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6.挑発
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あれから、ベルには僕の自慰行為の手伝いをしてもらうようになってしまい関係は少し変わってしまったように思えたけど、それでもベルは僕の専属の使用人として変わらず側に居てくれた。
そして、変わらなかった日常で少し変わったことがある。それは、僕が貴族の子供達が勉強をするために通うとされている貴族学校に行くようになった事だ。
学校では特に何も起こらなかった。ただただ、授業を聞いていた。
学校から帰ればベルが屋敷の前で出迎えてくれて、そのことが少し新鮮で嬉しかった。家では偶に僕に勉強を教えに来るコリウス先生が来たりして…そこらへんは特に変わらない日々だった。いつしかそんな日々も駆け足で過ぎていき、学園に通う最後の年、僕は15歳になり成人していた。
そして、僕は今、僕の家庭教師であるはずのコリウス先生と言い争いをしていた。
「________…はは、成人したての陰茎の皮すら剥けてなさそうな坊っちゃんが何を言い出すかと思えば…思い上がりもいい加減にしろよ、クソ餓鬼」
「……それが先生の本性ですか? ずいぶんとはしたない言葉遣いをしますね」
「ああ"、本性だ?そんなこと今はどうでもいいんだよ。………何が、"ベルは僕のもの"だ?"手を出すな"?ふざけんなよ…。お前は知ってるはずだろ、ベルがインキュバスの性質を持っているって。それを知っていながらに俺に言うとは…ずいぶんと傲慢になったな、クレマ? お前、ベルの王子様にでもなったつもりか? それはお前の一方的なエゴじゃないのか?」
「…そうかもしれません。ですが、僕はベルが嫌嫌抱かれるのを知っていて見過ごすわけにはいかないんです。それが、たとえ食事だとしても」
僕はコリウス先生とベルの間に、体の関係があることを知ってしまった。それは偶然だった。先生がベルの耳元でいつも囁く言葉が気になってしまった僕は、注意深く耳をすませるようになる。そして、呟いていた言葉を漸く聞き取ることが出来た。
『ほら、好き嫌いせずにちゃんと食事しないと』
先生はベルにそう言っていた。その言葉に引っかかりを覚えた僕は、バレないようにこっそりと二人の様子を覗きに行った。そして、ベルを抱いている先生を見た。それがベルにとってただの食事だと分かっていても、僕は我慢ならなかった。先生以外にも、ベルを抱いたとされる今までの使用人も辞めさせれそうな者達はこの屋敷から追い出したりもした。…僕は、いつかベルを抱いたと思われる者達を全員追い出す気でいる。
「じゃあ何か?…今度はお前がベルに食事と称して体の関係を求めるのか。ハッ、俺にずいぶんと分かりやすい牽制もしてくんのな」
「どう捉えてもらっても構いません。ですが、これ以上ベルに体の関係を求めるのなら…クビにしますから」
「立派な脅しまで覚えてきたな。…ただし、お前に俺をクビにする権限なんて無いんだよ。残念だったな?包茎くん」
「……………さっきから陰茎だの包茎だの下品ですね。挑発にしてももっとマシな言葉で煽ってくださいよ先生…。貴方、割とそういうところ子供ですよね」
「…うるせぇ餓鬼だな。いちいち先生の言葉に突っかかってくんのなんなの?」
「突っかかる言葉を使う先生が悪いです。そもそも僕をそういうふうに教え育てたのは先生ですからね?」
「…………………褒め言葉だ」
「負け惜しみですか?」
そんな僕の言葉にコリウス先生は顔を顰める。そして、かけていた眼鏡を外し僕の目を真っ直ぐと見てきた。
「一つ聞く…、お前はベルをどう思っている」
「僕の特別です」
「それは、どんな特別だ」
「………………………………」
「答えられないか?…………恋、愛、家族、使用人…なぁ、お前にとってベルはどの特別にあたる?…………………クレマ、…それが答えられないうちは、俺は今までと変わらずベルを抱くぞ。お前の許可なんていらねぇよ。ベルの食事はお前じゃなくベルが決めることだからな…今更、しゃしゃってくんなよ」
結局、先生とは決別状態になった。それでも、そのことは別としてコリウス先生は勉強だけはしっかり僕に教えてくれる大人の対応を見せた。こういう所が先生と僕の何よりの違いだろう。
…僕は、私情を持ち込んで使用人も何人か親を通して辞めさせてしまった。全てベル絡みだ。それなのに、先生はそんな僕と違って仕事に私情を持ち込まない。
もしかしたら、ベルにいいところを見せたいからかもしれない。僕はそうやって決めつけるしかなかった。じゃないと、大人の余裕を見せつける先生に対して僕が負けたようで悔しくて仕方がない。
それに、先程は先生に図星もつかれた。…ベルとの体の関係を求めてるのかと言われたけど、まさにその通りだった。僕は、僕がベルをお腹いっぱいにさせてあげたいと思っている。
別に、体を繋げる性行為をしなくたっていい。
ただ、僕はベルが僕以外の誰かに体を許していることにモヤモヤしてしまっているし、ベルと体を繋げた使用人を辞めさせてしまうくらいには嫌っている。
「_________ベル、食事に行こうか」
「ッ!?」
そして、先生はその日から明らかに僕を挑発するようにベルを分かりやすく食事に誘った。
この場合の食事は性行為の事だ…直ぐ分かった。いつも聞こえないような声で誘っていたくせに、僕にバレた瞬間これだ…先生の大人げない部分がチラホラ見え隠れしてくる。
そして、先生とベルは幼馴染。つまり、僕よりも先生の方がベルを幼い頃から知っていることになる。これじゃあ、僕はベルを先生に取られてしまう…。
僕はとっさにベルの手を掴んでしまう。
「…クレマ様?」
「行かないで」
僕のベルを止める言葉に最初に突っかってきたのは先生だった。
「おい、俺とベルの大人同士の時間を邪魔してくんな」
「コリウス、クレマ様にその言葉遣いとはどういうつもりですか?」
「やべッ」
「…コリウス、今日はそのままお帰り下さい。食事の誘いは今度にしましょう。その時はぜひ美味しいものを食べせてくださいね?」
「………………………わかったよ」
ベルが先生の誘いを断ったことにホッとする。
先生は納得行かないようなままで、帰っていった。
「__________さぁ、邪魔はいなくなりましたから、…存分に甘えてくださって結構ですよ」
「……………」
「どうしたんです? 寂しかったのでしょ?」
ベルが僕の幼い頃に甘えさせてくれた時のように両手を広げる。そのまま僕がベルの腕の中に飛び込むのを待っている。
そして、変わらなかった日常で少し変わったことがある。それは、僕が貴族の子供達が勉強をするために通うとされている貴族学校に行くようになった事だ。
学校では特に何も起こらなかった。ただただ、授業を聞いていた。
学校から帰ればベルが屋敷の前で出迎えてくれて、そのことが少し新鮮で嬉しかった。家では偶に僕に勉強を教えに来るコリウス先生が来たりして…そこらへんは特に変わらない日々だった。いつしかそんな日々も駆け足で過ぎていき、学園に通う最後の年、僕は15歳になり成人していた。
そして、僕は今、僕の家庭教師であるはずのコリウス先生と言い争いをしていた。
「________…はは、成人したての陰茎の皮すら剥けてなさそうな坊っちゃんが何を言い出すかと思えば…思い上がりもいい加減にしろよ、クソ餓鬼」
「……それが先生の本性ですか? ずいぶんとはしたない言葉遣いをしますね」
「ああ"、本性だ?そんなこと今はどうでもいいんだよ。………何が、"ベルは僕のもの"だ?"手を出すな"?ふざけんなよ…。お前は知ってるはずだろ、ベルがインキュバスの性質を持っているって。それを知っていながらに俺に言うとは…ずいぶんと傲慢になったな、クレマ? お前、ベルの王子様にでもなったつもりか? それはお前の一方的なエゴじゃないのか?」
「…そうかもしれません。ですが、僕はベルが嫌嫌抱かれるのを知っていて見過ごすわけにはいかないんです。それが、たとえ食事だとしても」
僕はコリウス先生とベルの間に、体の関係があることを知ってしまった。それは偶然だった。先生がベルの耳元でいつも囁く言葉が気になってしまった僕は、注意深く耳をすませるようになる。そして、呟いていた言葉を漸く聞き取ることが出来た。
『ほら、好き嫌いせずにちゃんと食事しないと』
