、それとも何か思う部分でもあったのか。彼女は表情を歪めると、まるで親の仇だと言わんばかりにクロノを睨んだ。
「〝銀狼〟だけじゃなく〝黒羽〟まで、他人事に首を突っ込むのが好きなのね!」
カルナは噛み付くように怒鳴ると、持っていた資料を乱暴に白衣の男へ押し付けた。そして男の持っていた何かを奪うように受け取る。
「思い通りにいかないことだってあるんだよ!」
ツインテールを揺らして、カルナは研究員から奪った何かを投げるように振りかぶった。
その何かが、中に〝不可視の物〟を閉じ込めた球状のクリスタルだと確認できたと同時、シグドとミラノが青ざめた。
――あれは確かガンズを……。
クロノが記憶の片隅に追いやったガンズのことを引っ張り出そうとした直後、カルナはそれを雪原へと叩き付けた。クリスタルが割れた瞬間、例の耳鳴りに似た、それでも本物より質の劣る耳障りな音が直接頭に響く。
これは、そう。ガンズが戦闘中にうっかり味方を全滅させた時に、グラールの人間が彼へ制裁として与えていたものだ。
まだ鮮明に覚えている。
クロノ自身がガンズに直接説教じみたことをしていた時に、その事故の話を聞いた一人の紋章術師が白衣の人間達を連れて割り込んで来たのだ。白衣の人間は、ガンズを孤立無援状態に追い込むとクリスタルを投げつけた。それが割れたと同時に響いた耳障りな音は完全に彼の魔力を他と隔離させた状態にし、部屋には青年の叫び声、そして空気が燃え上がり爆ぜる音だけが聞こえていた。
途中で追い出された為、結末がどうだったのかは知らない。ただ、後日共に仕事をした時に、味方識別だけは慎重になっていたし、滅多に紋章術を使わなくなっていたことが印象的だったのは覚えている。
「うあぁぁああっ!」
あの時と同じように響いた叫び声。
青年よりも幾分トーンの高い悲鳴が聞こえた瞬間、世界がひっくり返ったような気がした。
遠ざかっていく意識の向こうで、親友が誰かの名前を呼ぶ声と、世界が割れる音が聞こえた。
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
〖完結〗終着駅のパッセージ
苺迷音
恋愛
分厚い眼鏡と、ひっつめた髪を毛糸帽で覆う女性・カレン。
彼女はとある想いを胸に北へ向かう蒸気機関車に乗っていた。
王都から離れてゆく車窓を眺めながら、カレンは夫と婚姻してから三年という長い時間を振り返る。
その間、夫が帰宅したのは数えるほどだった。
※ご覧いただけましたらとても嬉しいです。よろしくお願いいたします。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる