異世界の魔法学校でカミ使いになりました

異世界に転生しました！

辺りは見知った道ではなく、さらに言えば日本の街並みには見えなかった。
トラックに轢かれて、一体何処に飛ばされたんだ私……。

「こ……どこ……」

ここは何処だろう？　と呟いたつもりが声がかすれてうまく喋れなかった。
口の中が乾いてて喉の奥が貼りついたよう。うう、何か飲んで喉を潤したい。

まずは状況を確認しようと立ち上がろうとしたら、身体を支えられずにふらついた。
あれぇ、なんか力が入らないよ？


ぐぅぅぅぅ～


疑問に答えるように、お腹が空腹を訴えている。
さっきお昼ご飯を食べたばかりなのに……と思いながら再び壁に手をついて立ち上がり、その手を見てさらに驚いた。

(手が！　手がちっちゃいんですけど～？！)

明らかに幼児の手をした16歳！！
え、何？　何が起きてるのこれ？！

死後の世界で起こる不思議現象？？
いや、でも胸に手をあてると心臓の鼓動を感じるし、壁に触れた手のこの感触は生きてる人間っぽい。気がする。

(ま、まさか……一回死んだけど生まれ変わったとか？)

物心ついて、何かの拍子に前世の記憶を思い出したとか？　……それってアリよりのアリじゃない？


ぐぅぅぅぅ～


おっと。頭の中は混乱しているものの空腹は待ってはくれない。体力が尽きる前に動かないと。

(と、とりあえず。路地裏みたいだし人のいる場所に移動しようか)

自分は迷子にでもなっているのだろうか？
今頃親は心配して探してるかも、と思ったが考えはすぐに変わった。着ている服はボロ切れのようで、手足も細い。骨が浮き出た身体は満足な栄養を採れていなかった。
親と死別したのか捨てられたのか、理由は分からないがいつからか一人で生きてきたんだろう。

どうやら、前世に続いてこの世界でも一人からのスタートのようだ。

(前世の記憶が戻らなかったら行き倒れてたかもしれないなぁ)

神様、子供に試練を与えすぎじゃない？　と苦笑しつつ一歩ずつゆっくりと歩いていく。

力の入らない身体で時間はかかったが、なんとか大通りに辿り着いた。
さて、誰かに助けを求めなくちゃ！
視線を巡らせ、人の良さそうな男性を見つけてふらふらと近寄っていく。

「あっ……ちょっ……た…け……」
「……ん？　お嬢ちゃんどうしたんだ」

ファンタジー世界でよくいそうな兵士風の人に声をかけたが言葉がうまく出ない。
けれど親切な兵士(？)さんは私の風貌から事情を察してくれたのか、根気よく話を聞いてくれて孤児院まで連れていってくれた。

道中何度も心配そうに話しかけられたから、よっぽど酷い姿をしてたんだろうな私……