先生はベルにそう言っていた。その言葉に引っかかりを覚えた僕は、バレないようにこっそりと二人の様子を覗きに行った。そして、ベルを抱いている先生を見た。それがベルにとってただの食事だと分かっていても、僕は我慢ならなかった。先生以外にも、ベルを抱いたとされる今までの使用人も辞めさせれそうな者達はこの屋敷から追い出したりもした。…僕は、いつかベルを抱いたと思われる者達を全員追い出す気でいる。
「じゃあ何か?…今度はお前がベルに食事と称して体の関係を求めるのか。ハッ、俺にずいぶんと分かりやすい牽制もしてくんのな」
「どう捉えてもらっても構いません。ですが、これ以上ベルに体の関係を求めるのなら…クビにしますから」
「立派な脅しまで覚えてきたな。…ただし、お前に俺をクビにする権限なんて無いんだよ。残念だったな?包茎くん」
「……………さっきから陰茎だの包茎だの下品ですね。挑発にしてももっとマシな言葉で煽ってくださいよ先生…。貴方、割とそういうところ子供ですよね」
「…うるせぇ餓鬼だな。いちいち先生の言葉に突っかかってくんのなんなの?」
「突っかかる言葉を使う先生が悪いです。そもそも僕をそういうふうに教え育てたのは先生ですからね?」
「…………………褒め言葉だ」
「負け惜しみですか?」
そんな僕の言葉にコリウス先生は顔を顰める。そして、かけていた眼鏡を外し僕の目を真っ直ぐと見てきた。
「一つ聞く…、お前はベルをどう思っている」
「僕の特別です」
「それは、どんな特別だ」
「………………………………」
「答えられないか?…………恋、愛、家族、使用人…なぁ、お前にとってベルはどの特別にあたる?…………………クレマ、…それが答えられないうちは、俺は今までと変わらずベルを抱くぞ。お前の許可なんていらねぇよ。ベルの食事はお前じゃなくベルが決めることだからな…今更、しゃしゃってくんなよ」
結局、先生とは決別状態になった。それでも、そのことは別としてコリウス先生は勉強だけはしっかり僕に教えてくれる大人の対応を見せた。こういう所が先生と僕の何よりの違いだろう。
…僕は、私情を持ち込んで使用人も何人か親を通して辞めさせてしまった。全てベル絡みだ。それなのに、先生はそんな僕と違って仕事に私情を持ち込まない。
もしかしたら、ベルにいいところを見せたいからかもしれない。僕はそうやって決めつけるしかなかった。じゃないと、大人の余裕を見せつける先生に対して僕が負けたようで悔しくて仕方がない。
それに、先程は先生に図星もつかれた。…ベルとの体の関係を求めてるのかと言われたけど、まさにその通りだった。僕は、僕がベルをお腹いっぱいにさせてあげたいと思っている。
別に、体を繋げる性行為をしなくたっていい。
ただ、僕はベルが僕以外の誰かに体を許していることにモヤモヤしてしまっているし、ベルと体を繋げた使用人を辞めさせてしまうくらいには嫌っている。
「_________ベル、食事に行こうか」
「ッ!?」
そして、先生はその日から明らかに僕を挑発するようにベルを分かりやすく食事に誘った。
この場合の食事は性行為の事だ…直ぐ分かった。いつも聞こえないような声で誘っていたくせに、僕にバレた瞬間これだ…先生の大人げない部分がチラホラ見え隠れしてくる。
そして、先生とベルは幼馴染。つまり、僕よりも先生の方がベルを幼い頃から知っていることになる。これじゃあ、僕はベルを先生に取られてしまう…。
僕はとっさにベルの手を掴んでしまう。
「…クレマ様?」
「行かないで」
僕のベルを止める言葉に最初に突っかってきたのは先生だった。
「おい、俺とベルの大人同士の時間を邪魔してくんな」
「コリウス、クレマ様にその言葉遣いとはどういうつもりですか?」
「やべッ」
「…コリウス、今日はそのままお帰り下さい。食事の誘いは今度にしましょう。その時はぜひ美味しいものを食べせてくださいね?」
「………………………わかったよ」
ベルが先生の誘いを断ったことにホッとする。
先生は納得行かないようなままで、帰っていった。
「__________さぁ、邪魔はいなくなりましたから、…存分に甘えてくださって結構ですよ」
「……………」
「どうしたんです? 寂しかったのでしょ?」
ベルが僕の幼い頃に甘えさせてくれた時のように両手を広げる。そのまま僕がベルの腕の中に飛び込むのを待っている。
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