天才剣道少女は愛する姫を守る勇者になります

メイ

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諮問会

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「それでは諮問会を始めます」



セレナ様の号令の元、諮問会が取り行われた。

質問を受けるのは、もちろんこのわたしだ。

中央にある木でできた机。

わたしはそこまで連れていかれると、その机の前に立った。

まるで裁判所のような張り詰めた雰囲気。

突き刺さるような多くの鋭い視線が、わたしを捉える。

諮問会に参加するのは、ワイマール帝国の上級貴族達だ。

その早々たる顔ぶれに、緊張によりわたしの胸は大きく高鳴った。



「わたしはDランク冒険者のメイです。今回、この事件の首謀者カシム達の依頼により、馬車の警護につきました。護衛したのは、わたしとBランク冒険者『元気で頑張ろう』の皆さまです。

依頼中に不可思議な点がありカシムを問い詰めた所、彼らが正体を現し結果としてセレナ様を助けることになりました」



ザワザワ

その言葉に、周りが騒めき立つ。

すると中央にいる立派な椅子に腰かける男性が声をあげた。

セレナ様の隣に座る人物。

彼はセレナ様のお父様、すなわちこの国の皇帝陛下だ。

セレナ様と同じ銀色の髪と青い瞳。

しかしその目つきは鋭く、嘘は絶対に見抜くという強い意志を持っていた。



「メイといったな。まずは娘のセレナを助けてくれて感謝する」



「恐縮です」



「だが不可解な点がある。お主達は首謀者カシム達と本当に面識がなかったのか?

状況によっては仲間どおしの裏切りであると考えられるのだが・・・。

そうなると、お主も相応の罰を受けてもらわぬといけないぞ」



「お父様、その点は調べがついております。証人よ前に」



皇帝陛下の言葉にセレナ様はニッコリと微笑む。

そして兵士達に指示を飛ばすと、証人を呼び出した。

すると、兵士達に連れられて栗色の髪をした若い女性が現れた。

わたしはその女性に会釈をする。

そう彼女はピナトスの町の冒険者ギルドの受付嬢、ソフィアさんだ。

わたしのことを心配してくれて、こうして来てくれたというわけだ。



「私はピナトスの町の冒険者ギルドの受付をしているソフィアです。

今回の容疑者カシム達の依頼は正式な手続きを踏んだものでした。

どこから手に入れたかは存じかねますが、帝国発行の正式な商業許可証、そして身分証明書を有し提出を受けております。

そして彼らはピナトスの町の住人ではなく、外部からやってきた者達です。

彼等と事前に面識を持つことは不可能であると思います」



「ふむ、なるほどな。確かに正式な依頼手続きを踏んでいる」



皇帝陛下はソフィアさんが提出した依頼書類に目を通す。



「うむ、わかった。メイ殿と容疑者に係わりがないこと理解した。

ソフィア殿、ご苦労であった。下がるとよいぞ」



ソフィアさんはその言葉に敬しく礼をする。

そして兵士達につれられて諮問会の場を去った。



「メイ頑張ってね」



「ソフィアさん、ありがとうございます」



それからも貴族達から多くの質問が飛び交った。

しかしわたしは正直にその質問に答えていく。

度々答えに迷う質問があったが、そこはセレナ様がサポートしてくれた。

そしていよいよ諮問会が終わりを迎えた。



「冒険者メイ。そしてこの場には居ないが『元気で頑張ろう』の者達。彼女達は我が娘を助けた英雄だ。疑ってしまって申し訳なかったな。

是非、今日はこの宮殿でゆっくりしていてくれ」



「ありがとうございます」



ドカーン。

だが突然、大きな爆発音が鳴り響いた。



「なんだ、どうした!?」



突然の事態に周りが混乱を浮かべ騒めき立つ。

すると、扉を開けて血まみれの一人の兵士が部屋に入ってきた。



「た・大変です。陛下。今すぐお逃げください。この宮殿に王女を渡せと族が攻め入ってきました」



「なんだと!?して族は何名だ?」



「そ・・・それがたった1名です」



「なんだと!たった1名に何をやっている?さっさと取り押さえるんだ」



その言葉に皇帝陛下は怒りを顕わにして声を荒げる。



「いやそいつは恐ろしく強いのです。隊は全滅。今はスカーレット騎士団長が足止めをしている状況です。しかもどういうわけか、何かに弾かれるようにこちらの攻撃が全く通用しないのです」



