EAR OF YOUTU

チャッピー

文字の大きさ
36 / 38

36話

しおりを挟む
薫は伊織の耳を引っ張り、穴を目視すると少し表情を変える。
「なんだ。私に色々いってるけど、あなたも耳、結構酷使してるじゃない。」
「僕は、ちゃんと耳鼻科に行ってる。耳をケアして耳かきを楽しめるようにっ!?」
 反論する伊織を黙らせるように耳かきが動く。
「壁に張り付いたのは練習の結果?私は勝つために耳垢を調整するのはダメなのに、自分は練習で壁に貼り付けて、かさぶたがある耳にするのは良いの?」
「違う・・・僕は・・・!んんっ!」
「・・・受け専門の練習台にでもなってた?」
 すこし力が入り、皮をめくるように耳垢を取り出す。
「攻めに迷いがあったのは、まだ慣れてないから?それとも私も受け専門だとおもったの?」
 口撃が勢いを増していく。
「私の耳の中の肌が弱いのは自分の体質だよ。誰かに強制されたわけでもない。私の体で勝つために一番良いと思うやり方を自分で選択しただけ。ぁなた、相手を思いやってるんじゃなくて、自分のような耳をみたくないだけじゃないの?」
「くっ!」
 耳から垢が取れる。ティッシュに落とされる薄く伸びた垢。
「うすっぺらいよ。この耳垢みたいに。」
「僕は・・・」
「動かないで。さ、続けるよ。」
 その後は言葉もない。二人とも無言のまま耳かきは進んでいく。薫の耳かきは薄皮をめくるが、伊織に痛みを与えることはない。
 だが、痛みを与えることなく、自分の耳垢を精密に取っていくこと自体が、ボロボロの耳に対処できなかった伊織自身への精神的なダメージとなっていく。
「部長・・・。これは・・・」
「耳かきへのこだわりは人それぞれだよ。柿人君。受け側でのやり方も攻め側でのやり方も。ルールを守ってる限りはその拘りを他人がどうこう言う事じゃない。」
「そうだね。伊織の拘りも別に相手からすれば関係ないし。逆に、薫の拘りに伊織が付き合う理由も特にないんだ。伊織が自信をもって薫の耳を全部やり切ればそのまま勝てただろうしね。技術的にはできないことはなかっただろうし。」
 友梨奈先輩も宮古先輩もそのあたりは相手に付き合う理由はないというスタンスらしい。実際相手に合わせる理由はない。・だが。
「それは、合わせなくても、自由にできた人だからそう言えるんじゃないか・・・?」
 伊織は中学のころは受けしかできなかった。耳かき自体は好きでも、自由にできなかった耳かきを無意識に敬遠しててもおかしくないし、自分と同じようなボロボロの耳を見て平静を保てと言う方が無理があるように思える。
「これで、終わり。」
 薫が耳かきを回して一取りを終えると、点数が表示された。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ぼっち陰キャはモテ属性らしいぞ

みずがめ
ライト文芸
 俺、室井和也。高校二年生。ぼっちで陰キャだけど、自由な一人暮らしで高校生活を穏やかに過ごしていた。  そんなある日、何気なく訪れた深夜のコンビニでクラスの美少女二人に目をつけられてしまう。  渡会アスカ。金髪にピアスというギャル系美少女。そして巨乳。  桐生紗良。黒髪に色白の清楚系美少女。こちらも巨乳。  俺が一人暮らしをしていると知った二人は、ちょっと甘えれば家を自由に使えるとでも考えたのだろう。過激なアプローチをしてくるが、紳士な俺は美少女の誘惑に屈しなかった。  ……でも、アスカさんも紗良さんも、ただ遊び場所が欲しいだけで俺を頼ってくるわけではなかった。  これは問題を抱えた俺達三人が、互いを支えたくてしょうがなくなった関係の話。

怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。 将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。 サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。 そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。 サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

処理中です...