「あは、やっと見つけた」



すると兵士が入ってきた扉から、もう一人の人物が現れた。

その姿に周りが凍り付く。



まるで闇をとかしたような真っ黒な肌。

だがその肌はまるで金属のように光沢を帯びて光を反射し、黒鉄に輝く。

目は血のように赤く、口からはまるでサメのような鋭い牙をのぞかせていた。

そして何よりも特徴的なのは、額に伸びた1本の大きな角だ。

人間の姿であり、人間ではない。

一見15歳くらいの少年にも見えるものの、その姿は異形に満ちていた。



「王女様、僕と一緒に来てもらおうか?なーに殺しはしないよ、君は大切なカギだからね」



「貴様!?王の御前であるぞ!」



すると諮問会の場にいた騎士達が、その少年のような男を取り囲む。

そして一斉に手にもつ槍で、その男を貫いた。



「な!?」



だが、その槍は何か黒いオーラのようなものに弾かれる。

槍を弾かれ、兵士達は驚愕した顔を浮かべながら大きく後ろにのけぞった。



「ほんと、人間って弱いよね。僕たちに傷一つつけられないんだから(笑)」



男はそう言うと、何やらブツブツと呪文を唱えると突然その手に黒い槍が握られた。

そして踊るようにくるりと一回転すると、その槍で兵士達の首を一瞬で跳ねた。



「さて茶番は終わりだよ。王女様、僕と一緒に来てもらおうか?拒否したらこの場にいる全員を殺すよ?」



「わ・わかりました・・・。貴方の条件をのみます。ですから、周りの人たちには手を出さないでください」



セレナ様は諦めたようにため息をつく。

そして席を立つと、現れた男の元へと歩み寄ろうとした。

回りの貴族達はその恐怖に震え、手出しできない。



「ん!?ちょっと邪魔なんだけど」



だがセレナ様を庇うようにわたしは前に立つ。

そして腰にさしてある剣を抜き、構えた。

その様子に男は不快さをにじませる。



「メイ・・・貴女・・・」



「セレナ様を渡すわけにはいきません。わたしが相手です!」



さっきの闇のようなオーラはいったい・・・。

剣を構えながら、対峙する相手を考察する。

兵士達の槍は完全に相手に突き刺さってたハズだ。

しかし、どういうわけかその攻撃は弾かれた。

わたしの剣も弾かれるのだろうか。

しかしやってみないとわからない。



「剣崎流 攻の型 白虎!」



先手必勝!

わたしはぐっと足を踏み込むと、相手に向けて飛び出した。

白虎は瞬殺の一手。

相手の守りが魔法なら、その発動速度よりも速く剣を振れば打開することができるかもしれない。

そう判断したわたしは白虎を放つ。

音速を越える突きは、彼の喉元を完全に捉えた。



ガン!



しかし白虎は何か固いものを切りつけたように、弾かれる。

その反動で、わたしは大きく後ろに仰け反った。



「だから人間の攻撃は効かないんだよ。なかなか速かったよ、でもそれだけお疲れ様」



そう言うと、男は手に持つ槍でわたしを突いた。

しかしわたしは弾かれた反動で、後ろに飛ぶ。

相手の槍はわたしの頬を掠め、空を切った。



「ちっ」



そしてバク転をして着地すると、体制を整え再び剣を構えた。



「へえー人間にしてはやるじゃない。面白いね君。このリブラ様が遊んであげるよ」



男はリブラと名乗り、挑発するような笑みを浮かべる。



(どうしよう?あの守りのカラクリを解かないと、奴を倒すことができない・・・)



わたしは歯噛みしながら、打開策を考察するのであった。
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